性腺と生殖路の内部構造

本文の目次

  1. 器官の中の組織と、管の中の空間
  2. 精巣の外形から後方の出口へ
  3. 小葉を分ける壁と、精子が通る管
  4. 精細管の壁の外にも組織がある
  5. 精巣上体の三部と一本の長い管
  6. 精管は厚い壁をもつ輸送管
  7. 精嚢は輸送管の途中にある袋ではない
  8. 前立腺の実質と、そこを通る管
  9. 卵巣の皮質と髄質
  10. 卵胞の腔と、卵巣全体の内腔は違う
  11. 卵管を端から四つの区分へ
  12. 漏斗部の開口と、近くの卵巣
  13. 卵管の内面にはひだがある
  14. 子宮の上から下へ外形を分ける
  15. 子宮頸管には二つの口がある
  16. 子宮壁の層を内腔から外へ
  17. 腟の壁は、頸の外側を囲む
  18. 腟の内面と、その下の筋を分ける

1. 器官の中の組織と、管の中の空間

精巣や卵巣を切った面では、器官をつくる組織が広がっています。一方、精子などが通る管では、壁に囲まれた内腔をたどります。内腔とは管や器官の内部の空間です。器官の働きを担う部分を実質、その間を支える結合組織などを間質と呼びます。組織の中に細い管や血管があっても、器官全体が一つの空洞になるわけではありません。

2. 精巣の外形から後方の出口へ

精巣は通常、上下に長い卵円形をしています。上端と下端、前縁と後縁を分けると、後方に沿う精巣上体との関係を追いやすくなります。精巣の表面を包む白膜は丈夫な線維性の被膜です。その後方には白膜が厚くなる精巣縦隔があり、内部の細い管の集まりへつながります。表面の被膜と内部の通路を、同じ線として追わないようにします。

3. 小葉を分ける壁と、精子が通る管

白膜から内側へ入る結合組織の中隔が、精巣を小葉に分けます。小葉には曲がりくねった精細管があり、その内腔は直精細管、精巣網へ続きます。精巣網は精巣縦隔の中にある管の網で、そこから精巣輸出管が精巣上体の頭へ向かいます。小葉の境をつくる中隔は組織の壁で、精子を運ぶ管ではありません。

4. 精細管の壁の外にも組織がある

精細管では、内腔を囲む上皮に精子形成の細胞と、それを支えるセルトリ細胞があります。精細管どうしの間の間質には血管やライディッヒ細胞があります。管の中の流れと、管の外の組織や血管を別々にたどると、精子が血管内を通って精巣上体へ出る、という取り違えを防げます。ホルモンが血液へ出ることと、精子が管腔へ出ることも別の出口です。

精巣の区切りと管の出口

白膜から入る中隔が小葉を分けます。精細管の内腔から直精細管・精巣網・輸出管へ続き、後方の精巣上体の頭へ向かいます。
白膜から入る中隔が小葉を分けます。精細管の内腔から直精細管・精巣網・輸出管へ続き、後方の精巣上体の頭へ向かいます。

5. 精巣上体の三部と一本の長い管

精巣上体は、精巣の上方にある頭、後面に沿う体、下方の尾に分けます。精巣輸出管は頭へ入り、精巣上体管へ合流します。精巣上体の大部分は、一本の長い精巣上体管が強く巻いたものです。頭から体を経て尾へ続き、尾で精管へ移ります。外形の三部は、互いに独立した三本の輸送管という意味ではありません。

6. 精管は厚い壁をもつ輸送管

精管は精巣上体の尾から続く管です。横断面では、小さな内腔の周囲に粘膜と厚い平滑筋層があります。粘膜のひだのために内腔が星形に見えることもあります。平滑筋は、通常、内側の縦走、中間の輪走、外側の縦走の層として説明されます。縦走は管に沿う方向、輪走は管を取り巻く方向です。壁が厚いことと、内腔が広いことは同じではありません。骨盤内の末端近くで広がる部分を精管膨大部と呼びます。

精巣上体の三部と精管の壁

精巣上体の頭は上方、体は精巣の後面、尾は下方にあり、一本の巻いた管は尾から精管へ続きます。精管の厚い筋壁を内腔の広さと同一視しません。
精巣上体の頭は上方、体は精巣の後面、尾は下方にあり、一本の巻いた管は尾から精管へ続きます。精管の厚い筋壁を内腔の広さと同一視しません。

7. 精嚢は輸送管の途中にある袋ではない

精嚢は、粘膜に多くのひだをもつ、強く曲がった腺です。腺は分泌物をつくり、その管を通して送り出す構造です。精嚢の管は、同じ側の精管膨大部に続く通路と合わさり、短い射精管になります。精子は精嚢の内腔を必ず一巡してから尿道へ向かうわけではありません。精嚢の腺管からの分泌と、精管を進む精子が合流する枝分かれとして読みます。

8. 前立腺の実質と、そこを通る管

射精管は左右に一本ずつあり、前立腺の中を通ります。前立腺は腺組織と線維筋性の組織をもつ器官で、その小さな腺管は前立腺部尿道へ開きます。射精管の内腔、前立腺の腺管、尿道の内腔は区別して追います。前立腺の実質全体が、一つの大きな精液の貯留腔なのではありません。射精管の開口付近や尿道の局所区分は、周囲の位置関係と合わせて読みます。

輸送管と分泌腺の枝

精嚢の管と精管側の通路が合流して射精管になります。射精管は前立腺内を通り、前立腺の小腺管は別に尿道へ開きます。腺の実質とその中の管腔は異なります。
精嚢の管と精管側の通路が合流して射精管になります。射精管は前立腺内を通り、前立腺の小腺管は別に尿道へ開きます。腺の実質とその中の管腔は異なります。

9. 卵巣の皮質と髄質

卵巣は通常、卵円形の器官で、表面の上皮の下に薄い白膜があります。その内側の周辺部を皮質、中心側を髄質と呼びます。皮質には卵胞を含む間質が広がり、髄質には比較的大きな血管、リンパ管、神経と結合組織があります。卵巣の門はこれらが出入りする付着側の領域です。皮質と髄質の境界は、厚い隔壁で完全に二室へ分かれるような境ではありません。

10. 卵胞の腔と、卵巣全体の内腔は違う

卵胞は卵細胞と周囲の支持細胞などからなる構造です。発育した卵胞では、その中に液を含む卵胞腔ができます。これは卵巣全体を貫く輸送管の内腔ではありません。卵胞や排卵後の黄体は、卵巣の組織の中で変わる構造です。卵巣から卵管まで閉じた一本の管が貫く、と考えると、卵胞腔と卵管腔を取り違えます。

卵巣の領域と卵胞の空間

卵巣の皮質には卵胞を含む間質があり、髄質には血管や神経などがあります。発育した卵胞の液を含む卵胞腔は、卵巣全体の輸送管ではありません。
卵巣の皮質には卵胞を含む間質があり、髄質には血管や神経などがあります。発育した卵胞の液を含む卵胞腔は、卵巣全体の輸送管ではありません。

11. 卵管を端から四つの区分へ

卵管を子宮から離れる側へたどると、子宮壁を通る子宮部、細い峡部、より広い膨大部、開いた端の漏斗部へ続きます。漏斗部の縁には指状の卵管采があります。子宮部は壁内にある短い通路で、子宮口を通して子宮腔へ開きます。外から見える細い峡部と、子宮壁の中を通る部分は位置が違います。

12. 漏斗部の開口と、近くの卵巣

漏斗部の端には腹腔口があり、卵管の内腔が腹膜腔へ通じます。卵管采はその開口の周囲へ広がり、卵巣に近い位置をとります。卵巣と卵管は近接していますが、卵巣の組織が密閉した継ぎ目で卵管につながるのではありません。卵管の区分を読むときは、子宮腔への開口と腹膜腔への開口を別の端として追います。

13. 卵管の内面にはひだがある

卵管の壁は内側から粘膜、平滑筋層、外側の漿膜へ重なります。粘膜は内腔へひだをつくり、ひだは通常、膨大部や漏斗部で複雑です。粘膜の上皮には線毛をもつ細胞と分泌に関わる細胞があり、筋の収縮とともに輸送に関わります。線毛は粘膜の細胞から内腔へ出る細い構造で、卵管の外表面すべてが線毛で覆われるという意味ではありません。

卵管の四区分と内面

子宮側から子宮部、峡部、膨大部、漏斗部へ続きます。漏斗部の腹腔口は腹膜腔へ開き、卵巣と密閉直結しません。粘膜のひだと線毛は内面の構造です。
子宮側から子宮部、峡部、膨大部、漏斗部へ続きます。漏斗部の腹腔口は腹膜腔へ開き、卵巣と密閉直結しません。粘膜のひだと線毛は内面の構造です。

14. 子宮の上から下へ外形を分ける

子宮は厚い筋の壁をもつ器官です。卵管の開口より上へ盛り上がる部分を子宮底、その下の主要部を子宮体と呼びます。体と頸の間には細い子宮峡部があり、さらに下へ子宮頸が続きます。前から見た子宮体の内腔は通常、左右の卵管へ向かう上角と下方の頸管へ向かう角をもつ三角形として表せます。外形と内腔の形は区別し、厚い筋の壁を内腔そのものにしません。

15. 子宮頸管には二つの口がある

子宮頸の中を通る子宮頸管は、上の内子宮口で子宮腔へ、下の外子宮口で腟へ通じます。子宮頸の腟へ突出する部分の周囲には、腟壁との間に腟円蓋というくぼみがあります。外子宮口は頸管の開口で、円蓋は頸の外周のくぼみです。内子宮口から頸管を通り、外子宮口へ進む線を描くと、頸の内部の通路と周囲の空間を分けられます。外子宮口の形には個人差があります。

16. 子宮壁の層を内腔から外へ

子宮体の内面には子宮内膜があり、その外側に厚い平滑筋の子宮筋層があります。内膜は内腔を覆う上皮とその下の組織からなり、筋層寄りの基底層と内腔寄りの機能層に分けます。通常の月経で主に脱落するのは機能層で、基底層は残って内膜の再形成を支えます。最外側は腹膜に覆われる所では漿膜ですが、全表面が一様な漿膜ではありません。子宮頸の粘膜は、子宮体の内膜と同じ周期的脱落層として一括しません。

17. 腟の壁は、頸の外側を囲む

腟は子宮頸から下方の腟口へ続く、筋の壁をもつ管です。上端では子宮頸が腟内へ突出し、その周囲に前・後・左右の円蓋ができます。壁どうしが近接するため、腟の内腔は常に開いた円い筒ではありません。頸管から出る外子宮口と、その周囲の円蓋を、同じ開口にまとめないことが大切です。位置や長さは身体の状態と個人差によって変わります。

子宮頸管の二つの口

内子宮口は子宮腔側、外子宮口は腟側の頸管の開口です。腟円蓋は子宮頸の外周と腟壁とのくぼみです。子宮の厚い壁と、その中の内腔を分けます。
内子宮口は子宮腔側、外子宮口は腟側の頸管の開口です。腟円蓋は子宮頸の外周と腟壁とのくぼみです。子宮の厚い壁と、その中の内腔を分けます。

18. 腟の内面と、その下の筋を分ける

腟の内側は、通常は角化しない重層扁平上皮をもつ粘膜で、その表面にはひだがあります。その外に平滑筋層、さらに外側に周囲へ続く結合組織があります。通常の腟壁には分泌腺はなく、内面を潤す液には子宮頸からの分泌物や壁を通る液などが関わります。粘膜のひだは壁から内腔へ向くもので、独立した腺管ではありません。腟壁を、子宮体の内膜と同じ構造や周期変化として読むことはできません。

子宮体と腟の壁を比べる

子宮体内膜の機能層と基底層、その外側の子宮筋層を分けます。腟粘膜は通常、非角化重層扁平上皮で、腟壁自身に分泌腺はありません。二つの壁を同じ構造として扱いません。
子宮体内膜の機能層と基底層、その外側の子宮筋層を分けます。腟粘膜は通常、非角化重層扁平上皮で、腟壁自身に分泌腺はありません。二つの壁を同じ構造として扱いません。

用語を確かめる

内腔
管や器官の壁に囲まれた内部の空間。
実質
器官の働きを担う組織の部分。
間質
実質の間にある、支持や血管の通路をつくる組織。
白膜
精巣や卵巣の表面にある線維性の被膜。厚さや内部への続き方は器官で異なる。
精巣縦隔
精巣の後方で白膜が厚くなり、精巣網を含む領域。
中隔
内部を区切る組織の壁。精巣では小葉を分ける。
小葉
中隔などで分けられた器官内の小さなまとまり。
精細管
精巣小葉にある、精子形成の上皮をもつ曲がりくねった管。
直精細管
精細管から精巣網へつなぐ短い管。
精巣網
精巣縦隔の中にある管の網。
精巣輸出管
精巣網から精巣上体の頭へ向かう複数の管。
精巣上体管
精巣上体の大部分をつくる、強く巻いた一本の長い管。
粘膜
内腔に向く上皮と、その下の組織からなる膜。
縦走
管の長さに沿って走る方向。
輪走
管を取り巻く方向。
精管膨大部
精管の骨盤内の末端近くで広がる部分。
腺
分泌物をつくる細胞や組織のまとまり。
射精管
精管側の通路と精嚢の管が合わさってでき、前立腺内を通る短い管。
皮質
卵巣の周辺側の領域で、卵胞を含む間質が広がる。
髄質
卵巣の中心側の領域で、血管・神経などを含む。
卵巣門
血管や神経などが出入りする卵巣の付着側の領域。
卵胞腔
発育した卵胞の中にできる、液を含む空間。
卵管子宮部
子宮壁を通り、子宮腔へ開く卵管の部分。壁内部とも呼ばれる。
卵管峡部
子宮の外側近くにある、細い卵管の区分。
卵管膨大部
峡部より外側にある、より広い卵管の区分。
卵管漏斗部
卵巣に近い、開いた端の漏斗状の区分。
卵管采
漏斗部の縁にある、指状の突出。
腹腔口
卵管の内腔が腹膜腔へ通じる側の開口。
漿膜
腹膜などに覆われる器官表面の薄い膜。
子宮底
卵管の開口より上方へ盛り上がる子宮の部分。
子宮峡部
子宮体と子宮頸の間の細い部分。
内子宮口
子宮頸管が上方の子宮腔へ通じる開口。
外子宮口
子宮頸管が下方の腟へ通じる開口。
腟円蓋
腟に突出する子宮頸の周囲にできる、腟壁との間のくぼみ。
基底層
子宮体の内膜の筋層寄りの層。通常の月経でも残り、再形成を支える。
機能層
子宮体の内膜の内腔寄りの層。通常の月経で主に脱落する。
重層扁平上皮
複数の細胞層からなり、表面の細胞が扁平な上皮。腟では通常、角化しない。