正常な中枢構造・機能の地図

本文の目次

  1. 脳の主要部分を位置で分ける
  2. 半球の表面と内側の連絡
  3. 四つの脳葉と二つの溝
  4. 中心溝の前側と後側
  5. 前頭葉と頭頂葉の代表機能
  6. 側頭葉と後頭葉の代表機能
  7. 大脳の深部と運動の調節
  8. 海馬と扁桃体の場所と役割
  9. 第三脳室の周囲の視床と視床下部
  10. 視床下部と下垂体の連絡
  11. 中脳・橋・延髄を順にたどる
  12. 呼吸・循環の調節と覚醒
  13. 小脳の協調・姿勢・学習
  14. 脊髄の横断面と二つの角
  15. 後根・前根と後根神経節
  16. 合流した脊髄神経は混合神経
  17. 成人の脊髄下端と馬尾
  18. 髄節と椎骨の高さを分ける
  19. 三つの髄膜と脳表の凹凸
  20. 頭蓋内と脊柱管の膜間の空間
  21. 脳室をつなぐ順序と位置
  22. 第四脳室から中枢の周囲へ
  23. 脈絡叢での産生と髄液の回収
  24. 髄液が支える環境
  25. 内皮がつくる血液脳関門
  26. 血液髄液関門との違い
  27. 二つの動脈系と脳底の連絡
  28. 脳の静脈血と髄液を別に戻す

1. 脳の主要部分を位置で分ける

中枢神経系は脳と脊髄からなります。脳では、左右の大脳半球が上側の広い部分を占めます。その内側の深部に間脳があり、その下方から中脳、橋、延髄という脳幹の三部分が続きます。延髄は下方で脊髄へ連続します。小脳は脳幹の後方、大脳の後下方にあります。間脳は脳幹の三部分とは別の領域です。前後・左右を示すときは本人の向きを基準にし、外表から見えない部分は断面で確かめます。

脳と脊髄を左側から見る

脳と脊髄を左側から見た図。紙面左が前方、右が後方。上方の大きな大脳半球の後下方に小脳があり、小脳の前方から下方へ脳幹と脊髄が連続する。各名称の指示線はその神経組織へ届く。半球内部の間脳や、覆われている脳幹上部を外表に露出させていない。
大脳半球の後下方に小脳があり、小脳の前方に脳幹があります。脳幹は下方で脊髄へ続きます。

2. 半球の表面と内側の連絡

左右の大脳半球の間の深い裂け目を大脳縦裂といいます。半球の表面には、隆起した脳回と、くぼんだ脳溝があります。これらは表面の形を表す言葉です。脳の内部で髄液を含む空間である脳室とは別です。大脳の表面の皮質は主に灰白質、その内側には主に白質が広がり、深部にも灰白質の集まりがあります。脳梁は、左右の大脳半球を結ぶ神経線維が集まった白質の構造で、大脳縦裂の下方の深部にあります。表面を隔てる裂け目と、内部で半球を結ぶ脳梁は、別の構造です。

正中断面で脳の内部をたどる

正中で切って右半球の内側面を見た脳。紙面左が前方、右が後方。大脳内部の白い弓状の脳梁と、その下方の間脳を区別する。間脳の下方から中脳、前へ膨らむ橋、延髄が連続し、さらに脊髄へ続く。小脳は脳幹の後方にあり、その断面に枝分かれする白質がある。間脳・三脳幹部・小脳・脊髄の各指示線は、それぞれの神経組織へ届く。
正中断面で右半球の内側面を見ると、大脳の深部の間脳から中脳・橋・延髄が下方へ続きます。小脳は脳幹の後方にあり、脳梁は大脳の内側の深部に位置します。

左右の半球を結ぶ脳梁

前方から見た冠状断面。紙面左が脳の右、右が脳の左。左右の大脳半球の間に大脳縦裂があり、その下方では弓状の白質である脳梁が左右の半球内の白質へ続く。大脳縦裂の線は裂け目の空間へ、脳梁の線は白質の橋の内部へ届く。表面の裂け目と半球間の神経線維の連絡を別に示す。
大脳縦裂は左右の半球の表面を隔てます。脳梁はその下方の深部にあり、左右の半球を結ぶ白質の連絡です。

3. 四つの脳葉と二つの溝

大脳半球の外表では、前方の前頭葉、上後方の頭頂葉、下外側の側頭葉、後方の後頭葉を区別します。中心溝は前頭葉と頭頂葉の境界になります。外側溝は、その上側の前頭葉・頭頂葉と下側の側頭葉を隔てます。後頭葉は半球の後端側にあり、外側面では他の葉との境界の全てが一本の明瞭な溝で示されるわけではありません。島皮質は外側溝の深部にあり、外側の皮質に覆われています。通常の外側面を見たとき、島皮質の全面が四葉と同じように露出しているわけではありません。

四つの脳葉と二つの溝

左大脳半球を外側から見る。紙面左が前方、右が後方。中心溝の前方に前頭葉、後方上側に頭頂葉、外側溝の下方に側頭葉、後端側に後頭葉がある。二つの実溝の線を各名称へ結ぶ。後頭葉の前側の破線は代表的な領域区分の目安であり、外側面にその通りの一本の溝があるという表示ではない。各脳葉の指示線はそれぞれの皮質領域へ届く。
中心溝の前は前頭葉、後ろ上方は頭頂葉で、外側溝の下方には側頭葉があります。後頭葉は後端側にあり、外側面で他の葉との境界全てが一本の明瞭な溝になるわけではありません。

外側溝の深部にある島皮質

左大脳半球の外側面。前方が紙面左。上段は通常の外表で、外側溝の深部の島皮質は露出していない。下段では外側溝を覆う周囲の皮質を開き、その奥の島皮質の脳回を示す。上下は同じ側の半球を示し、島皮質は通常の外表から隠れている。島皮質の指示線は深部の組織へ、外側の皮質の線はその覆いの組織へ届く。
島皮質は外側溝の深部にあり、外側の皮質に覆われています。溝の周囲を開いて深部を見ると、表面からは隠れている島皮質の位置を確かめられます。

4. 中心溝の前側と後側

中心溝のすぐ前の脳回を中心前回、すぐ後ろの脳回を中心後回といいます。中心前回には一次運動野があり、骨格筋による随意運動の出力に関わります。中心後回には一次体性感覚野があり、皮膚や筋・関節などから届く身体の感覚の処理に関わります。例えば右大脳半球のこれらの領域は、主に左側の身体の運動や体性感覚へ対応します。反対側という代表的な対応を、全ての脳機能や全神経経路へ一律に当てはめることはできません。

中心溝の前と後ろの脳回

左大脳半球の外側面で、前方が紙面左。中心溝に沿う前側の帯が中心前回、後側の帯が中心後回で、名称の線はそれぞれの脳回内へ届く。各名称の直下に運動の出力と体性感覚処理という代表的な役割を置く。中心溝の線は二つの脳回の間の実溝へ届く。
中心溝のすぐ前の中心前回には一次運動野があり、すぐ後ろの中心後回には一次体性感覚野があります。左半球のこれらの領域は、主に右側の身体の運動や体性感覚に対応します。

5. 前頭葉と頭頂葉の代表機能

前頭葉は、行動を計画し、状況に合わせて実行・調整することに関わります。中心前回の運動出力も前頭葉の働きの一部です。頭頂葉は、中心後回の体性感覚処理に加え、身体や周囲の空間に関する情報を統合することに関わります。情報の統合とは、複数の情報を組み合わせて扱うことです。何かを見ながら手を伸ばす活動では、感覚の情報、空間の関係、運動の計画と出力が連絡します。葉ごとの代表機能は分けられても、一つの活動を一つの葉だけで完結する働きとすることはできません。

6. 側頭葉と後頭葉の代表機能

側頭葉は聴覚の処理に関わり、その内側には記憶の形成に関わる部位もあります。後頭葉は視覚情報の処理に関わります。耳や目で刺激を受け取る段階と、中枢でその情報を処理する段階は別です。声を聞いて相手を思い出す活動では、聴覚処理と記憶に関わる領域などが連絡します。側頭葉を全ての記憶の保管場所としたり、後頭葉だけで視覚経験の全てが完成するとしたりせず、位置と代表的な役割を結びます。

7. 大脳の深部と運動の調節

大脳基底核は、大脳半球の深部にある灰白質の集まりです。運動の選択や調節に関わり、皮質などとの連絡の中で働きます。皮質の運動出力、基底核による選択・調節、小脳による協調は、連絡しながら異なる役割を担います。これらの中枢の調節と、骨格筋へ直接軸索を伸ばす運動ニューロンの出力は別です。この運動ニューロンの細胞体は脊髄前角や脳幹など中枢にあり、軸索が末梢へ出ます。灰白質の集まりを中枢で神経核と呼ぶことと、末梢の神経節と呼ぶことも区別します。基底核という名前は、中枢の深部灰白質に使われる慣用的な名称です。

大脳半球の深部にある基底核

前方から見た代表的な冠状断面。紙面左が脳の右。左右の半球の表面の皮質に囲まれた白質の内側に、灰白質の集まりである大脳基底核が左右それぞれにある。基底核の二方向の指示線は左右の深部灰白質へ、白質の線は周囲の白質へ届く。
大脳基底核は、半球の深部にある灰白質の集まりです。周囲の白質や表面の皮質とは位置が異なり、皮質などとの連絡の中で運動の選択・調節に関わります。

8. 海馬と扁桃体の場所と役割

海馬は大脳半球の内側側頭部にあり、新しい出来事などの記憶の形成に関わります。扁桃体は同じ内側側頭部の、海馬の前方付近にあり、情動や刺激の重要性・意味付けなどに関わります。これらは左右それぞれの半球の深部にあるので、正中を一枚で切った断面だけではその位置を直接見ることはできません。記憶や情動は、皮質など多くの領域の連絡によって成り立ちます。海馬だけに全記憶が保存されるわけでも、扁桃体だけで全ての感情が成立するわけでもありません。

内側側頭部の海馬と扁桃体

左半球の側頭部の深部を外側方向から見る。紙面左が前方。側頭部の表面の皮質の奥に海馬の長く曲がる組織があり、その前方付近に扁桃体がある。指示線は各組織の内部へ届く。正中面の構造ではなく、一側の半球の内側側頭部に位置する組織として示す。
海馬と扁桃体は左右それぞれの半球の内側側頭部にあります。扁桃体は海馬の前方付近にあり、海馬は記憶の形成、扁桃体は情動や刺激の意味付けなどに関わります。

9. 第三脳室の周囲の視床と視床下部

間脳の中央には第三脳室があります。視床はその左右に位置し、視床下部は視床より下側で第三脳室の下方の壁や底に関わる領域です。視床は、多くの感覚情報を大脳皮質へ中継・調節することに関わります。ただし嗅覚の一次経路は、皮質へ達する前に他の多くの感覚と同じように視床を必ず通る経路ではありません。視床と視床下部は、名前が似ていても場所と代表機能が異なります。下垂体は視床下部の下側に続く内分泌器官で、視床そのものではありません。

第三脳室の周囲の間脳

前方から見た間脳の局所冠状断面。紙面左が脳の右。中央の第三脳室の左右に二つの視床がある。視床より下側に視床下部があり、第三脳室の下方の壁と底を囲む。視床下部の下方から柄が続き、その先に下垂体がある。各名称の線は視床、視床下部、第三脳室の内腔、下垂体の実領域へ届く。
第三脳室の左右に視床があり、その下側で視床下部が脳室の下方の壁や底に関わります。下垂体は視床下部の下側へ続く内分泌器官で、視床そのものとは別です。

10. 視床下部と下垂体の連絡

視床下部は体温、水分などの体内状態に応じて、自律神経や内分泌の調節に関わります。下垂体前葉への指令は、主に下垂体門脈という血管の連絡を通して届きます。下垂体後葉へは、視床下部の神経細胞から同じ細胞の軸索が続きます。抗利尿ホルモンとオキシトシンは視床下部の神経細胞で産生され、後葉から血中へ放出されます。脳内の位置を追うことと、前葉の血管連絡・後葉の軸索連絡という仕組みを追うことを結びます。

11. 中脳・橋・延髄を順にたどる

脳幹は頭側から中脳、橋、延髄の順に続き、延髄の下方で脊髄へ連続します。橋は小脳の前方にある脳幹の一部分で、小脳そのものではありません。脳幹には、上位の脳と脊髄の間を連絡する上行・下行の経路があります。また、頭部の感覚入力や運動出力、反射などに関わる神経細胞の集まりもあります。情報を通過させる経路と、その場所で情報を処理・調節する細胞群の両方を持つ構造です。

12. 呼吸・循環の調節と覚醒

延髄は心臓や血管、呼吸の調節に関わります。呼吸のリズムやパターンの調節には、延髄の細胞群に加えて橋などとの連絡も関わります。脳幹の中には、神経細胞と線維が広く連絡する網様体と呼ばれる領域があります。網様体などから上位へ届く連絡は、覚醒状態の維持に関わります。呼吸の全調節を延髄一か所だけの働きとしたり、睡眠と覚醒の全てを一つの切替え器だけへ置き換えたりすることはできません。

13. 小脳の協調・姿勢・学習

小脳は脳幹の後方、大脳の後下方にあり、後頭葉とは別の部分です。行おうとする運動と、身体から届く感覚などの情報を用いて、動きのタイミングや大きさの調整に関わります。運動を滑らかに協調させること、姿勢や平衡を保つこと、練習に伴って動作を調整する運動学習などが代表的な役割です。運動の計画・出力に関わる皮質や、選択・調節に関わる基底核との連絡の中で働き、骨格筋へ直接軸索を伸ばす運動ニューロンとは異なる役割を持ちます。

14. 脊髄の横断面と二つの角

脊髄の横断面では、内側に灰白質、外側に白質があります。灰白質は左右でつながり、前側へ伸びる部分を前角、後ろ側へ伸びる部分を後角と呼びます。前角には骨格筋へ出力する運動ニューロンの細胞体があり、後角は感覚情報の処理に関わります。白質には脳へ向かう上行の経路や、脳からの情報を下方へ運ぶ下行の経路があります。感覚入力の全てが必ず後角で別のニューロンへ中継されるという意味ではありません。

脊髄の前角と後角

脊髄の横断面で、紙面上が後方、下が前方。外側の白質に囲まれた灰白質の左右が中央でつながる。灰白質の後側の細い部分に後角、前側の広い部分に前角の指示線が届く。白質の指示線は灰白質の外の神経組織へ届く。
脊髄では内側の灰白質が左右につながり、外側に白質があります。灰白質の後側へ伸びる部分が後角、前側へ広がる部分が前角です。

15. 後根・前根と後根神経節

脊髄の後側につながる後根は感覚の求心性線維を、前側につながる前根は遠心性線維を運びます。骨格筋を支配する運動ニューロンの軸索は、前角の細胞体から前根へ続きます。後根には後根神経節という膨らみがあり、感覚ニューロンの細胞体があります。後根神経節は脊髄の外側にあり、脊髄内部の後角とは別の場所です。典型的な感覚ニューロンでは、末梢へ向かう枝と脊髄へ向かう枝が同じ細胞につながっています。神経節に入ったことだけで、必ず別のニューロンへ伝え直すわけではありません。

16. 合流した脊髄神経は混合神経

前根と後根は脊髄の外側で合流し、脊髄神経になります。合流した束には、感覚の求心性線維と運動などの遠心性線維が含まれるので、混合神経と呼ばれます。一本の束の中にあっても、全ての線維が同じ方向へ情報を送るわけではありません。脊髄へ入る感覚と、脊髄から出る出力を、それぞれの線維の連続としてたどります。

前根と後根が合流する脊髄神経

後方を上にした脊髄横断と、右側へ出る根の局所表示。後根は後側につながり、その途中の後根神経節の内側に感覚ニューロンの細胞体がある。破線の感覚線維は神経節で切り替わらず、同じ細胞の枝として末梢側から脊髄側まで続く。実線の運動線維は前角内の細胞体から前根を通り末梢へ向かう。二つの根は外側で一つの脊髄神経の束へ合流する。各線維の矢印と、近接する感覚入力・運動出力の指示線で情報の向きを示す。
後根の感覚線維と前根の運動線維は、脊髄の外側で合流します。後根神経節の感覚ニューロンでは、末梢側と脊髄側の枝が同じ細胞へ続きます。合流後の束にも、脊髄へ入る線維と末梢へ出る線維の両方があります。

17. 成人の脊髄下端と馬尾

通常の成人では、脊髄の下端はおおよそ第1〜第2腰椎の高さにあります。脊柱管はさらに下まで続きますが、そこまで脊髄実質が同じ長さで伸びているわけではありません。下側の脊髄から出た神経根は、脊柱管内を下へ走ってそれぞれの出口へ向かいます。脊髄下端より下を走るこれらの神経根の束を馬尾といいます。馬尾は神経根の集まりで、脊髄実質そのものではありません。

18. 髄節と椎骨の高さを分ける

脊髄の髄節は、左右一対の脊髄神経が出入りする部分を基準に区分します。椎骨は脊柱をつくる骨で、脊髄の神経組織とは別です。成人では脊髄と脊柱の長さが違うため、同じ名前の髄節と椎骨が必ず同じ高さに並ぶわけではありません。脊髄の部分、そこから出る神経根、骨の高さを区別して位置をたどります。

脊髄の下端と馬尾

成人の脊柱管の内部を後方から見る。骨の輪郭に囲まれた脊髄は第1〜第2腰椎付近で細くなって終わり、その下に別々の神経根が下方へ走る馬尾がある。第1と第2腰椎の線は骨へ、脊髄の下端の線は神経実質の先端へ、馬尾の線は下方に並ぶ複数の神経根へ届く。
通常の成人では、脊髄の下端はおおよそ第1〜第2腰椎の高さにあります。その下へ続く馬尾は神経根の集まりで、下まで続く脊柱管と脊髄実質の長さは異なります。

19. 三つの髄膜と脳表の凹凸

脳と脊髄を覆う髄膜は、外側から硬膜、くも膜、軟膜の順に並びます。硬膜は外側の丈夫な膜です。軟膜は神経組織の表面へ密着し、脳回や脳溝の凹凸に沿います。くも膜はその外側で脳溝をまたぐため、くも膜と軟膜の間の空間には広さの違いがあります。このくも膜下腔には髄液があり、血管も走ります。膜の層、膜間の空間、その内側の神経実質は別の構造です。

20. 頭蓋内と脊柱管の膜間の空間

くも膜下腔は脳と脊髄の周囲で連続し、髄液を含みます。硬膜とくも膜の間を硬膜下と呼びますが、正常では通常接しており、広く開いて髄液が流れる通路ではありません。脊柱管では、骨側と硬膜の間に脂肪や静脈の網などを含む硬膜外腔があります。一方、頭蓋内では硬膜が頭蓋骨の内面に接し、脊柱管と同じような脂肪を含む広い硬膜外腔があるわけではありません。頭蓋内と脊柱管で、同じ膜の外側の位置関係が異なります。

頭蓋内の膜と空間

頭蓋骨の内側の局所断面。骨に接する硬膜と、その直下で接するくも膜を区別する。くも膜は脳回の間の溝をまたぎ、軟膜は神経組織の表面の凹凸へ密着して沿う。くも膜と軟膜の間のくも膜下腔は、溝の位置では広くなる。くも膜下腔の指示線は膜や神経組織ではなく、その液体の空間へ届く。
頭蓋骨の内側に硬膜が接し、その内側のくも膜は脳溝をまたぎます。軟膜は神経組織の凹凸に沿い、くも膜との間のくも膜下腔には髄液があります。正常では硬膜とくも膜が通常接しています。

脊柱管の膜と硬膜外腔

脊柱管の横断面。外側の椎骨と硬膜の間には脂肪のある硬膜外腔がある。硬膜のすぐ内側にくも膜が接し、その内側のくも膜下腔を介して軟膜に覆われた脊髄がある。硬膜外腔の線は骨と硬膜の間へ、くも膜下腔の線はくも膜と軟膜の間の液体空間へ届く。各膜の指示線はその境界に届く。
脊柱管では椎骨と硬膜の間に、脂肪などを含む硬膜外腔があります。硬膜の内側でくも膜が接し、その内側のくも膜下腔の髄液が、軟膜に覆われた脊髄を囲みます。

21. 脳室をつなぐ順序と位置

大脳半球の内部には左右の側脳室があります。それぞれが室間孔を通じて、間脳の中央の第三脳室へ続きます。第三脳室からは、中脳の中を通る細い中脳水道が第四脳室へ続きます。第四脳室は橋・延髄と小脳の間にあります。側脳室、第三脳室、第四脳室は髄液を含む空間で、室間孔と中脳水道はこれらをつなぐ通路です。空間の名前と、周囲の脳の領域の名前を分けてたどります。

左右の側脳室から第三脳室へ

前方から見た冠状方向の脳室の局所断面で、紙面左が脳の右。半球内の左右の側脳室から二つの室間孔が中央の第三脳室へ実内腔として連続する。側脳室の二本の指示線は左右の腔内へ、室間孔の線は短い連結部内へ、第三脳室の線は中央の腔内へ届く。
左右の側脳室は、それぞれの室間孔を通して第三脳室へ続きます。脳室は神経組織の内部にある髄液の空間で、周囲の脳の組織そのものとは区別します。

中脳水道と第四脳室

前方が紙面左の正中断面の局所表示。間脳内の第三脳室から、細い中脳水道の内腔が中脳内部を通り第四脳室へ連続する。第四脳室の前側には橋・延髄、後側には小脳の神経組織がある。中脳水道内の矢印は髄液の移動する方向に沿い、周囲の神経組織へは出ない。各名称の線は神経組織または対応する腔内へ届く。
第三脳室から中脳の内部の中脳水道を通り、第四脳室へ続きます。第四脳室は橋・延髄の後方と小脳の前方の間にある髄液の空間です。

22. 第四脳室から中枢の周囲へ

第四脳室の正中と左右の出口から、髄液はくも膜下腔へ通じます。脳の周囲のくも膜下腔は、脊髄の周囲のくも膜下腔へ連続します。第四脳室は解剖学的には脊髄の中心管へ連なりますが、成人では中心管の途中が閉じていることもあります。中心管だけが髄液の主な全流路ではありません。脳室内の空間から出口を経て神経組織の外側のくも膜下腔へ至る関係を追います。

脳から脊髄へ続くくも膜下腔

前方が紙面左の脳と脊髄の周囲の表示。神経組織の外側のくも膜下腔が脳の周囲から脊髄の周囲まで切れずに続く。脳幹と小脳の周囲にも髄液の空間があり、主要な髄液の流路は神経組織の周囲の空間にある。
脳の周囲のくも膜下腔は、脊髄の周囲のくも膜下腔と連続しています。主要な髄液の流路はこの周囲の空間であり、成人の中心管は途中が閉じていることもあります。

第四脳室から周囲の髄液腔へ

第四脳室の屋根を開いて後方から見た局所。中央の第四脳室から左右へ伸びる陥凹の先端と、下方の正中の開口が周囲のくも膜下腔へ実空間として続く。三つの開口は神経組織内の閉じた管の末端ではなく、周囲の髄液腔へ開く。
第四脳室は、正中の出口と左右の出口を通してくも膜下腔へ開きます。脳室内の髄液は、この開口から脳・脊髄を囲む空間へ移れます。

23. 脈絡叢での産生と髄液の回収

髄液は主に脳室内の脈絡叢で作られます。脈絡叢は毛細血管を含む組織を上皮細胞が覆う構造で、上皮の輸送や分泌によって髄液の組成が整えられます。全血をそのまま脳室へ流し込むものではありません。くも膜下腔の髄液は、くも膜顆粒などを介して静脈側へ回収されるほか、リンパ系への流出も関わります。くも膜顆粒はくも膜が静脈洞側へ突出する構造です。静脈洞は硬膜内で静脈血を集める流路で、くも膜下腔の髄液と静脈洞内の血液は、回収前には別の区画にあります。

脈絡叢で髄液が産生される

脳室内へ突出する脈絡叢の断面。毛細血管は上皮細胞に覆われた組織の内部で折り返し、血液の内腔を保つ。外側の上皮細胞のさらに外に脳室の髄液腔がある。産生の矢印は上皮細胞の外面から髄液腔へ向き、毛細血管内の血液と脳室の髄液は別の区画を保つ。
脳室内の脈絡叢では、毛細血管からの成分をもとに上皮細胞を通して髄液が産生されます。血液のある毛細血管内腔と、髄液のある脳室内腔は別の区画です。

髄液の回収先を区別する

上方の静脈洞内に、下方のくも膜下腔から続くくも膜顆粒が突出する局所断面。顆粒の内側の髄液と外側の静脈血は輪郭で分けられ、回収の矢印が境界を越えて静脈側へ向く。別の流出矢印はくも膜下腔の側方からリンパ系へ向き、下方の神経組織とは区画が分かれている。
髄液は、くも膜顆粒などを介して静脈系へ回収され、リンパ系への流出経路もあります。くも膜下腔の髄液と静脈洞内の血液は、回収前には別の区画です。

24. 髄液が支える環境

髄液は脳を液体中に支えて浮力を与え、脳組織にかかる重さの負担を減らします。周囲の液体による機械的な保護や、中枢の化学的な環境の維持にも寄与します。産生、移動、回収によって保たれる液体の環境と、神経組織そのものの情報処理は異なる役割です。髄液を、神経細胞の代わりに情報の全てを運ぶ液体とは捉えません。

25. 内皮がつくる血液脳関門

血液脳関門は、血液と中枢の間質液の間の物質移動を調節する仕組みです。典型的な脳の毛細血管では、血管の内面を覆う内皮細胞同士の密着結合が、細胞の間を物質が自由に通り抜けることを制限します。必要な物質は輸送体などを介して選択的に運ばれます。関門は全ての物質を全面的に遮断する壁ではありません。グリアの一種であるアストロサイトの突起などは血管の周囲で関門の維持を支えますが、血管壁の内皮そのものと同じ構造ではありません。

血液脳関門の壁は血管内皮

脳の毛細血管の長軸方向の局所断面。血液の内腔を内皮細胞の壁が囲み、細胞間には密着結合がある。選択的輸送の矢印は内皮細胞を通って血液側から脳組織液側へ向く。アストロサイトの突起は血管外側に接し、血液を囲む壁を置き換えない。
血液脳関門では、毛細血管の内皮細胞間の密着結合が細胞間の通過を制限します。必要な物質は選択的に輸送されます。アストロサイトは血管の外側から支えますが、血管壁の内皮細胞そのものではありません。

26. 血液髄液関門との違い

脈絡叢では、毛細血管側から上皮の層を介して脳室の髄液へ物質が運ばれます。この場所の血液髄液関門の主な境界は、脈絡叢の上皮細胞同士の密着結合です。典型的な脳毛細血管の血液脳関門では内皮細胞、脈絡叢の血液髄液関門では上皮細胞が境界を担います。血管の内皮と脈絡叢の上皮、血液と間質液と髄液をそれぞれ区別します。

血液髄液関門の壁は脈絡叢上皮

脈絡叢上皮の局所断面。下方の組織内の毛細血管に血液があり、上方の上皮細胞の向こう側が髄液腔。隣り合う上皮細胞間に密着結合があり、輸送の矢印は組織側から上皮細胞を通り髄液側へ向く。毛細血管の内皮と、関門となる上皮細胞は位置と輪郭が異なる。
脈絡叢の血液髄液関門は、上皮細胞間の密着結合を中心とする関門です。血液脳関門の毛細血管内皮とは、関門を作る細胞層が異なります。毛細血管内の血液と脳室内の髄液は別の区画です。

27. 二つの動脈系と脳底の連絡

脳への代表的な供給には内頸動脈系と、左右の椎骨動脈が合流して脳底動脈へ続く椎骨・脳底動脈系があります。脳の底には、左右と前後の供給を連絡する大脳動脈輪があります。輪の前方では左右の前大脳動脈が前交通動脈でつながり、後方へは内頸動脈側と後大脳動脈側が後交通動脈でつながります。前大脳動脈や後大脳動脈の輪に関わる部分と、交通動脈などが連絡をつくります。脳底動脈本幹は後大脳動脈側へ血液を供給しますが、本幹そのものを輪の一辺とはしません。中大脳動脈は内頸動脈側から外側へ向かう供給の枝で、これも輪そのものの一辺ではありません。連絡の形や太さには個人差があります。

脳へ入る二系統の動脈

脳底を下方から見た動脈の位置関係。紙面上が前方、左が脳の右。後方の左右の椎骨動脈が一本の脳底動脈へ実合流し、前方の左右の内頸動脈は別の流入経路として脳底へ続く。流向矢印は血管内の中央に収まり、脳底の枝と輪は連続した血管として示す。
左右の内頸動脈と、左右の椎骨動脈が合流した脳底動脈が脳へ血液を送ります。これらの経路は脳底の動脈輪でつながります。

動脈輪を作る血管と輪の外の枝

下方から見た脳底の血管の局所。前方が上、紙面左が脳の右。左右の前大脳動脈が前交通動脈で結ばれ、内頸動脈側の接続部から後交通動脈が後大脳動脈へ続き輪を作る。左右へ伸びる中大脳動脈の枝と、下方の脳底動脈の幹は輪の外へ延びる。
動脈輪は、前大脳動脈・前交通動脈・後交通動脈・後大脳動脈などの連絡で成り立ちます。中大脳動脈は外側へ分かれる枝で、脳底動脈は後方からつながる幹です。これらを輪の一辺とは区別します。

28. 脳の静脈血と髄液を別に戻す

脳から出る静脈血は、脳の静脈から硬膜静脈洞へ集まり、内頸静脈など頸部の静脈側へ戻ります。一方、くも膜下腔の髄液は、くも膜顆粒などを介する静脈側への回収やリンパ系への流出へ向かいます。脳組織を通った血液の静脈還流と、髄液の回収は、出発する区画と通路が異なります。髄液が静脈側へ回収されることを、くも膜下腔の全体が静脈血の管になっている意味にはしません。

脳の静脈血が頭蓋外へ戻る

大脳表面と硬膜内の静脈洞から頭蓋外へ続く静脈の局所。大脳からの静脈が硬膜内の静脈洞へ実合流し、洞の先から内頸静脈へ連続する。血流の矢印は静脈の内側にあり、神経組織へは出ない。静脈血の血管経路と、くも膜下腔からの髄液の回収経路は区別される。
脳の静脈血は硬膜静脈洞へ集まり、内頸静脈などを通って頭蓋外へ戻ります。静脈血が戻る血管の経路と、髄液が静脈系へ回収される経路は区別します。

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大脳半球
左右に分かれる大脳の大きな部分。表面の皮質と内部の白質・深部灰白質などを含む。
間脳
大脳半球の内側の深部にある領域。視床や視床下部などを含み、脳幹の三部分とは別。
脳幹
中脳・橋・延髄からなる部分。上位の脳と脊髄の間にあり、多くの連絡や調節に関わる。
中脳
脳幹の頭側の部分。間脳の下方、橋の上方にある。
橋
中脳と延髄の間にある脳幹の部分。小脳の前方にある。
延髄
脳幹の下側の部分。下方で脊髄へ連続する。
小脳
脳幹の後方、大脳の後下方にある部分。運動の協調などに関わる。
大脳縦裂
左右の大脳半球の表面を隔てる深い裂け目。
脳回
脳の表面で隆起した部分。
脳溝
脳の表面のくぼみ。
脳室
脳の内部にあり、髄液を含む連続した空間。脳回や脳溝とは別。
髄液
脳室やくも膜下腔にある脳脊髄液。中枢の保護や環境維持に関わる。
大脳皮質
大脳半球の表面を覆う、主に灰白質からなる部分。
脳梁
左右の大脳半球を結ぶ神経線維が集まった白質の構造。
前頭葉
中心溝より前側などを占める脳葉。計画・実行や随意運動などに関わる。
頭頂葉
中心溝より後ろ、外側溝より上側などを占める脳葉。体性感覚や空間情報の統合などに関わる。
側頭葉
外側溝より下側にある脳葉。聴覚や記憶などに関わる。
後頭葉
大脳半球の後方にある脳葉。視覚情報の処理に関わる。
中心溝
前頭葉と頭頂葉の代表的な境界になる溝。
外側溝
前頭葉・頭頂葉の下側と側頭葉の上側を隔てる溝。
島皮質
外側溝の深部にあり、外側の皮質に覆われる領域。
中心前回
中心溝のすぐ前側にある脳回。一次運動野がある。
中心後回
中心溝のすぐ後ろ側にある脳回。一次体性感覚野がある。
一次運動野
随意運動の出力に関わる皮質領域。中心前回にある。
一次体性感覚野
皮膚や筋・関節などから届く身体の感覚を処理する皮質領域。中心後回にある。
随意運動
意図して行う身体の運動。
体性感覚
皮膚の感覚や筋・関節などから届く、身体に関する感覚。
情報の統合
複数の情報を組み合わせて扱うこと。
大脳基底核
大脳半球の深部にある灰白質の集まり。皮質などとの連絡を通して運動の選択・調節に関わる。
海馬
内側側頭部にある構造。新しい出来事などの記憶の形成に関わる。
扁桃体
内側側頭部で海馬の前方付近にある構造。情動や刺激の重要性などに関わる。
内側側頭部
大脳半球の側頭葉の内側の部分。海馬や扁桃体などが位置する。
正中断面
身体の左右を分ける中央の面で切った断面。左右に離れた構造をその切断面上に置くことはできない。
視床
第三脳室の左右にある間脳の領域。多くの感覚情報などの中継・調節に関わる。
視床下部
視床の下側にある間脳の領域。体内状態、自律神経・内分泌の調節に関わる。
第三脳室
間脳の中央にある髄液の空間。
下垂体
視床下部の下側に続く内分泌器官。前葉と後葉では視床下部との連絡の仕組みが異なる。
下垂体門脈
視床下部側から前葉へ指令を運ぶ血管の連絡。
網様体
脳幹内で神経細胞と線維が広く連絡する領域。覚醒などの調節に関わる。
覚醒
周囲の情報へ応じられる、目覚めた状態。
運動の協調
複数の動きのタイミングや大きさを調整して、まとまりのある動作を行うこと。
運動学習
練習や経験に伴い、動作の仕方や調整が変化すること。
平衡
身体のバランスを保つこと。
前角
脊髄の灰白質が前側へ伸びる部分。骨格筋へ出力する運動ニューロンの細胞体がある。
後角
脊髄の灰白質が後ろ側へ伸びる部分。感覚情報の処理に関わる。
上行路
情報を脊髄などから上位の脳側へ運ぶ経路。
下行路
情報を上位の脳側から下方へ運ぶ経路。
後根
感覚の求心性線維を脊髄へ運ぶ、後側の神経根。
前根
遠心性線維を脊髄から外側へ運ぶ、前側の神経根。
後根神経節
後根にある感覚ニューロンの細胞体の集まり。脊髄の外側にある。
脊髄神経
前根と後根の合流でできる、求心性と遠心性の線維を含む神経。
混合神経
感覚の求心性線維と運動などの遠心性線維をともに含む神経。
脊髄実質
脊髄そのものをつくる神経組織。周囲の空間や神経根とは別。
馬尾
脊髄下端より下へ走る神経根の束。
髄節
左右一対の脊髄神経の出入りを基準とする脊髄の区分。
腰椎
脊柱の腰部をつくる椎骨。脊髄の髄節とは別の区分。
髄膜
脳と脊髄を覆う硬膜・くも膜・軟膜。
硬膜
髄膜の最も外側にある丈夫な膜。
くも膜
硬膜の内側、軟膜の外側の膜。脳溝をまたぐ。
軟膜
神経組織の表面へ密着し、脳の凹凸に沿う膜。
くも膜下腔
くも膜と軟膜の間の、髄液を含む空間。脳と脊髄の周囲で連続する。
硬膜下
硬膜とくも膜の間の位置。正常な広い髄液流路ではない。
硬膜外腔
脊柱管で骨側と硬膜の間にある、脂肪や静脈の網などを含む空間。
側脳室
左右の大脳半球の内部にある髄液の空間。
室間孔
それぞれの側脳室を第三脳室へつなぐ通路。
中脳水道
中脳の中で第三脳室と第四脳室をつなぐ細い通路。
第四脳室
橋・延髄と小脳の間にある髄液の空間。出口からくも膜下腔へ通じる。
中心管
脊髄の中央にある細い通路。成人では途中が閉じていることもあり、髄液の主な全流路をこれだけへ置き換えることはできない。
脈絡叢
脳室内で毛細血管を含む組織を上皮が覆う構造。髄液の主な産生場所。
上皮細胞
組織の表面や内腔面を覆う細胞。脈絡叢では髄液の分泌・輸送と関門に関わる。
くも膜顆粒
くも膜が静脈洞側へ突出する構造。髄液の静脈側への回収に関わる。
静脈洞
頭蓋内の硬膜内にあり、静脈血を集める流路。
浮力
液体などの中で物体へ働く、重さの向きと反対側の力。髄液は脳を支える浮力を与える。
血液脳関門
典型的な脳毛細血管の内皮の密着結合などにより、血液と中枢の間質液の間の物質移動を調節する仕組み。
内皮細胞
血管の内面を覆う細胞。典型的な脳毛細血管では密着結合により関門の主要な境界を担う。
密着結合
隣り合う細胞の間を物質が自由に通り抜けることを制限する細胞間の結合。
間質液
組織の細胞の間にある液体。血管内の血液や脳室内の髄液と区別する。
アストロサイト
グリアの一種。突起などを通して血管周囲で関門の維持を支える。
輸送体
膜を介して特定の物質の移動に関わるタンパク質。
血液髄液関門
脈絡叢では上皮の密着結合が主な境界を担う、血液と髄液の間の物質移動を調節する仕組み。
内頸動脈
脳などへ血液を送る主要な動脈の一つ。大脳動脈輪の連絡にも関わる。
椎骨動脈
左右から上行し、頭蓋内で合流して脳底動脈へ続く動脈。
脳底動脈
左右の椎骨動脈の合流から続く動脈。本幹そのものは大脳動脈輪の一辺ではない。
大脳動脈輪
脳底部で左右と前後の動脈供給を連絡する、交通動脈などによる輪状の連絡。
前大脳動脈
内頸動脈側から続く動脈。左右の輪に関わる部分が前交通動脈でつながる。
後大脳動脈
脳底動脈側から続く動脈。輪に関わる部分が後交通動脈を介して内頸動脈側と連絡する。
前交通動脈
左右の前大脳動脈をつなぐ、輪の前方の連絡。
後交通動脈
内頸動脈側と後大脳動脈側をつなぐ、輪の前後の連絡。
中大脳動脈
内頸動脈側から外側へ向かう供給の枝。輪そのものの一辺ではない。
内頸静脈
頭蓋内からの静脈血などを頸部へ戻す主要な静脈。
静脈還流
組織を通った血液が静脈側を通って心臓側へ戻ること。
リンパ系
リンパ管などを通じて組織からの液体を集め、静脈側へ戻す仕組み。