心臓と肺の位置・枝・区分

本文の目次

  1. 胸骨の後ろ、左右の肺の間
  2. 外形の先端が心尖
  3. 心房と心室、左右の心室を分ける溝
  4. 大動脈の起始部から分かれる冠動脈
  5. 左冠動脈の主な二つの枝
  6. 右冠動脈と右辺縁枝
  7. 肺の上端、下面と二つの面
  8. 右肺は三葉、左肺は二葉
  9. 気管から左右の主気管支へ
  10. 肺門には管、血管、神経が集まる
  11. 肺葉の中に肺区域がある
  12. 区域に対応する気管支と動脈の枝

1. 胸骨の後ろ、左右の肺の間

心臓は胸腔の縦隔にあり、左右の肺の間に位置する。胸骨と肋軟骨は心臓より前にある。「胸の左にある」とだけ覚えると、中央の縦隔に置かれた臓器という関係を見失いやすい。前後は胸骨と心臓、左右は肺と心臓を組にして確かめる。

2. 外形の先端が心尖

心臓の外形は下方へ向かって先端が細くなる。その先端を心尖という。心尖は下方かつ本人の左側へ向く。正面から本人を見ると、本人の左は見る人の右になるため、図の左右表示と心尖の位置を一緒に読む。

心臓の位置と心尖

上段は前から見た模式。本人の右を紙面左、本人の左を紙面右に表示し、右肺と左肺の間の縦隔に心臓を置く。心臓の下方の先端である心尖は本人の左、紙面右へ向く。下段は横から見た前後関係で、前の胸骨より後ろに、丸い枠で心臓の位置を示す。下段の枠には心尖様の先端を付けず、心尖の向きや外形は表さない。臓器の精密な形、寸法、投影像ではない。
心臓は左右の肺の間の縦隔にあり、胸骨より後ろに位置します。上段の左右は本人を基準とし、心尖は下方かつ本人の左へ向きます。下段の丸い枠は心臓の位置だけを示し、心尖の向きや外形は表しません。臓器の寸法・精密な投影は表さない模式です。

3. 心房と心室、左右の心室を分ける溝

心臓の外面には溝がある。心房と心室の間の溝が冠状溝で、左右の心室の間には前室間溝と後室間溝がある。前室間溝は前面、後室間溝は後面にある。溝は外面の区切りであり、心腔内を隔てる中隔とは別の構造である。

4. 大動脈の起始部から分かれる冠動脈

左右の冠動脈は、大動脈弁の近くにある大動脈の起始部から分かれる。大動脈から体へ向かう主な経路と、心臓自身へ向かう冠動脈の枝を区別する。心臓の表面では、冠動脈の主な枝が溝に沿って走る。

5. 左冠動脈の主な二つの枝

左冠動脈の主な枝は前室間枝と回旋枝である。前室間枝は左前下行枝とも呼ばれ、LADと略す。前室間枝は前室間溝に沿い、回旋枝は左側の冠状溝に沿う。枝の名前を、同じ外面の溝と対応させて読む。

6. 右冠動脈と右辺縁枝

右冠動脈は冠状溝に沿って走り、右辺縁枝は右冠動脈から分かれる代表的な枝である。左右の冠動脈から出る枝の所属を整理するとき、右辺縁枝を左冠動脈の前室間枝や回旋枝と取り替えない。

冠動脈の主な枝と溝

大動脈の起始部から右冠動脈と左冠動脈へ分かれるつながりを線で示す。右冠動脈から右辺縁枝、左冠動脈から前室間枝と回旋枝へつなぐ。前室間枝の別名はLAD、左前下行枝。前室間枝には前室間溝に沿う、回旋枝には左側の冠状溝に沿うと直接表示する。枝の所属を示す模式で、身体の前後左右への投影、全枝、全支配領域、冠動脈優位型や変異は示さない。
大動脈の起始部から左右の冠動脈が分かれます。左冠動脈の主な枝は前室間枝(LAD)と回旋枝、右冠動脈の代表的な枝は右辺縁枝です。前室間枝は前室間溝、回旋枝は左側の冠状溝に沿います。線は枝の所属を示し、実位置・全分枝・支配領域・優位型や変異を表しません。

7. 肺の上端、下面と二つの面

左右の肺は胸腔にあり、肺の下には横隔膜がある。上端が肺尖、下側が肺底である。肺の肋骨に向く面は肋骨面、体の中央へ向く面は縦隔面という。心臓が位置する縦隔と、肺の内側の面を対応させる。

8. 右肺は三葉、左肺は二葉

肺葉は、肺の大きな区分である。右肺は上葉・中葉・下葉の三葉、左肺は上葉・下葉の二葉に分かれる。肺葉を分ける切れ込みを裂という。左肺に中葉を加えたり、右肺から中葉を除いたりしない。

9. 気管から左右の主気管支へ

気管は左右の主気管支に分かれ、それぞれの肺へつながる。主気管支が肺に入る場所は肺門である。肺門は肺の内側にあるくぼんだ領域で、肺の先端である肺尖とは区別する。

10. 肺門には管、血管、神経が集まる

肺門を通る構造には気管支、肺動脈、肺静脈がある。リンパ管や神経も肺門を通る。気管支は空気の通り道、肺動脈と肺静脈は血液の通り道であり、一つの管の名前を言い換えたものではない。肺門はそれらが集まる出入口である。

左右の肺葉と肺門を通る構造

上段は肺葉の所属を示す表形式の模式。右肺の中に上葉・中葉・下葉、左肺の中に上葉・下葉を表示し、肺葉の境界にある切れ込みを裂と説明する。箱の上下・形は実際の裂の走行や肺葉の投影位置を示さない。下段の肺門の枠には気管支、肺動脈・肺静脈を別の箱で置き、リンパ管や神経も通ると表示する。この並び順は肺門内の実位置関係を示さない。
右肺は上葉・中葉・下葉、左肺は上葉・下葉に分かれ、肺葉の境界には裂があります。肺門は肺の内側にある出入口で、気管支・肺動脈・肺静脈、リンパ管や神経が通ります。箱は所属する区分と構造を整理したもので、裂の実際の形や肺門内の並び順を表しません。

11. 肺葉の中に肺区域がある

肺区域は肺葉の中の区分であり、一つの肺葉は複数の区域からなる。右肺の三葉という区分と、その各肺葉の中にある区域という区分は大きさの階層が異なる。肺葉の数を、そのまま肺区域の数として数えない。

12. 区域に対応する気管支と動脈の枝

それぞれの肺区域には、その区域に対応する区域気管支と肺動脈の枝がある。区域気管支は第三次気管支に当たる。さらに細い細気管支は第三次気管支から分かれる。区域を読むときは、肺葉内の区分と、そこへ続く気管支・動脈の枝を組にする。

肺区域と気管支・動脈の枝

肺葉の一部という外枠の中に、例として二つの区域の枠を置く。区域気管支は緑色の二重輪郭の管、動脈の枝は赤色の太い実線として、どちらも分かれて各区域へ続く。上部で動脈の横線が右側の気管支を横切る箇所には、動脈線の空白を置いて非接続を示す。二つの経路は合流しない。名前は上の各経路へ直接表示する。各区域にはその区域に対応する気管支と動脈の枝があるという関係を示す。区域の総数、固有名、実形、実際の走行、静脈との位置関係は示さない。
肺葉の中には複数の区域があります。それぞれの区域には、対応する区域気管支と肺動脈の枝が続きます。二重輪郭の管が気管支、太い実線が動脈の枝です。交差部の動脈線の空白は非接続を示し、二つの経路は合流しません。肺葉の一部を取り出した模式で、区域の総数・固有名・実形・詳しい走行・静脈との位置関係は省略しています。

用語を確かめる

縦隔
左右の肺の間にある領域。心臓は縦隔に位置する。
心尖
心臓の下方にある先端。本人の左側へ向く。
冠状溝
心臓の外面で心房と心室の間にある溝。
前室間溝
心臓の前面で左右の心室の間にある溝。
前室間枝
左冠動脈の主な枝。前室間溝に沿い、左前下行枝(LAD)とも呼ぶ。
回旋枝
左冠動脈の主な枝。左側の冠状溝に沿う。
右辺縁枝
右冠動脈から分かれる代表的な枝。
肺尖
肺の上端。
肺底
肺の下側。肺の下には横隔膜がある。
肺葉
裂によって分けられる肺の大きな区分。右は三葉、左は二葉。
裂
肺葉の境界にある切れ込み。
肺門
肺の内側で気管支・血管・リンパ管・神経が通る出入口。
肺区域
肺葉内の区分。それぞれに対応する区域気管支と動脈の枝がある。
区域気管支
肺区域に対応する気管支。第三次気管支に当たる。