腎から膀胱へ:組織・血管・尿路のつながり
本文の目次
- 背側の腎を左右で読む
- 前方の隣接は左右で異なる
- 腎の外側の層と、後腹壁
- 腎門の先に腎洞がある
- 腎門の前後を三つの道で分ける
- 皮質・髄質と、錐体の間
- 乳頭から腎杯、腎盂へ
- 大動脈から入り、大静脈へ戻る
- 腎内の動脈を位置と合わせる
- 血管と尿路を別の内腔でたどる
- 尿管は後腹膜から骨盤へ下る
- 狭くなり得る位置を目印で読む
- 膀胱壁を斜めに通る
- 恥骨の後ろで、上方へ広がる
- 三つの開口を入口と出口で分ける
1. 背側の腎を左右で読む
腎は腹膜より後方、脊柱の左右に位置する一対の臓器である。通常は肝臓との関係から右腎が左腎よりやや低い。前から見る図では本人の右が画面左にくる。腎の高さは呼吸や姿勢、個体差でも変わり、二つの腎を同じ水平線上に固定して読まない。
2. 前方の隣接は左右で異なる
右腎の前方には肝臓、十二指腸、結腸の右側の部分などが関係する。左腎の前方には胃、脾臓、膵、結腸の左側の部分などが関係する。同じ臓器が左右へ鏡のように並ぶ配置ではない。上方の副腎は腎の一部ではなく、腎と別の臓器として位置を読む。
3. 腎の外側の層と、後腹壁
腎実質のすぐ外に線維性被膜があり、その外の腎周囲脂肪と腎筋膜の層が腎の位置に関係する。後方には横隔膜や後腹壁の筋、内側には大腰筋などがある。被膜・脂肪・筋膜は尿が流れる管腔ではない。後腹膜の腎を、腸の内腔や腹膜腔の中に浮く内容物として扱わない。
腎の左右の高さと、後腹膜の位置
4. 腎門の先に腎洞がある
腎門は腎の内側のくぼんだ縁にあり、血管や尿路などが出入りする場所である。その内側に続く腎洞には腎杯・腎盂や血管、脂肪などが入る。腎洞という構造を含む空間と、腎盂の尿が流れる内腔は別である。腎洞の全体を尿で満たされた大きな腎盂とはしない。
5. 腎門の前後を三つの道で分ける
主要な腎門構造は通常、前から腎静脈、腎動脈、腎盂の順に読む。腎静脈は血液の帰還側、腎動脈は流入側、腎盂は尿を集め尿管へ続く側である。前後を表す図では、左右の表示と別に前・後の軸を確認する。血管の枝や合流には型の違いがあり、出入りする全構造が常に三本だけとは限らない。
6. 皮質・髄質と、錐体の間
腎皮質は外側の組織領域、髄質は内側の領域である。髄質の腎錐体の間へ皮質の組織が続く部分が腎柱である。腎柱を尿で満たされた空のすき間や、単なる結合組織の板とはしない。錐体の頂点の腎乳頭は、腎の外側の皮質へ突き出す先ではなく、尿を受ける小腎杯側に向く。
7. 乳頭から腎杯、腎盂へ
集合管の出口側からの尿は腎乳頭を経て小腎杯へ渡る。小腎杯が集まって大腎杯へ、さらに腎盂へ続き、腎盂が狭まる先が尿管である。小腎杯は乳頭側を受ける位置、大腎杯は複数の受け口をまとめる位置として読む。乳頭そのものを袋の腎杯や血管の枝と取り替えない。
皮質・錐体・乳頭と、腎門の前後
8. 大動脈から入り、大静脈へ戻る
腎動脈は腹大動脈から腎へ向かう血液の流入路で、腎静脈は下大静脈へ戻る帰還路である。左右の腎はそれぞれ流入と帰還の道を持つ。尿を集めた腎盂から腎静脈へそのまま排出する構造ではない。動静脈の通常の主経路と、追加の血管や分岐の型の違いは分ける。
9. 腎内の動脈を位置と合わせる
腎動脈から区域へ向かう枝が分かれ、その先の葉間動脈は腎柱側を通る。弓状動脈は皮質と髄質の境付近を弧状に走り、そこから皮質へ向かう小枝が分かれる。血管の名前の並びを、腎盂や腎杯へ尿を送る順序と混ぜない。血管の弧と、尿を受ける腎杯の輪郭は別の構造である。
10. 血管と尿路を別の内腔でたどる
腎の血液は動脈から入り、腎内の血管を通って静脈へ戻る。一方、形成された尿は集合管の出口側から腎杯・腎盂・尿管へ進む。二つの道が腎門や腎洞で近くにあっても、同じ一つの内腔にはならない。腎静脈へ戻る血液と、尿管を下る尿の向きを分けると、流入・帰還・尿の出口を取り違えにくい。
腎動静脈の血液と、腎杯からの尿
11. 尿管は後腹膜から骨盤へ下る
尿管は腎盂から続き、後腹膜を下る。通常は大腰筋の前面付近を通り、骨盤縁の腸骨血管との交差付近から骨盤内へ進む。骨盤内では外側の壁寄りを通った後、膀胱に近づくと内側へ曲がる。尿管の左右の管と、膀胱から出る尿道は別である。
12. 狭くなり得る位置を目印で読む
腎盂から尿管へ移る部分、骨盤縁の腸骨血管との交差付近、膀胱壁へ進入する部分は、尿管の狭くなり得る位置として挙げられる。これらは通る場所の目印であり、全例で同じ程度に狭い三つの輪が並ぶという意味ではない。位置や太さには幅があり、管の曲がりと内腔の狭さも同じものではない。
13. 膀胱壁を斜めに通る
尿管は膀胱の壁を斜めに通り、内面の尿管口へ開く。壁内に長さを持つ斜行路は、尿が膀胱へ入る道の形に関係する。尿管口を独立した括約筋の輪と同じ構造にしない。斜めに通るという配置と、常に一つの状態で閉じているという説明も区別する。
尿管の目印と、膀胱壁への進入
14. 恥骨の後ろで、上方へ広がる
空に近い膀胱は主に骨盤内の恥骨の後方にある。尿がたまると上方へ広がり、上面の腹膜との関係も変わる。壁には排尿筋という平滑筋があり、内面は伸展に対応する尿路上皮で覆われる。全表面を同じ腹膜被覆で囲んだ袋や、硬い容器として固定しない。
15. 三つの開口を入口と出口で分ける
膀胱の内面で、左右の尿管口と下方中央の内尿道口を三つの頂点として読む領域が膀胱三角である。この部分の内面は比較的なめらかで、周囲の粘膜のひだと区別できる。左右の尿管口は尿の入口、内尿道口は尿道への出口である。二つの尿管が互いに合わさって一つの尿管口になるのではなく、膀胱に別々に開く。
膀胱三角の二つの入口と、一つの出口
用語を確かめる
- 線維性被膜
- 腎実質を直接覆う結合組織性の膜。
- 腎門
- 腎の内側のくぼんだ縁で、血管・尿路などが出入りする部位。
- 腎洞
- 腎門の内側に続き、腎杯・腎盂や血管、脂肪などを含む空間。
- 腎皮質
- 腎の外側の組織領域。
- 腎髄質
- 腎の内側の組織領域で、腎錐体がある。
- 腎柱
- 錐体の間へ続く皮質の組織。
- 腎錐体
- 腎髄質の錐体状の部分で、頂点が腎乳頭となる。
- 腎乳頭
- 錐体の頂点で、集合管の出口側が小腎杯へ向く部位。
- 小腎杯
- 乳頭側からの尿を受ける尿路の受け口。
- 大腎杯
- 複数の小腎杯が集まってでき、腎盂へ続く部分。
- 腎盂
- 腎杯からの尿をまとめ、尿管へ続く尿路。
- 腎動脈
- 腹大動脈から腎へ向かう血液の流入路。
- 腎静脈
- 腎から下大静脈へ血液を戻す帰還路。
- 葉間動脈
- 腎柱側を通る腎内の動脈の枝。
- 弓状動脈
- 皮質と髄質の境付近を弧状に走る動脈の枝。
- 尿管口
- 尿管が膀胱内面に開く入口。
- 膀胱三角
- 左右の尿管口と内尿道口を三つの頂点として読む内面の領域。
- 内尿道口
- 膀胱から尿道へ続く内面の出口。