腸壁の筋間・粘膜下神経叢の位置
本文の目次
1. 粘膜の筋と、外側の筋を分ける
空腸の壁を、管腔から外側へ見ていきます。粘膜には、表面の上皮と粘膜固有層、その外側の薄い粘膜筋板があります。粘膜筋板は粘膜の一部です。その外に粘膜下層があり、さらに外側に固有筋層があります。「筋」と名の付く層が二か所にあっても、粘膜筋板と固有筋層は同じ層ではありません。
2. 筋間神経叢は、固有筋層の二層の間
空腸の固有筋層は、通常、内側の輪走する筋層と外側の縦走する筋層に分かれます。それぞれ内輪筋層、外縦筋層と呼びます。この二層の間に、筋間神経叢という神経細胞と線維の網があります。粘膜筋板と固有筋層の間へ置くのではなく、固有筋層の内輪・外縦という二つの筋層の間へ置くと、名前と所在がつながります。
3. 粘膜下神経叢は、粘膜下層の中
もう一つの神経網である粘膜下神経叢は、粘膜下層の結合組織の中にあります。管腔から見ると、粘膜筋板を含む粘膜の外側で、固有筋層の内輪筋層より内側です。粘膜下神経叢と筋間神経叢を、同じ深さにある二つの名前として並べません。図では所在を広げて示しますが、実際の層の厚さや神経網の広がりを一律の数値に固定するものではありません。
空腸の壁の二つの神経叢
4. 壁の中の網と、外から来る連絡
二つの神経叢は、腸の壁にある局所回路のまとまりです。腹部から神経の経路をたどると、外から来る交感・副交感の連絡がこの局所回路にも届きます。血管の周囲を通る腹部の神経叢と、壁の中にある筋間・粘膜下の神経叢は、所在を分けて読めます。壁の回路には局所の入力と処理、筋や腺への出力もあるので、網全体を一本の節前・節後の線だけに置き換えないようにしましょう。ここでは空腸の局所配置を扱い、胃や食道などの筋層まで同じ二層の形に固定しません。
用語を確かめる
- 管腔
- 腸の内容物が通る内側の空間。腸壁の神経や血管の通路と分ける。
- 粘膜
- 管腔に面する上皮、粘膜固有層、粘膜筋板を含む層。
- 粘膜固有層
- 粘膜の上皮の下にある結合組織。粘膜下層とは別の層。
- 粘膜筋板
- 粘膜に属する薄い平滑筋層。外側の固有筋層と区別する。
- 粘膜下層
- 粘膜と固有筋層の間にある結合組織の層。粘膜下神経叢がある。
- 固有筋層
- 粘膜下層より外側の筋層。空腸では通常、内輪筋層と外縦筋層に分ける。
- 内輪筋層
- 空腸の固有筋層の内側で、輪走する平滑筋の層。
- 外縦筋層
- 空腸の固有筋層の外側で、縦走する平滑筋の層。
- 筋間神経叢
- 固有筋層の内輪筋層と外縦筋層の間にある神経網。アウエルバッハ神経叢とも呼ばれる。
- 粘膜下神経叢
- 粘膜下層の結合組織の中にある神経網。マイスナー神経叢とも呼ばれる。
- 内在性の回路
- ここでは腸壁にある局所の神経回路。外から入る自律神経の入力と区別する。
- 外来性の入力
- ここでは腸壁の外から来る交感・副交感などの神経の連絡。