肋間の地域差と横隔神経の連続・支配

本文の目次

  1. 肋間の筋性部分と膜性部分
  2. 外肋間筋は前方で膜へ続く
  3. 内肋間筋は後方で膜へ続く
  4. 前・側・後で異なる深い筋
  5. 頸部から胸郭入口へ
  6. 肺根の前と後を通る神経
  7. 心膜と縦隔胸膜の間
  8. 左右で異なる心臓側の目印
  9. 横隔膜の下面へ達する経路
  10. 筋を動かす神経と感覚を伝える神経
  11. 一本の神経に含まれる異なる役割

1. 肋間の筋性部分と膜性部分

肋間を胸骨の前側から脊柱の後側へたどると、同じ層の筋線維が全周を同じ厚さで覆っているわけではありません。浅い外肋間筋、内肋間筋、深い最内肋間筋という順序に加え、筋がどこまで続き、どこで膜へ移るかを確かめます。最内肋間筋は内肋間筋と協力しますが、胸壁を一枚の筋板として覆いません。

2. 外肋間筋は前方で膜へ続く

外肋間筋の代表的な筋性部分は、後方の肋骨結節付近から前方の肋骨と肋軟骨の移行部付近まで続きます。そこから胸骨側へ向かう部分は外肋間膜です。筋が膜へ移っても、肋間そのものが途切れるという意味ではありません。筋線維の厚さや範囲には部位差があります。

3. 内肋間筋は後方で膜へ続く

内肋間筋の筋性部分は、代表的には胸骨側から後方の肋骨角付近まで続きます。その後ろは内肋間膜へ移ります。外肋間筋の膜は前、内肋間筋の膜は後という違いを、同じ肋骨の周囲で対応させます。筋の終わる目印と、肋骨が脊柱へつながる端は別です。

外・内肋間筋の筋性部分と膜性部分

一肋間の後方を画面左、前方を右として広げた二段の範囲模式。上段は外肋間筋の筋性部分が肋骨結節付近から肋軟骨移行部付近までで、その前方に外肋間膜。下段は内肋間筋の筋性部分が胸骨側から肋骨角付近までで、その後方に内肋間膜。破線は膜性部分を直接名付けており、神経や血流の線ではない。二段は別の層で、実際の肋骨の曲率や全個体の長さを固定しない。
外肋間膜は前、内肋間膜は後に続きます。同じ後から前の向きで、二つの層の範囲を比べます。

4. 前・側・後で異なる深い筋

胸壁の内面では、前方の胸骨から広がる胸横筋、側方の最内肋間筋、後方で複数の肋間をまたぐ肋下筋を分けて読めます。これらが全周を継ぎ目なく包む一枚の筋という意味ではありません。胸骨の外側を下る内胸動静脈は、肋軟骨の後ろ、胸横筋の前にあります。血管の位置と、筋の付着先を同じ線にしません。

胸壁深層の地域差と内胸動静脈

上段は胸壁の前、側、後を独立した三つの局所として広げ、前方の胸横筋の扇状筋束、側方の最内肋間筋の途切れた筋束、後方の複数肋間をまたぐ肋下筋を直接名付ける。これらを一枚の連続筋板へつながない。下段は胸骨外側の局所の前後を上下へ広げ、前の肋軟骨と後の胸横筋の間に内胸動脈と内胸静脈の二つの断面を置く。赤青は名付けた血管の区別で、酸素量や流れの矢印は示さない。
深い筋は前・側・後で位置が異なります。下段では肋軟骨と胸横筋の間にある動静脈を、別の局所として読みます。

5. 頸部から胸郭入口へ

横隔神経は主にC3〜C5の前枝に由来し、頸部から横隔膜へ向かう神経です。前斜角筋の前面を下った後、胸郭入口では通常、鎖骨下動脈の前、鎖骨下静脈の後を通ります。動脈と静脈を一本の血管として描くと、この間の位置を読めません。副横隔神経が別に加わる場合や血管との位置関係の違いがあるため、代表的な経路を全員の一本の神経へ固定しません。

横隔神経の由来と胸郭入口の前後

上段はC3、C4、C5の前枝由来の寄与が横隔神経へ集まる関係を示し、実際の頸部の精密投影や全分枝の数を示さない。下段は同じ神経の胸郭入口の局所を広げ、前が画面左、後が右。鎖骨下静脈、横隔神経、鎖骨下動脈をその順に置き、横隔神経が動脈の前、静脈の後を通る通常の関係を直接示す。線は神経の連続で、血流の矢印ではない。副横隔神経や位置の変異は描かない。
胸郭入口では、神経と動脈・静脈を別々に追います。代表的な前後関係であり、副横隔神経などの変異は別にあります。

6. 肺根の前と後を通る神経

胸部へ入った横隔神経は肺根の前を通り、横隔膜へ下ります。迷走神経は肺根の後を通ります。肺根は気管支・肺血管などがまとまって出入りする部分で、これら二つの神経を肺内へ入る気管支の枝として扱いません。前後の経路を、神経の名前へ対応させます。

7. 心膜と縦隔胸膜の間

肺根より前の横隔神経は、線維性心膜と縦隔胸膜の間の結合組織内を下ります。心膜横隔動静脈がこの経路に伴います。神経は胸膜腔という潜在的なすき間の中を遊離して下るのではありません。線維性心膜の内側にある心膜腔へ神経の経路を移さず、肺側の縦隔胸膜との間を追います。

8. 左右で異なる心臓側の目印

右横隔神経は上大静脈の外側から、右心房に接する心膜面を下ります。左横隔神経は大動脈弓の外側を経て、左心室に接する心膜面を下ります。左右とも肺根の前を通りますが、途中で隣り合う大血管と心臓の部位は同じではありません。神経が心房や心室の内腔を通るという意味ではありません。

肺根・心膜と左右の横隔神経

上段は前が画面左の独立した局所で、横隔神経は肺根の前、迷走神経は後を通る。中段は心臓側を左、肺側を右へ広げた層の模式で、線維性心膜と縦隔胸膜の間に横隔神経と伴う心膜横隔動静脈を置き、胸膜腔や心膜腔の内腔へ神経を入れない。下段は前からの左右の目印を別に示し、本人右を画面左に置く。右の神経の内側の目印は上大静脈と右心房側、左の神経の内側の目印は大動脈弓と左心室側。各箱は隣接の関係を広げたもので心腔内通過や精密な一断面を示さない。血流方向や酸素量を示す矢印はない。
肺根の前後、心膜と胸膜の間、左右の隣接構造を三つの局所に分けます。神経は心臓や血管の内腔を通りません。

9. 横隔膜の下面へ達する経路

右横隔神経の終末枝は、通常、下大静脈が通る腱中心の開口付近から横隔膜の下面へ達します。左横隔神経は、通常、左側の筋性部分を貫いて下面へ達します。左右の経路をどちらも食道裂孔へ集めません。横隔膜へ達した神経は終末枝へ分かれて筋線維へ向かい、枝の細かな分布や開口との位置には個体差があります。

10. 筋を動かす神経と感覚を伝える神経

横隔膜の筋性部分を動かすのは横隔神経です。一方、横隔膜を覆う胸膜・腹膜の感覚は、中央部では主に横隔神経、辺縁部では主に下位肋間神経・肋下神経が伝えます。辺縁の感覚を肋間神経が伝えることを、辺縁の横隔膜筋が肋間神経で動くという説明へ置き換えません。中央と辺縁の境界を、全員で同じ距離の円として固定するものでもありません。

横隔膜への終末経路と運動・感覚支配

上段は前からの左右を独立した局所として広げ、本人右は画面左。右の神経終末枝は腱中心右側の下大静脈開口付近から下面へ、左は左側筋性部分を貫いて下面へ達し、筋へ枝を送る通常経路を示す。右の白い開口を血管や神経の輪の凡例とせず、直接名付ける。全開口・全枝・個体差を固定しない。下段は三つの役割を直接対応させ、筋全体の運動は横隔神経、中央部の胸膜・腹膜の感覚は主に横隔神経、辺縁部の膜の感覚は主に下位肋間神経・肋下神経と示す。感覚の境界を実寸の円や別の運動筋として描かない。
右と左で下面への通り方が異なります。膜の感覚を伝える神経と、横隔膜の筋を動かす神経の役割を分けます。

11. 一本の神経に含まれる異なる役割

横隔神経には横隔膜へ送る運動線維と、横隔膜中央部や心膜・縦隔胸膜などから感覚を伝える線維が含まれます。神経の頸部での由来、胸部の幹の走行、終末枝の支配を順に追うと、筋の骨への付着とは別の関係として読めます。筋に作用を生む運動支配と、周囲の膜からの感覚を分けて説明します。

用語を確かめる

外肋間膜
外肋間筋の前方で、肋軟骨の移行部から胸骨側へ続く膜性部分。
内肋間膜
内肋間筋の後方で、肋骨角付近から脊柱側へ続く膜性部分。
肋骨結節
外肋間筋の後方の範囲を読む目印の一つ。
肋骨角
内肋間筋の後方の筋性部分を読む目印の一つ。
胸壁深層の地域差
前・側・後で胸横筋、最内肋間筋、肋下筋の位置を分ける関係。
内胸動静脈
胸骨外側で肋軟骨と胸横筋の間を下行する血管。
胸郭入口
頸部から胸部へ血管や神経が続く上部の境界。
副横隔神経
主経路に加わることのある別の神経経路。存在や合流位置を全員へ固定しない。
横隔神経の肺根前経路
横隔膜へ向かう幹が肺根の前を通る位置関係。
迷走神経の肺根後経路
肺根の後を通る神経経路で、横隔神経の前経路とは別。
線維性心膜
横隔神経の内側に接する心臓を包む丈夫な膜。
縦隔胸膜
横隔神経の肺側に接する壁側胸膜の部分。
心膜横隔動静脈
横隔神経の胸部経路に伴う動静脈。
右横隔神経の目印
上大静脈外側と右心房側の心膜面を下る通常の関係。
左横隔神経の目印
大動脈弓外側と左心室側の心膜面を下る通常の関係。
終末枝
横隔膜へ達した横隔神経が分かれた先の枝。
横隔膜の運動支配
筋線維を動かす横隔神経の役割。
横隔膜中央部の感覚
胸膜・腹膜の中央部で主に横隔神経が伝える感覚。
横隔膜辺縁部の感覚
胸膜・腹膜の辺縁部で主に下位肋間神経・肋下神経が伝える感覚。
神経の由来・走行・支配
神経の始まる分節、幹の通路、枝の届く対象を分けて追う関係。