脊髄の分節、神経根と馬尾のつながり

本文の目次

  1. 脊髄の分節と椎骨の高さ
  2. 神経の番号で場所を読む
  3. C8の出口は頸椎と胸椎の間
  4. 前根と後根は脊髄への出入り口
  5. 後根神経節から混合神経、二つの枝へ
  6. 脊髄円錐より下にも椎管は続く
  7. 馬尾の根と終糸を分ける
  8. 一つの経路としてつなぐ

1. 脊髄の分節と椎骨の高さ

脊髄分節(髄節)は、左右一対の脊髄神経につながる前根と後根が出入りする脊髄の区分です。椎骨は脊柱をつくる骨の区分です。脊髄には椎骨のような継ぎ目が見えるわけではありません。成人では脊髄が脊柱より短いため、同じ名前の分節と椎骨が同じ高さにあるとは限りません。たとえば下位の分節から出た根は、椎管の中を下ってから出口に届きます。

2. 神経の番号で場所を読む

通常の脊髄神経は31対で、頸神経8対、胸神経12対、腰神経5対、仙骨神経5対、尾骨神経1対に分けます。この番号は神経の系列を読む目印です。骨の数を数える場合とは分けて考えます。頸椎は7個ですが頸神経は8対あり、頸部では神経と骨の番号が同じ並び方にはなりません。

3. C8の出口は頸椎と胸椎の間

C1は後頭骨と第1頸椎の間から出ます。C1〜C7は原則として同番号の頸椎の上側に対応し、C8は第7頸椎と第1胸椎の間から出ます。胸神経と腰神経は原則として同番号の椎骨の下側から出ます。仙骨部には仙骨孔などの出口があり、前枝と後枝の通る場所も分かれます。すべての出口を頸部の椎間孔と同じ形に当てはめず、まずC8を境にした番号の対応を確かめます。

C8の出口を読む

第6第7頸椎と第1第2胸椎の間に、C7、C8、T1神経の出口を対応させる。
C8の出口は第7頸椎と第1胸椎の間です。この図の神経番号は出口の対応を示し、同番号の脊髄分節が同じ高さにあることを示すものではありません。

4. 前根と後根は脊髄への出入り口

脊髄の表面につながる細い根糸は、前側では前根に、後側では後根にまとまります。後根は感覚の情報を脊髄へ運ぶ求心性の入口です。前根は運動などの遠心性の出力を脊髄から外へ運びます。神経根の位置を追うことと、信号がどちらへ進むかを追うことは別の見方です。図の接続線に沿って場所を確かめ、信号の矢印で向きを確かめます。

5. 後根神経節から混合神経、二つの枝へ

感覚神経の細胞体は、脊髄の外側で後根上にある後根神経節に集まっています。脊髄内部の後角とは別の場所です。前根と後根が合流すると、感覚線維と遠心性の線維を含む短い脊髄神経になります。その後で前枝と後枝に分かれ、どちらの枝にも感覚と運動の線維が含まれます。後枝は主に固有背筋と背部の皮膚へ、前枝は体幹の前外側や四肢へ向かいます。後根と後枝は、名前が似ていても合流の前後にある別の部分です。

根と枝のつながり

前後根が合流して短い脊髄神経をつくり、その後で前後枝に分かれる。後根神経節は合流前の後根上にある。
上段は神経がつながる順序、下段は信号の向きです。前根・後根の区別を、混合性の前枝・後枝へそのまま当てはめないで読みます。

6. 脊髄円錐より下にも椎管は続く

成人の脊髄は下端で細くなり、脊髄円錐となります。典型的には第1〜第2腰椎(L1〜L2)付近の高さで終わりますが、終わる高さには個体差があります。脊髄を包む硬膜嚢は通常、第2仙椎(S2)付近まで続きます。脊髄円錐より下にもくも膜下腔があり、その腰槽には脳脊髄液と神経根があります。硬膜嚢が続く長さと、脊髄実質が続く長さは同じではありません。

円錐と馬尾の上下関係

脊髄円錐の下に馬尾の根と終糸があり、硬膜嚢がさらに下まで続く典型的な上下関係。
成人の典型的な上下関係です。L1〜L2とS2は椎骨を目印にした高さです。根は出口へ続く一部を示し、根の長さや分節の配置は縮尺どおりではありません。

7. 馬尾の根と終糸を分ける

下位の腰・仙骨・尾骨の神経根は、椎管内を下り、それぞれの出口へ向かいます。この長い根の束が馬尾です。一本の太い神経や、脊髄実質がそのまま下へ伸びた部分ではありません。脊髄円錐の先からは細い線維性の終糸も延びます。終糸と周りを下る神経根は別の構造です。根の束を見たときは、中央の糸だけを馬尾全体と呼ばず、各根が出口へ向かう連続を追います。

8. 一つの経路としてつなぐ

脊髄側から外側へは、根糸、前根または後根、短い脊髄神経、前枝または後枝の順にたどれます。後根神経節は、このうち後根上の目印です。下位の根では、脊髄につながる高さから脊椎側の出口までに下行する区間が加わります。場所の順序をつなぐと、前根と前枝を取り違えず、馬尾を脊髄の末端とも取り違えずに読めます。

用語を確かめる

脊髄分節
一対の脊髄神経の前根・後根が出入りする脊髄の区分。
椎骨レベル
椎骨を目印にした上下の高さ。
椎管
椎骨の孔が上下に連なってできる、脊髄や神経根を収める通路。
神経根
脊髄と短い脊髄神経との間をつなぐ前根または後根。
根糸
脊髄の表面と前根・後根との間をつなぐ細い束。
後根
感覚の求心性線維が脊髄へ入る後側の神経根。
前根
遠心性の線維が脊髄から出る前側の神経根。
求心性
ここでは末梢から脊髄へ情報が向かうこと。
遠心性
ここでは脊髄から末梢へ出力が向かうこと。
後根神経節
後根上にある、感覚神経の細胞体が集まる部分。
後角
脊髄の灰白質の後側の部分。後根神経節とは別の場所。
混合神経
感覚の線維と遠心性の線維をともに含む神経。
前枝
短い脊髄神経から分かれる枝で、主に体幹前外側や四肢へ向かう。
後枝
短い脊髄神経から分かれる枝で、主に固有背筋や背部の皮膚へ向かう。
椎間孔
隣り合う椎骨の間にできる、神経などが通る孔。
脊髄円錐
細くなった脊髄の下端。
硬膜嚢
脊髄や神経根を包み、椎管内を下方へ続く硬膜の袋。
腰槽
脊髄円錐より下で、馬尾などを含むくも膜下腔の広がり。
馬尾
下位の出口へ向かって椎管内を下る神経根の束。
終糸
脊髄円錐の先から下へ延びる細い線維性の糸。神経根の束とは別。
固有背筋
背部で脊柱の姿勢や運動などに関わる筋群。
仙骨孔
仙骨にある孔で、脊髄神経の枝などが通る出口になる。