視放線の回り込みと鳥距溝周囲の対応

本文の目次

  1. 中継のあとに、白質の束をたどる
  2. レンズ核の後方と下方を分ける
  3. 側頭葉で下角の前端を回る束
  4. 頭頂葉側から後方へ向かう束
  5. 鳥距溝の上下へ届く情報

1. 中継のあとに、白質の束をたどる

網膜から視神経・視交叉・視索を通り、外側膝状体から視放線で一次視覚野へ向かう主な順序は、既存の視路の本文を参照します。外側膝状体は神経細胞が集まる中継部です。そこへ届く網膜神経節細胞の軸索と、外側膝状体の細胞から皮質へ向かう軸索は別です。中継のあとの視放線は、大脳半球の白質を通る線維のまとまりです。視交叉で線維が正中を越えることと、中継部で別の細胞へ情報が渡ることを分けて追います。

2. レンズ核の後方と下方を分ける

大脳深部のレンズ核と、その内側を通る内包の前脚・後脚は、既存の位置図を参照します。視放線の経路を読むときは、レンズ核の後方にあるレンズ後部と、下方にあるレンズ下部の白質も区別します。側頭葉で前方へ回り込む下方の線維群と、より上方から後方へ向かう線維群を、全部同じ細い内包後脚の一本に押し込めません。名前の似た内包の区分、隣の灰白質の核、その先へ広がる白質の束を位置で結びます。

3. 側頭葉で下角の前端を回る束

視放線の下方の線維群には、側頭葉の白質で一度前方へ進み、側脳室の下角の前端周囲を回ってから後頭葉へ向かう部分があります。この回り込みをMeyerのループと呼びます。下角は脳室の空間で、視放線が脳室の中を流れるわけではありません。下側の網膜に対応する情報、つまり上側半視野の情報をこの束が運び、同じ半球の一次視覚野へ向かいます。回り込みの前端がどこまで伸びるかには個人差があり、図の曲線を全員に共通する距離や境界にはしません。

4. 頭頂葉側から後方へ向かう束

視放線の上方の線維群は、頭頂葉側の白質を後頭葉へ向かいます。この束は上側の網膜に対応する情報、つまり下側半視野の情報を運びます。側頭葉側の回り込みと頭頂葉側の経路は、異なる位置を通りながら同じ側の一次視覚野へ向かいます。左右の半視野の整理は既存の視交叉の本文を参照し、ここでは一つの半球内で、上下の情報と通路の位置を分けます。模式図の二本だけが視放線の全線維や細かな区分ではありません。

視放線の側頭葉側と頭頂葉側

左大脳半球を外側から透かす位置模式。前が紙面左、後が右。下角は空間として白く、下方の束が前端の周囲を回り、上方の束は頭頂葉側から後方へ。二つは同側の一次視覚野へ向かう。
曲線は代表的な束の位置です。下角の中を流れる線や、全員に共通する前端距離ではありません。皮質へ到着する上下の対応は次の図で分けます。

5. 鳥距溝の上下へ届く情報

一次視覚野は後頭葉の内側面で、鳥距溝の両岸とその深部に広がります。鳥距溝の上岸の楔部側には、対側の半視野の下側に対応する情報が届きます。下岸の舌状回側には、対側の半視野の上側に対応する情報が届きます。外界の上下、網膜の上下、皮質の上下をそれぞれ対応させると、上側の視野から下側の網膜、側頭葉側の束、鳥距溝下岸へという関係を追えます。これは代表的な位置の対応で、全視野角や全微細地図ではありません。皮質へ届いたあとに側頭葉や頭頂葉へ向かう視覚処理の連絡は、外側膝状体からここへ来る視放線とは別の段階です。

鳥距溝の上下と上下の半視野

左大脳半球の後頭葉内側面の局所模式。前が紙面左、後が右。鳥距溝の上岸に楔部側V1、下岸に舌状回側V1を表示。上側半視野は下側網膜と側頭葉側の束を経て下岸へ、下側半視野は上側網膜と頭頂葉側の束を経て上岸へ。
一次視覚野は鳥距溝の両岸と深部に広がります。上下の対応は対側の半視野についての代表地図です。全視野角・全微細配列や臨床判断は示しません。

用語を確かめる

外側膝状体
視床に属する視覚の代表的中継部。LGNとも表す。
視放線
外側膝状体から一次視覚野へ向かう白質の線維群。
レンズ核
外側の被殻と内側の淡蒼球を合わせた区分。
レンズ後部
レンズ核の後方にある内包の区分。
レンズ下部
レンズ核の下方にある内包の区分。
側脳室下角
側脳室が側頭葉へ伸びる空間。白質の束そのものではない。
Meyerのループ
側頭葉側で下角の前端周囲へ回り込む、視放線の下方の線維群。
鳥距溝
後頭葉内側面の溝。一次視覚野はその両岸と深部に広がる。
楔部
後頭葉内側面の、鳥距溝より上方の領域。
舌状回
後頭葉内側面の、鳥距溝より下方の領域。
一次視覚野
外側膝状体から視放線を介して入力を受ける視覚の皮質領域。V1とも表す。
半視野
見えている外界を注視点から左右に分けた一方。眼の側とは区別する。