リンパ節と胸腺の位置・内部・出入口
本文の目次
- リンパ節と胸腺を、場所とつくりから見る
- リンパ節が集まる場所
- 被膜と、内部を支える骨組み
- 皮質・傍皮質・髄質の並び
- 集まる細胞と、通るすき間
- リンパは被膜のすぐ内側へ入る
- 洞をつないで出口へたどる
- 門でリンパの出口と血管を分ける
- 管の方向は、その節を基準にする
- 胸腺は胸骨の後ろにある
- 胸の中の前後と、外側の隣接
- 被膜から小葉へ
- 小葉の外側と内側
- 同じ皮質でも、器官が違う
- 胸腺を養う血管
- 胸腺への血流と、リンパの出口
- 年齢によって見え方が変わる
- 外形から内部の道筋へ
1. リンパ節と胸腺を、場所とつくりから見る
リンパ節は、リンパ管の途中にある小さな器官です。胸腺は胸の中央にあり、左右の葉からなる器官です。どちらにもリンパ球という細胞がありますが、体内での場所と内部のつくりは異なります。まず周囲との境界を見つけ、内部の区分と出入口をたどります。
2. リンパ節が集まる場所
首、腋の下、鼠径部などにはリンパ節が集まる場所があります。鼠径部は下腹部と大腿の境目です。胸や腹部の深いところにもリンパ節があります。一つの節を通ったリンパが、管を経て次の節へ進む経路もあります。節の並び方や流入する領域には違いがあるため、これらの代表的な場所だけで全身の経路が決まるわけではありません。
3. 被膜と、内部を支える骨組み
細胞や線維などからなり、組織をつなぎ支える組織を結合組織といいます。リンパ節の表面は、被膜という結合組織の層で包まれます。被膜から内部へ入る結合組織の柱を小柱といいます。小柱は内部を支えますが、全ての領域を密閉した別々の袋に分ける壁ではありません。さらに細い細網線維とそれを支える細胞が、内部の細胞を支える網をつくります。
4. 皮質・傍皮質・髄質の並び
リンパ節では、被膜の内側の外周部を皮質、中心から門に近い部分を髄質と呼びます。門は表面がくぼみ、管や血管が出入りする場所です。皮質の深い部分にある傍皮質は、外側の皮質と髄質の間に位置します。これらの名前は、節の中での位置を表します。
5. 集まる細胞と、通るすき間
外側の皮質には、リンパ球が丸く集まったリンパ小節があり、B細胞が多く見られます。傍皮質にはT細胞が多く見られます。B細胞とT細胞はいずれもリンパ球の種類です。リンパ小節の中に明るく見える胚中心ができることがありますが、全ての小節にいつもあるわけではありません。髄質には細胞の集まった髄索と、その間の髄洞があります。髄索は細胞の帯、髄洞はリンパの通るすき間です。
リンパ節の外側と内側
6. リンパは被膜のすぐ内側へ入る
節へ入るリンパ管を輸入リンパ管、節から出るリンパ管を輸出リンパ管といいます。輸入・輸出は、この節を基準にした呼び名です。輸入リンパ管は主に表面のふくらんだ側から入り、被膜のすぐ内側にある被膜下洞へつながります。洞とは、この場合リンパが通るすき間です。
7. 洞をつないで出口へたどる
被膜下洞から、リンパは小柱に沿う洞などを経て髄洞へ進み、門から出る輸出リンパ管へ続きます。途中の洞には細胞や細い支持構造があり、空の太い管が一本まっすぐ貫く形ではありません。流れる道と、その周りに集まる細胞の場所を分けて見ると、内部の構造をたどりやすくなります。
8. 門でリンパの出口と血管を分ける
リンパ節の門には、輸出リンパ管に加え、節の組織へ血液を供給する動脈と、血液を戻す静脈が出入りします。血液は細い血管へ分かれて節の組織を養い、静脈へ集まります。リンパが被膜下洞や髄洞を通る経路は、動脈から毛細血管を経て静脈へ進む血液の経路とは別です。両方の管が門にあることは、ここでリンパと血液が一本の管に合流するという意味ではありません。
9. 管の方向は、その節を基準にする
二つのリンパ節が管でつながる場合、上流の節から出る管はその節にとって輸出側で、下流の節へ入る管は下流の節にとって輸入側です。リンパ節は管の途中にあり、器官の内部に動脈と静脈もあります。一つの図でリンパの道を追うときは、どの節への入口かを先に確かめます。
リンパの道と、血液の道
10. 胸腺は胸骨の後ろにある
胸腺は主に胸骨の後ろ、心臓を包む心膜や大血管の前に位置します。左右の肺の間の領域を縦隔といい、胸腺はその前方で上部から前方の下部へ広がります。上端が首の下部へ伸びることもあります。胸腺の左右の葉は結合組織でつながり、二つの独立した器官として数えるものではありません。
11. 胸の中の前後と、外側の隣接
胸腺の位置を前から後ろへ見ると、胸骨、胸腺、心膜や大血管という関係をとらえられます。上部の後ろには左腕頭静脈などが近接します。肺を包む胸膜のうち、縦隔に面する胸壁側の部分を縦隔胸膜といいます。胸腺の外側との境界に関わります。横隔神経は横隔膜へ向かう神経で、縦隔胸膜と心膜の間を下ります。胸腺の中央を貫く神経として描くものではありません。
胸腺の前後と外側の隣接
12. 被膜から小葉へ
胸腺も結合組織の被膜をもち、そこから内部へ入る中隔によって小葉に分けられます。小葉とは、器官の内部の小さなまとまりです。中隔は小葉の全周を完全に切り離す壁ではありません。隣り合う小葉の髄質は内部で連続するため、全ての小葉を独立した閉じた袋として見ると形を取り違えます。
13. 小葉の外側と内側
胸腺の小葉では、外側の皮質に胸腺細胞が密に集まります。胸腺細胞は胸腺内で成熟過程にあるT細胞です。内側の髄質は皮質より細胞の集まりが疎で、上皮性の細胞などもあります。染色した断面では皮質が濃く、髄質が淡く見えることがあります。皮質と髄質の違いは、単なる空洞と壁の違いではありません。
14. 同じ皮質でも、器官が違う
リンパ節の外側の皮質ではリンパ小節を目印にできます。胸腺の皮質では胸腺細胞が密に集まり、その内側に髄質が続きます。皮質という名前が共通でも、そこにある細胞の集まりや内部の配置が同じになるわけではありません。リンパ節の髄質の髄索・髄洞を、そのまま胸腺の髄質へ当てはめず、それぞれの器官の断面として見ます。
胸腺の葉・小葉・連続する髄質
15. 胸腺を養う血管
胸腺には細い動脈枝が入り、内部の毛細血管などを経て静脈へ血液が戻ります。内胸動脈や下甲状腺動脈などからの枝が代表的ですが、枝の起こり方や入り方には違いがあります。小葉を分ける結合組織の中にも血管が通ります。左右の葉と各小葉を、門が出入口の目印となるリンパ節と同じ形にすることはできません。
16. 胸腺への血流と、リンパの出口
胸腺にも血管と、外へ向かう輸出リンパ管があります。一方、周囲の組織からリンパを受ける輸入リンパ管は通常ありません。リンパ節のように、組織から届いたリンパを輸入管で受けて洞を通す並びとは異なります。血液から細胞が胸腺へ到達することと、輸入リンパ管でリンパが入ることは、別の経路です。
17. 年齢によって見え方が変わる
胸腺は成長後、年齢とともに実質が減り、脂肪組織が増える傾向があります。実質とは、その器官の働きを担う組織です。成人では外形や、皮質・髄質を見分けられる組織の量が若い時期と異なります。ただし、成人の胸腺が一律に全て脂肪となり、胸腺組織が全くないという意味ではありません。
18. 外形から内部の道筋へ
リンパ節では、被膜に囲まれた皮質・傍皮質・髄質と、輸入管から洞を経て輸出管へ進む道を合わせて見ます。胸腺では、胸骨の後ろという位置、左右の葉、小葉の皮質と連続する髄質を合わせて見ます。器官の名前だけでなく、境界、内部のまとまり、入る管と出る管を対応させると、両者の形を区別できます。
用語を確かめる
- 被膜
- 器官の外側を包む結合組織の層。
- 結合組織
- 細胞や線維などからなり、組織をつなぎ支える組織。
- 小柱
- 被膜から内部へ入る柱状の結合組織。
- 細網線維
- 細い網として細胞を支える線維。
- 皮質
- ここでは器官または小葉の外側にある領域。
- 髄質
- ここでは器官または小葉の内側にある領域。
- 門
- 器官表面のくぼみにある管や血管の出入口。
- 傍皮質
- リンパ節の外側皮質と髄質の間にある深い皮質の領域。
- リンパ小節
- リンパ球が丸く集まった構造。
- B細胞
- リンパ球の一種で、リンパ節では外側皮質の小節に多い。
- T細胞
- リンパ球の一種で、リンパ節では傍皮質に多い。
- 胚中心
- 反応に伴いリンパ小節の内部にできる明るい領域。
- 髄索
- リンパ節髄質の細胞が集まった帯。
- 髄洞
- リンパ節髄質でリンパが通るすき間。
- 輸入リンパ管
- その器官へリンパを運び入れる管。
- 輸出リンパ管
- その器官からリンパを運び出す管。
- 洞
- ここではリンパ節内でリンパが通るすき間。
- 被膜下洞
- リンパ節の被膜のすぐ内側にあるリンパの通路。
- 縦隔
- 左右の肺の間にある胸の中央の領域。
- 心膜
- 心臓を包む膜。
- 縦隔胸膜
- 胸膜のうち縦隔側を覆う部分。
- 横隔神経
- 横隔膜へ向かう神経。胸では心膜と縦隔胸膜の間を下る。
- 中隔
- 組織や器官の内部を分ける仕切り。
- 小葉
- 器官の内部の小さなまとまり。
- 胸腺細胞
- 胸腺内で成熟過程にあるT細胞。
- 実質
- 器官の働きを担う組織。