小腸から直腸へ:位置・腸間膜・血管のつながり

本文の目次

  1. 小腸から盲腸へつながる
  2. 十二指腸を四つに分けて読む
  3. 十二指腸の前後を重ねて読む
  4. 乳頭の開口と胆膵管を分ける
  5. 空腸と回腸には可動性がある
  6. 腸間膜は管腔の外でつながる
  7. 腸間膜根は斜めに続く
  8. 回盲部と虫垂の付着を分ける
  9. 結腸を本人左右の順でたどる
  10. 結腸の外形を直腸へ移さない
  11. 腹膜の面と腸の内腔は別である
  12. 固定部と結腸間膜を分ける
  13. 直腸は仙骨の前に沿う
  14. 直腸の被覆は上下で異なる
  15. 腸へ入る動脈の主系を読む
  16. 静脈の帰還と腸の出口を分ける

1. 小腸から盲腸へつながる

胃の幽門の先は十二指腸、空腸、回腸の順に続き、回腸の末端が盲腸へ開く。小腸は腹部の中央に一枚の平らな輪として並ぶのではなく、ループが重なる管である。結腸はその周囲を大きく囲むが、各部の高さや位置、腸の重なりには幅がある。

2. 十二指腸を四つに分けて読む

十二指腸は上部から下行部、水平部、上行部へ続き、膵頭部を囲むように曲がる。下行部は本人の右側を下り、水平部は左へ横切り、上行部は十二指腸空腸曲へ向かう。上下左右の位置と、管を進む順を合わせると、下行部と上行部を取り違えにくい。

3. 十二指腸の前後を重ねて読む

十二指腸の大部分は後腹膜に位置するが、近位の一部などでは可動性や被覆が同一ではない。水平部は通常、大動脈・下大静脈の前方を通り、上腸間膜動静脈はその前方に関係する。横からの前後を、前面の本人左右と別の軸で読む。これらは近接する別の管で、腸と血管が同じ内腔へ合流する配置ではない。

4. 乳頭の開口と胆膵管を分ける

大十二指腸乳頭は通常、下行部の内側寄りの壁にある。総胆管と主膵管が合流する代表的な型では、肝膵膨大部を経てこの乳頭から十二指腸内へ開く。副膵管が小十二指腸乳頭へ開く型では、その開口は大乳頭より近位側に位置する。乳頭、管の合流、十二指腸内腔を同じ一つの部品とせず、合流や副膵管の有無・開口の型差も分けて読む。

十二指腸の四区分・乳頭と、水平部の前後

上は本人の右が画面左の前面の位置模式で、上部から画面左の下行部、左へ横切る水平部、画面右の上行部へ続く十二指腸の内腔を白く見せる。膵頭部は内側に別の記号で置く。下行部の内側寄りに大乳頭、小乳頭を近位側に置き、総胆管と主膵管の代表的な合流型と肝膵膨大部、大乳頭への開口を示す。副膵管の別の開口は存在する型で示す。線は胆膵管の道で、全分枝や全合流型を示さない。下はこれと独立した横からの前後模式で、画面左が前。上腸間膜動静脈、十二指腸水平部、大動脈/下大静脈の前後関係を別の箱で並べ、同じ管腔の合流にしない。色は酸素量ではない。
前面の本人右は画面左です。四区分と、下行部の内側寄りの乳頭を分けます。胆膵管は代表的な合流・開口型です。下段は独立した前後模式で、腸と血管が近接しても内腔は別です。

5. 空腸と回腸には可動性がある

空腸のループは比較的左上方、回腸は右下方や骨盤内に多いが、両者が常に左右二つの箱へ収まるわけではない。空腸から回腸へは連続し、外から必ず見える一本の境界線はない。腸間膜によって後腹壁側へつながりながら、ループの位置と重なりは変わる。

6. 腸間膜は管腔の外でつながる

空腸・回腸の腸間膜は、腹膜の二葉が腸から後腹壁側へ続く折り返しである。その間には血管、リンパ管、神経などが通り、腸の壁へ向かう。腸の内容物が流れる管腔と、腸間膜の葉の間を同じ通路にしない。腸の内腔は腹膜腔へ開いているわけでもない。

7. 腸間膜根は斜めに続く

小腸の腸間膜根は通常、十二指腸空腸曲付近の左上方から回盲部付近の右下方へ斜めに続く。後腹壁側へ付く根と、長い腸の側へ広がる腸間膜の縁は同じ長さの一本の線ではない。短い根から広がる折り返しの先に腸のループが続く。前面の本人左右と、根から腸へ向かう奥行きの関係を分ける。

空回腸の可動位置と、腸間膜の根・二葉

上は本人の右が画面左の前面の位置模式。左上方の十二指腸空腸曲側を画面右上、右下方の回盲部側を画面左下に置き、その間の斜めの腸間膜根を示す。空腸と回腸のループは位置の傾向の別の線で、全ループ、厳密な境界、唯一の位置を描かない。下は独立した前後模式で左が前、右が後。腸の壁と白い管腔を分け、管腔の外の腸間膜二葉が後腹壁の壁側腹膜へ続く折り返しを示し、腸側の臓側腹膜を直接名付けする。血管・神経・リンパの全経路、腹膜腔全反転は省略。腸管腔を葉の間や腹膜腔へ開かせない。
上の根は本人の左上から右下へ向かう通常の傾向です。腸のループは動き、重なります。下段は別の前後模式で、腸間膜の折り返しを腸の白い管腔と区別します。

8. 回盲部と虫垂の付着を分ける

回腸末端は盲腸の内側寄りへ開き、その開口付近に回盲部の弁がある。盲腸はその下方に袋状に続き、上方は上行結腸へつながる。虫垂は盲腸につながる細い管で、回腸の末端をそのまま虫垂へ延ばしたものではない。盲腸への付着と自由な先端を分け、先端が全例で同じ方向を向くとはしない。

9. 結腸を本人左右の順でたどる

上行結腸は本人の右側を上り、肝の下方の右結腸曲から横行結腸へ続く。横行結腸は左へ横切り、脾の下方の左結腸曲から下行結腸へ続く。下行結腸は本人の左側を下り、S状結腸が骨盤内の直腸へつながる。曲の位置を左右で読むときも、横行・S状のたわみや可動性を一つの形へ固定しない。

10. 結腸の外形を直腸へ移さない

結腸の外側には縦に続く三本の結腸ひも、ふくらみの結腸膨起、脂肪を含む小さな腹膜垂という特徴がある。これらは腸の内腔に並ぶ独立した三本の管ではない。直腸では結腸ひもや結腸膨起をそのまま連続して描かず、結腸と直腸の外形の違いを読む。

回盲部・虫垂と、本人左右でたどる結腸

上は前から見た位置模式で本人の右が画面左。回腸末端は画面左下の盲腸へ開き、虫垂はその盲腸に付く別の細い管として示す。盲腸から画面左の上行結腸、肝下方の右結腸曲、横行、脾下方の左結腸曲、画面右の下行、S状、中央下方の直腸へ白い内腔の連続を示す。横行/S状の形と虫垂の先端は代表的な位置記号で、唯一の正常位置ではない。下は上の投影とは別の、結腸の外表面を広げた模式。ふくらみの結腸膨起、縦走の結腸ひも、外側の脂肪を含む腹膜垂を直接名付けする。結腸の全断面や三本のひもの全周投影を示さず、直腸に同じ外形を並べない。矢印による血流はない。
本人の右は画面左です。回腸の開口と虫垂の付着を分け、結腸から直腸への連続をたどります。下の外表面は別の展開模式で、直腸へ同じ特徴を並べる図ではありません。

11. 腹膜の面と腸の内腔は別である

壁側腹膜は腹壁側、臓側腹膜は臓器側に位置し、両者の間の腹膜腔と、内容物が通る腸管腔は別である。腹膜内の腸は腹膜腔の空の中へ管腔を露出して浮いているのではない。腸の表面を覆う面と、その面が後腹壁へ折り返してつながる関係を読む。

12. 固定部と結腸間膜を分ける

上行・下行結腸は通常、後腹壁へ付く後腹膜側の配置をとる。横行結腸とS状結腸はそれぞれ横行結腸間膜、S状結腸間膜を介して後腹壁へ続き、可動性がある。結腸の各部が全て同じ一本の腸間膜へ付くとはしない。後腹壁への付着や可動性には型差があり、通常の配置を全例の唯一の形へ固定しない。

横行・S状結腸間膜と、上行・下行の付着

二つの独立した前後模式で画面左が前、右が後。上は横行/ S状結腸の間膜を介した付着の一般形として、白い腸管腔と壁を別に描き、管の外の結腸間膜が壁側腹膜へ続く。腸側の臓側腹膜と壁側腹膜は直接名付けする。二つの結腸間膜の実際の根の形や同一の位置を示す図ではない。下は上行/下行結腸の通常の後腹壁側の付着で、後腹壁へ近い腸と前側へ反転する腹膜を描き、全周を同じ長い可動間膜で囲わない。白い管腔を腹膜腔へ開かせない。全反転/全筋膜腔/全型差・血管神経の全経路は省略。
上は間膜を介して続く横行・S状の一般形、下は通常後腹壁側へ付く上行・下行の別の前後模式です。白い腸管腔と、その外側の腹膜の折り返しを分けます。全ての結腸を同じ付着にしません。

13. 直腸は仙骨の前に沿う

S状結腸の先は骨盤内の直腸へ続く。直腸は仙骨・尾骨の前方に位置し、仙骨の曲がりに沿うため、名前どおりの直線の管としては読まない。結腸の各部の続きと、骨盤内へ下る前後関係を分ける。直腸の先は肛門管へ続くが、二つを同じ長さの区分や同じ被覆として扱わない。

14. 直腸の被覆は上下で異なる

直腸の腹膜被覆は部位によって異なる。通常は上部で前面と左右側面、中部で前面が覆われ、下部では腹膜被覆を欠く。これは全長を三つの同じ長さの輪へ切る意味ではない。腹膜の反転位置には幅があり、直腸全体を腹膜に完全に包まれた管や、全て同じ後腹膜の部位として固定しない。

仙骨前の直腸と、上部・中部・下部の被覆差

上は独立した横からの位置模式で画面左が前、右が後。仙骨・尾骨を別に描き、その前方に曲がる直腸から肛門管側への管を示す。全骨盤臓器の投影、肛門括約/性差は省略。下は上とは独立した三部位の横断面の被覆の一般形で、各小図の上が前、下が後。白い管腔と壁の外の腹膜を分け、上部の前/左右側面、中部の前面、下部の被覆なしを直接名付けする。三つの同じ長さの区切り、独立した括約筋輪、全例同じ反転高位ではない。円は被覆を読む断面記号で腸の実形・全壁層を表さない。色は酸素量ではない。
上は仙骨の前方に沿う直腸の別の前後模式です。下の三小図は上が前の横断面で、腹膜の被覆の違いを読みます。全長を同じ長さの三つの輪へ分けたり、全例同じ反転位置へ固定したりしません。

15. 腸へ入る動脈の主系を読む

腹大動脈から上腸間膜動脈と下腸間膜動脈が分かれる。上腸間膜動脈系は小腸の大部分と近位側の結腸などへ、下腸間膜動脈系は遠位側の結腸や上部直腸側などへ供給する。十二指腸には腹腔動脈系と上腸間膜動脈系の両側が関係する。主系の供給域と、全ての枝の起始・吻合を同じ一つの固定境界とせず、枝や境界には型差がある。

16. 静脈の帰還と腸の出口を分ける

腸からの静脈血の主な帰還は腸間膜静脈などを経て門脈へ集まり、肝へ向かう。上腸間膜静脈と脾静脈が門脈につながり、下腸間膜静脈は通常、脾静脈側へ合流するが、合流型を唯一としない。直腸の静脈還流には門脈側と体循環側も関係し、全直腸を門脈だけへまとめない。血液の帰還路と、腸の内容物が盲腸・結腸・直腸へ進む内腔は別の道である。

腸間膜動脈の供給と、静脈の主な帰還

上は腹大動脈から上/下腸間膜動脈へ分かれ、小腸大部/近位側結腸と遠位側結腸/上部直腸側へ向かう動脈の主系の模式。十二指腸は腹腔動脈系も関係することを直接記す。全枝/吻合/固定境界/唯一の起始を描かない。下は通常の静脈の主な合流型の別の模式。上腸間膜静脈と脾静脈が門脈へ向かい、下腸間膜静脈は脾静脈側へ向かい、門脈から肝へ続く。直腸には体循環側の還流も関係すると直接記し、全直腸を門脈だけへまとめない。箱の位置/大きさ/長さは実血管の投影ではなく、合流の型差や全静脈網は省略。赤青は名前付き動静脈の区別で酸素量ではない。腸の内容物の通路はこれらの箱へつながない。
上は動脈の供給、下は静脈の主な帰還の別の模式です。領域の境界や合流には型差があります。十二指腸の二動脈系と、直腸の体循環側の還流を省いて一系統へ固定しません。

用語を確かめる

十二指腸上部
幽門から続く十二指腸の初めの区分。
十二指腸下行部
十二指腸が本人の右側を下る区分。
十二指腸水平部
下行部から左へ横切る区分。
十二指腸上行部
水平部から十二指腸空腸曲へ向かう区分。
十二指腸空腸曲
十二指腸から空腸へ続く曲がりの部位。
大十二指腸乳頭
通常、十二指腸下行部にある胆膵管の開口の隆起。
小十二指腸乳頭
副膵管が開く型で、大乳頭より近位側に位置する開口の隆起。
肝膵膨大部
代表的な合流型で、総胆管と主膵管の合流から大乳頭へ続く部位。
腸間膜
腸から後腹壁へ続く腹膜の折り返し。
腸間膜根
腸間膜が後腹壁側へ付く根の部位。
回盲部
回腸末端と盲腸がつながる局所の部位。
盲腸
回腸の開口の下方に続く袋状の大腸の初めの部分。
虫垂
盲腸へ付着する細い管。
右結腸曲
上行結腸から横行結腸へ続く、肝下方に関係する曲。
左結腸曲
横行結腸から下行結腸へ続く、脾下方に関係する曲。
結腸ひも
結腸の外側に縦に続く縦走筋の帯。
結腸膨起
結腸の外形のふくらみ。
腹膜垂
結腸の外側に付く、脂肪を含む小さな腹膜の付属物。
横行結腸間膜
横行結腸から後腹壁側へ続く腹膜の折り返し。
S状結腸間膜
S状結腸から後腹壁側へ続く腹膜の折り返し。
直腸
S状結腸の先から骨盤内へ下り、仙骨の前方に沿う管の区分。
上腸間膜動脈
腹大動脈から分かれ、小腸大部と近位側の結腸などへ供給する主系の動脈。
下腸間膜動脈
腹大動脈から分かれ、遠位側の結腸や上部直腸側などへ供給する主系の動脈。
下腸間膜静脈
遠位側の腸からの血液の帰還を担い、通常は脾静脈側へつながる静脈。