下腿の外在筋と足関節を通る腱

本文の目次

  1. 下腿の四つの区画
  2. 足首の動きと足底の向き
  3. 腱の行き先になる骨の目印
  4. 区画へ分かれる運動神経
  5. 前脛骨筋は足の内側へ届く
  6. 長母趾伸筋は母趾の背側へ
  7. 長趾伸筋は第2〜5趾へ分かれる
  8. 第三腓骨筋は前を通る
  9. 足首の前で伸筋腱を押さえる
  10. 長腓骨筋は足底を横切る
  11. 短腓骨筋は第5中足骨へ
  12. 外果の後ろから分かれる二本
  13. 腓腹筋の二つの頭
  14. ヒラメ筋は膝をまたがない
  15. 足底筋の細長い腱
  16. 浅い後面から踵へ力を伝える
  17. 後脛骨筋は足根へ広がる
  18. 長趾屈筋は四本の腱になる
  19. 長母趾屈筋は母趾の足底側へ
  20. 内果の後ろを通る深い腱
  21. 通り道と作用を一緒に追う

1. 下腿の四つの区画

膝から足首までの下腿には、内側の脛骨と外側の腓骨があります。その間の骨間膜は、二つの骨をつなぐ丈夫な膜です。筋は筋膜や骨に囲まれた前区画・外側区画・浅い後区画・深い後区画にまとまります。筋腹が下腿にあり、長い腱が足へ届く筋を、足の外在筋として読みます。足の中に筋腹を持つ内在筋とは、始まる場所が異なります。

2. 足首の動きと足底の向き

足の甲を下腿の前面へ近づける動きが背屈、反対向きが底屈です。足首の距腿関節ではこの動きが主になります。足底を内側へ向ける内反と、外側へ向ける外反には、距骨と踵骨の間など足部の関節も関わります。足趾を曲げる屈曲と伸ばす伸展は、足首の背屈・底屈とは別の関節の動きです。一つの筋が複数の関節をまたげば、作用も関節ごとに読むことができます。

3. 腱の行き先になる骨の目印

内果は脛骨遠位の内側の隆起、外果は腓骨遠位の外側の隆起です。踵を作る踵骨の後面には、腱が付く踵骨隆起があります。舟状骨と内側楔状骨は足根の内側寄り、立方骨は外側寄りの骨です。中足骨の根元を中足骨底と呼び、第5中足骨の外側の隆起が第5中足骨粗面です。母趾には基節骨と末節骨、他の趾には基節骨・中節骨・末節骨があります。筋が始まる付着を起始、腱の行き先の付着を停止として、骨の場所をつなげます。

4. 区画へ分かれる運動神経

坐骨神経から続く脛骨神経は、下腿の浅い後区画と深い後区画の筋へ運動の枝を送ります。総腓骨神経から分かれる深腓骨神経は前区画へ、浅腓骨神経は外側区画へ向かいます。深後区画の近位には、既に見た膝窩筋もあります。膝窩筋は膝の後ろを短く斜めにつなぐ筋で、足まで届く三つの長い筋とはまたぐ関節が異なります。

下腿の四区画と支配神経

方向付きの位置模式と、区画へ向かう運動神経の対応を別の囲みで示す。後区画の全筋が同じ作用だけを持つという意味ではない。
方向付きの位置模式と、区画へ向かう運動神経の対応を別の囲みで示す。後区画の全筋が同じ作用だけを持つという意味ではない。

5. 前脛骨筋は足の内側へ届く

脛骨外側顆と脛骨外側面の上部、隣接する骨間膜から始まります。内側楔状骨の内側・足底側と第1中足骨底へ停止します。足首を背屈し、足部を内反させます。支配神経は深腓骨神経です。脛骨の外側に沿う筋です。腱は足首の前を通って足の内側へ向かいます。

6. 長母趾伸筋は母趾の背側へ

腓骨前面の中部と隣接する骨間膜から始まります。母趾の末節骨底の背側へ停止します。母趾を伸展し、足首の背屈にも関わります。支配神経は深腓骨神経です。筋腹は前脛骨筋と長趾伸筋の間の深側にあります。腱は足首の前から母趾の背側へ続きます。

7. 長趾伸筋は第2〜5趾へ分かれる

脛骨外側顆、腓骨前面の上部と隣接する骨間膜から始まります。第2〜5趾の背側で腱が分かれ、中節骨と末節骨へ続きます。第2〜5趾を伸展し、足首を背屈します。足部の外反も助けます。支配神経は深腓骨神経です。前区画の比較的外側にあります。遠位では四本の腱に分かれ、足背から第2〜5趾へ向かいます。

8. 第三腓骨筋は前を通る

腓骨前面の遠位部と隣接する骨間膜から始まります。第5中足骨底の背側へ停止します。足首の背屈と足部の外反を助けます。支配神経は深腓骨神経です。存在する通常形では、長趾伸筋の近くから足首の前を通ります。第三腓骨筋を欠く人や、長趾伸筋との分かれ方に違いがある人もいます。

9. 足首の前で伸筋腱を押さえる

前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋の腱は足首の前を通ります。通常、内側から前脛骨筋腱、長母趾伸筋腱、長趾伸筋腱の順になり、存在する第三腓骨筋腱はさらに外側です。伸筋支帯は、これらの腱を足首の近くに保つ丈夫な結合組織の帯です。腱を支える帯と、腱が伝える筋の力を分けて読むと、足背から母趾・他の趾へ続く道がつながります。

足首前面の腱と停止

前面の腱を内側から外側へ並べ、各停止の骨へ線を接続する。上段は位置の順序を読む模式で、左右を反転した人体図ではない。第三腓骨筋は存在する通常形だけを示す。
前面の腱を内側から外側へ並べ、各停止の骨へ線を接続する。上段は位置の順序を読む模式で、左右を反転した人体図ではない。第三腓骨筋は存在する通常形だけを示す。

10. 長腓骨筋は足底を横切る

腓骨頭と腓骨外側面の上部から始まります。第1中足骨底と内側楔状骨の足底側へ停止します。足部を外反させ、足首の底屈を助けます。足のアーチを支える働きにも関わります。支配神経は浅腓骨神経です。短腓骨筋より浅い層にあります。腱は外果の後ろを通り、立方骨の足底側で向きを変えて足底を横切ります。

11. 短腓骨筋は第5中足骨へ

腓骨外側面の下部から始まります。第5中足骨粗面へ停止します。足部を外反させ、足首の底屈を助けます。支配神経は浅腓骨神経です。長腓骨筋より深い層から来る腱です。外果の後ろでは長腓骨筋腱の前側に並び、足の外側の第5中足骨へ続きます。

12. 外果の後ろから分かれる二本

長・短腓骨筋の腱は、腓骨筋支帯に支えられながら外果の後ろを通ります。この場所では短腓骨筋腱が前側、長腓骨筋腱が後ろ側です。短腓骨筋腱は足の外側の第5中足骨粗面へ届きます。長腓骨筋腱は立方骨の足底側の溝を通り、足底を横切って内側の第1中足骨底などへ届きます。同じ外側区画から来ても、最後の停止は別の場所です。

外果後方の並びと別の停止

上段は外果に対して後ろから前への方向と、短腓骨筋腱が長腓骨筋腱より前に並ぶ関係。下段は長い腱の立方骨足底側を経る道と、短い腱の第5中足骨粗面への道を分ける。
上段は外果に対して後ろから前への方向と、短腓骨筋腱が長腓骨筋腱より前に並ぶ関係。下段は長い腱の立方骨足底側を経る道と、短い腱の第5中足骨粗面への道を分ける。

13. 腓腹筋の二つの頭

内側頭と外側頭が、大腿骨のそれぞれ内側顆・外側顆付近の後方から始まります。ヒラメ筋とともに踵骨腱へ力を伝え、踵骨隆起の後面へ停止します。足首を底屈し、膝の屈曲にも関わります。支配神経は脛骨神経です。下腿後面の浅い筋です。二つの頭は一つの筋の部分で、膝と足首の両方をまたぎます。

14. ヒラメ筋は膝をまたがない

腓骨頭・腓骨後面上部と、脛骨のヒラメ筋線付近および内側縁から始まります。踵骨腱を介して踵骨隆起の後面へ停止します。足首を底屈し、立位で下腿と足の関係を支える働きに関わります。支配神経は脛骨神経です。腓腹筋の深側に広がる筋です。起始は下腿の骨にあり、膝関節をまたぎません。

15. 足底筋の細長い腱

大腿骨の外側顆より上方の外側顆上線付近から始まります。細長い腱が下り、踵骨の後方へ停止します。踵骨腱との結び付き方には違いがあります。膝屈曲と足首の底屈を弱く助けます。支配神経は脛骨神経です。小さな筋腹と長い腱を持ち、腓腹筋とヒラメ筋の間を下ります。足底筋を欠く人もいます。足底にある内在筋をまとめて呼ぶ名前ではありません。

16. 浅い後面から踵へ力を伝える

腓腹筋とヒラメ筋は踵骨腱、いわゆるアキレス腱を通して踵骨後面へ力を伝えます。腱は足首の後ろを通るので、両筋は足首の底屈に関わります。腓腹筋は大腿骨から始まって膝もまたぎますが、ヒラメ筋は下腿の骨から始まり膝をまたぎません。足底筋は小さな筋腹から長い腱が下る別の筋です。その存在や踵付近での結び付き方には個人差があります。

腓腹筋・ヒラメ筋・足底筋

腓腹筋の二頭を一筋体内の部分として示し、ヒラメ筋の下腿起始と区別して踵骨腱へ接続する。足底筋は下の別囲みに置き、細長い腱と欠如の個人差を示す。
腓腹筋の二頭を一筋体内の部分として示し、ヒラメ筋の下腿起始と区別して踵骨腱へ接続する。足底筋は下の別囲みに置き、細長い腱と欠如の個人差を示す。

17. 後脛骨筋は足根へ広がる

脛骨と腓骨の後面および両骨の間の骨間膜から始まります。主に舟状骨粗面へ停止し、楔状骨などの足根骨や第2〜4中足骨底へも腱の付着が広がります。足部を内反させ、足首の底屈を助け、足のアーチを支えます。支配神経は脛骨神経です。下腿後面の深い層で両骨の間にあります。腱は内果の後ろを通り、足の内側から足根骨へ続きます。

18. 長趾屈筋は四本の腱になる

脛骨後面のヒラメ筋線より下方から始まります。足底で四本に分かれ、第2〜5趾の末節骨底の足底側へ停止します。第2〜5趾を屈曲し、足首の底屈も助けます。支配神経は脛骨神経です。筋腹は後脛骨筋より内側寄りにあります。内果の後ろから足底へ進む腱は、母趾ではなく第2〜5趾へ向かいます。

19. 長母趾屈筋は母趾の足底側へ

腓骨後面の下部と隣接する骨間膜から始まります。母趾の末節骨底の足底側へ停止します。母趾を屈曲し、足首の底屈も助けます。支配神経は脛骨神経です。筋腹は深後区画の外側寄りにありますが、腱は内果の後ろへ向かい、距骨後方から足底を通って母趾へ続きます。

20. 内果の後ろを通る深い腱

内果の後ろでは、前から後ろへ後脛骨筋腱、長趾屈筋腱、血管・脛骨神経の通路、長母趾屈筋腱という通常の並びを追えます。屈筋支帯はこれらの通路を覆う結合組織の帯です。後脛骨筋腱は足根の内側へ、長趾屈筋腱は第2〜5趾へ、長母趾屈筋腱は母趾へ続きます。下腿で外側寄りにある長母趾屈筋の筋腹と、内果の後ろへ来る腱の位置をつなげて読みます。

内果後方の腱・血管・神経と行き先

内果後方の前後順を上段で示す。下段は三つの腱を足根・第2〜5趾・母趾へそれぞれ接続する。血管と脛骨神経の通路を、筋腱の共通停止へ混ぜない。
内果後方の前後順を上段で示す。下段は三つの腱を足根・第2〜5趾・母趾へそれぞれ接続する。血管と脛骨神経の通路を、筋腱の共通停止へ混ぜない。

21. 通り道と作用を一緒に追う

前を通る伸筋腱は足首の背屈や足趾伸展へ、外果の後ろを通る長・短腓骨筋腱は外反と底屈の助けへつながります。内果の後ろを通る後脛骨筋腱は内反と底屈へ、長い屈筋腱は足趾屈曲と底屈へつながります。前脛骨筋と後脛骨筋は共に内反に関わりますが、足首では前者が背屈、後者が底屈を助けます。足底筋という一つの筋の名前と、足に筋腹を持つ内在筋のまとまりを区別しながら、腱の行き先まで追います。

前後の脛骨筋と異なる作用

前脛骨筋・後脛骨筋は内反に関わる点を共有するが、足首前後の通路と背屈・底屈は異なる。別の囲みで足首・足底の向き・足趾の三関係を分ける。
前脛骨筋・後脛骨筋は内反に関わる点を共有するが、足首前後の通路と背屈・底屈は異なる。別の囲みで足首・足底の向き・足趾の三関係を分ける。

用語を確かめる

下腿
膝から足首までの領域。脛骨は内側、腓骨は外側にあります。
骨間膜
脛骨と腓骨の間をつなぐ丈夫な膜。
筋区画
筋膜や骨で囲まれた筋のまとまり。下腿では前・外側・浅後・深後を分けます。
外在筋・内在筋
足の外で筋腹を持ち足へ腱を送る筋と、足の中に筋腹を持つ筋の区別。
背屈・底屈
足の甲が下腿の前面へ近づく動きと、反対向きの動き。
内反・外反
足底が内側または外側へ向く動き。複数の足部関節が関わります。
足趾屈曲・伸展
足趾の関節を曲げる動きと伸ばす動き。
距腿関節
脛骨・腓骨の遠位部と距骨がつくる足首の主要な関節。
内果
脛骨遠位の内側の隆起。
外果
腓骨遠位の外側の隆起。
踵骨隆起
踵骨後面の腱が付く隆起。
舟状骨・舟状骨粗面
足根の内側寄りにある舟状骨と、その内側の腱が付く隆起。
内側楔状骨
足根内側寄りの骨。第1中足骨の近位側です。
立方骨
足根の外側寄りの骨。長腓骨筋腱が足底側を通ります。
中足骨底
中足骨の根元の部分。
第5中足骨粗面
第5中足骨底の外側にある腱付着の隆起。
母趾・末節骨
第1趾と、趾の先端側の骨。母趾には中節骨がありません。
起始・停止
筋が始まる付着と、腱の行き先の付着を整理する呼び方。
脛骨神経
坐骨神経から続き、下腿後区画の筋へ運動枝を送る神経。
総腓骨神経
坐骨神経の腓骨神経成分から続き、深・浅腓骨神経などに分かれる神経。
深腓骨神経
下腿前区画の筋を支配する神経。
浅腓骨神経
下腿外側区画の筋を支配する神経。
伸筋支帯
足首の前にある伸筋腱を保つ結合組織の帯。
腓骨筋支帯
外果付近で長・短腓骨筋腱を支える結合組織の帯。
踵骨腱
腓腹筋・ヒラメ筋などから踵骨後面へ力を伝える腱。アキレス腱とも呼びます。
ヒラメ筋線
脛骨後面にある骨の線で、ヒラメ筋起始の目印。
屈筋支帯
内果の後ろの腱・血管・神経の通路を覆う結合組織の帯。
前脛骨筋
脛骨の外側に沿う筋です。腱は足首の前を通って足の内側へ向かいます。
長母趾伸筋
筋腹は前脛骨筋と長趾伸筋の間の深側にあります。腱は足首の前から母趾の背側へ続きます。
長趾伸筋
前区画の比較的外側にあります。遠位では四本の腱に分かれ、足背から第2〜5趾へ向かいます。
第三腓骨筋
存在する通常形では、長趾伸筋の近くから足首の前を通ります。第三腓骨筋を欠く人や、長趾伸筋との分かれ方に違いがある人もいます。
長腓骨筋
短腓骨筋より浅い層にあります。腱は外果の後ろを通り、立方骨の足底側で向きを変えて足底を横切ります。
短腓骨筋
長腓骨筋より深い層から来る腱です。外果の後ろでは長腓骨筋腱の前側に並び、足の外側の第5中足骨へ続きます。
腓腹筋
下腿後面の浅い筋です。二つの頭は一つの筋の部分で、膝と足首の両方をまたぎます。
ヒラメ筋
腓腹筋の深側に広がる筋です。起始は下腿の骨にあり、膝関節をまたぎません。
足底筋
小さな筋腹と長い腱を持ち、腓腹筋とヒラメ筋の間を下ります。足底筋を欠く人もいます。足底にある内在筋をまとめて呼ぶ名前ではありません。
後脛骨筋
下腿後面の深い層で両骨の間にあります。腱は内果の後ろを通り、足の内側から足根骨へ続きます。
長趾屈筋
筋腹は後脛骨筋より内側寄りにあります。内果の後ろから足底へ進む腱は、母趾ではなく第2〜5趾へ向かいます。
長母趾屈筋
筋腹は深後区画の外側寄りにありますが、腱は内果の後ろへ向かい、距骨後方から足底を通って母趾へ続きます。