胸腹壁筋の層・付着・横隔膜の通路

本文の目次

  1. 胸と腹を囲む筋をたどる
  2. 肋骨とその間、前後の目印
  3. 肋間の三層と神経の通路
  4. 外肋間筋は下前方へ走る
  5. 内肋間筋は部分で働きが違う
  6. 最内肋間筋と神経血管の間
  7. 肋下筋は肋間を越えて届く
  8. 胸横筋は胸骨の後ろから広がる
  9. 胸腹の境を作るドーム
  10. 横隔膜の周りから中央へ
  11. 腱中心へ集まる力と横隔神経
  12. 三つの通路を場所で分ける
  13. 一枚の境界を三つの通路が越える
  14. 側腹壁の三層と前の板
  15. 白線、筋膜、鼠径靱帯を見分ける
  16. 外腹斜筋の浅い斜めの線維
  17. 内腹斜筋の深い斜めの線維
  18. 腹横筋は横から腹壁を支える
  19. 腹直筋は恥骨から胸の下へ
  20. 腹直筋鞘の前と後ろ
  21. 弓状線の下では前へ集まる
  22. 錐体筋は下部の白線を張る
  23. 同じ側と反対側の回旋
  24. 層と付着を胸腹の境へつなげる

1. 胸と腹を囲む筋をたどる

胸腔は胸の内部の空間、腹腔は腹の内部の空間です。胸壁の肋骨の間には、重なった筋の層があります。腹壁では、側方の広い筋から前方の腱の板へ力が伝わります。胸腔と腹腔の間には横隔膜があります。前は胸骨・腹側、後ろは背骨・背側です。筋の起始と停止をその場所へ結び付けると、どの方向に引く力が生じるかを追えます。体幹を前へ曲げるのが前屈、横へ曲げるのが側屈、向きを回すのが回旋です。

2. 肋骨とその間、前後の目印

通常、肋骨は左右に十二本ずつあり、その間の第1〜11肋間が肋間筋の位置を示します。肋間は上にある肋骨の番号で呼びます。胸骨の下端の小さな部分が剣状突起、肋骨の前端に続く軟骨が肋軟骨です。第7〜10肋軟骨が連なって作る下の縁が肋骨弓です。背骨の高さをCは頸椎、Tは胸椎、Lは腰椎として表すと、C3は第3頸椎、T8は第8胸椎を指します。位置の高さの目安と、支配神経の由来は、それぞれ対応するものを見ます。

3. 肋間の三層と神経の通路

肋間の筋は、外側から外肋間筋、内肋間筋、最内肋間筋の順に重なります。内肋間筋と最内肋間筋の間を、肋間の神経と血管が走ります。肋骨の内側の下縁に沿うくぼみが肋骨溝です。この溝付近で神経・血管が肋骨に沿って走ります。肋間神経は胸神経の前枝から来て、対応する胸壁の筋を動かします。最内層には筋束のない部分もあり、三層がどこでも全く同じ厚さで連続するわけではありません。

4. 外肋間筋は下前方へ走る

上の肋骨の下縁から始まります。すぐ下の肋骨の上縁へ停止します。肋骨を持ち上げる働きを助け、肋間の形を支えます。通常の運動神経は各肋間を走る肋間神経です。主な線維は上後方から下前方へ走ります。前方の肋軟骨付近では筋線維から外肋間膜へ続きます。

5. 内肋間筋は部分で働きが違う

上の肋骨の肋骨溝付近と肋軟骨から始まります。すぐ下の肋骨の上縁へ停止します。骨性の肋骨の間の部分は肋骨を引き下げる働きを助け、肋軟骨の間の部分は持ち上げる働きに関わります。肋間の支持も担います。通常の運動神経は各肋間を走る肋間神経です。外肋間筋より深く、主な線維は上前方から下後方へ走ります。筋全体のすべてを同じ呼気作用へまとめません。

6. 最内肋間筋と神経血管の間

上の肋骨の内面から始まります。すぐ下の肋骨の内側の上縁へ停止します。内肋間筋と協力して肋骨を引き下げる働きや肋間の支持に関わります。通常の運動神経は各肋間を走る肋間神経です。内肋間筋より深く、両者の間を肋間の神経と血管が走ります。筋束は胸壁を一枚の連続した板として覆う形ではありません。

7. 肋下筋は肋間を越えて届く

下位の肋骨の内面で、肋骨角付近から始まります。二つまたは三つ下の肋骨の内面へ停止します。肋骨を引き下げる働きを助けます。通常の運動神経は対応する肋間神経です。主に胸壁の後ろの深い側にあり、一つの肋間を越えて下の肋骨へ向かう筋束です。数や広がりに個人差があります。

8. 胸横筋は胸骨の後ろから広がる

胸骨体の下部と剣状突起の後面から始まります。通常、第2〜6肋軟骨の内面へ筋束が向かいます。肋軟骨を引き下げる働きを弱く助けます。通常の運動神経は肋間神経(通常T2〜T6)です。胸骨の後ろから扇状に広がる薄い筋です。筋束の数や広がりには個人差があります。

肋間の層・神経血管層と働く部分

上段は外・内・最内の深さと、内と最内の間の神経血管層。下段は内肋間筋の骨間部と軟骨間部の働きを分ける。矢印は肋骨を動かす方向の模式で、各部分の力や全呼吸条件を定量する図ではない。
上段は外・内・最内の深さと、内と最内の間の神経血管層。下段は内肋間筋の骨間部と軟骨間部の働きを分ける。矢印は肋骨を動かす方向の模式で、各部分の力や全呼吸条件を定量する図ではない。

9. 胸腹の境を作るドーム

横隔膜は胸腔と腹腔を分けるドーム状の骨格筋です。胸側から見ると上へふくらみ、腹側から見るとくぼみます。右と左のドームはつながった一筋で、通常は右側がやや高い位置にあります。高さや形には個人差があります。周囲は筋線維で、中央には丈夫な腱の板である腱中心があります。左右の形の違いを、そのまま別々の二筋と考える必要はありません。

10. 横隔膜の周りから中央へ

横隔膜の胸骨部は剣状突起の後面、肋骨部は下位六対、すなわち第7〜12肋骨・肋軟骨の内側から起こります。腰椎部は腰椎に付く左右の脚と、弓状靱帯という腱性の弓から起こります。代表的には右脚が第1〜3腰椎、左脚が第1〜2腰椎の椎体と椎間板付近へ付きます。内側弓状靱帯は腰椎の脇を下る大腰筋の上を、外側弓状靱帯は腰の後方にある腰方形筋の上を越えます。脚とこれらの弓から来る線維も、腱中心へ向かいます。

11. 腱中心へ集まる力と横隔神経

胸骨部は剣状突起の後面、肋骨部は下位六対の肋骨・肋軟骨の内側、腰椎部は腰椎の脚と弓状靱帯から始まります。周囲の筋線維が中央の腱中心へ集まります。収縮してドームが低くなり、吸気のために胸腔の上下の広がりを増やします。腹圧を支える働きにも関わります。通常の運動神経は横隔神経(主にC3〜C5)です。左右のドームを持ち、中央は筋線維ではなく腱の板です。三つの部と左右の脚は、この一筋の部分です。横隔神経の運動枝が筋線維へ届きます。腱中心そのものが筋として収縮するわけではありません。

横隔膜の三部と腱中心

上段は周囲の胸骨部・肋骨部・腰椎部から一つの腱中心へ集まる付着を示す。部と脚を独立した筋体へ分けない。下段の側面模式では筋の収縮でドームが低くなる形を比べる。腱中心は自ら筋として収縮する部位ではない。
上段は周囲の胸骨部・肋骨部・腰椎部から一つの腱中心へ集まる付着を示す。部と脚を独立した筋体へ分けない。下段の側面模式では筋の収縮でドームが低くなる形を比べる。腱中心は自ら筋として収縮する部位ではない。

12. 三つの通路を場所で分ける

下大静脈は代表的にT8付近で、右寄りの腱中心の大静脈孔を通ります。食道はT10付近で、主に右脚の筋線維が囲む食道裂孔を通り、迷走神経幹もここを通ります。大動脈はT12付近で、両脚の間の正中弓状靱帯の下、横隔膜の後ろを通ります。胸管もこの大動脈裂孔の経路を通ります。大静脈孔は腱、食道裂孔は筋の部分、大動脈の通路は後ろの弓の下と、囲む構造が異なります。

13. 一枚の境界を三つの通路が越える

食道裂孔を囲む脚の筋線維と、大静脈孔の腱中心は同じ材質ではありません。また、大動脈は腱中心に開いた穴を貫く形ではなく、後方の弓の下へ続きます。これらは、通るものの名前だけでなく、どこを通るかを読むための位置の目印です。代表的な椎体の高さはすべての人の形を一つに固定する値ではなく、脚や開口には解剖学的な変異があります。

横隔膜の三つの通路と高さ

三つの囲みは異なる通路。上は下大静脈が腱中心を通る場所、中は食道を主に右脚の筋線維が囲む場所、下は大動脈と胸管が後方の正中弓状靱帯の下を通る場所である。T8・T10・T12は代表的な位置の目安。縦線は上下につながる通路の模式で、血流や食物の移動方向の矢印ではない。図中の開口の大きさや筋の左右の広がりを実寸の断面として扱わない。
三つの囲みは異なる通路。上は下大静脈が腱中心を通る場所、中は食道を主に右脚の筋線維が囲む場所、下は大動脈と胸管が後方の正中弓状靱帯の下を通る場所である。T8・T10・T12は代表的な位置の目安。縦線は上下につながる通路の模式で、血流や食物の移動方向の矢印ではない。図中の開口の大きさや筋の左右の広がりを実寸の断面として扱わない。

14. 側腹壁の三層と前の板

腹壁の側方には、浅い側から外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋が重なります。筋線維は前方で、平たく広い腱である腱膜へ続きます。外腹斜筋は主に下内側、内腹斜筋は主に上内側、腹横筋は横へ走り、引く方向が異なります。骨盤の上縁が腸骨稜、前方の下部にある骨が恥骨です。恥骨の左右が正中で結び付く場所が恥骨結合です。恥骨の上の縁が恥骨稜、恥骨上枝に沿う稜が恥骨櫛です。これらが腹壁の筋や腱の付着を読む目印になります。

15. 白線、筋膜、鼠径靱帯を見分ける

白線は、左右の腹筋の腱膜が正中でつながる結合組織の線です。腹直筋の左右の間を通ります。筋膜は筋などを包み、また構造の間に広がる結合組織の膜で、胸腰筋膜は腰背部の筋と腹壁の付着をつなぎます。外腹斜筋の腱膜の下縁が折り返され、腸骨の前方の突起である上前腸骨棘から、恥骨の小さな突起である恥骨結節へ続くのが鼠径靱帯です。これは骨盤の前方の二つの目印をつなぐ構造です。

16. 外腹斜筋の浅い斜めの線維

第5〜12肋骨の外面から始まります。腱膜を介して白線と恥骨結節へ、筋線維の一部は腸骨稜の前半へ停止します。両側で腹部を圧迫し体幹を前へ曲げます。一側では同じ側への側屈と、反対側へ向ける回旋に関わります。通常の運動神経は胸腹神経と肋下神経(通常T7〜T12)です。側腹壁の最も浅い広い筋です。下内側へ向かう線維が前方の腱膜へ続き、その下縁は鼠径靱帯を作ります。

17. 内腹斜筋の深い斜めの線維

胸腰筋膜、腸骨稜の前方約三分の二、鼠径靱帯の外側部分などから始まります。第10〜12肋骨の下縁、白線、腱膜を介する恥骨部へ停止します。両側で腹部を圧迫し体幹を前へ曲げます。一側では同じ側への側屈と、同じ側へ向ける回旋に関わります。通常の運動神経は下位の胸腹神経・肋下神経とL1の腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経です。外腹斜筋より深い層にあります。主な線維は上内側へ向かいますが、下部の線維の向きは異なります。

18. 腹横筋は横から腹壁を支える

第7〜12肋軟骨の内側、胸腰筋膜、腸骨稜、鼠径靱帯の外側部分などから始まります。腱膜を介して白線と恥骨稜・恥骨櫛付近へ停止します。腹部を圧迫して腹壁を支え、腹圧を保つ働きに関わります。通常の運動神経は下位の胸腹神経・肋下神経とL1の腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経です。側腹壁の三層のうち最も深く、主な線維が横に走ります。腹直筋のように体幹を前へ曲げることを主作用とする筋ではありません。

19. 腹直筋は恥骨から胸の下へ

恥骨稜と恥骨結合の前面付近から始まります。剣状突起と第5〜7肋軟骨へ停止します。体幹の前屈、腹部の圧迫、骨盤を後ろへ傾ける動きに関わります。通常の運動神経は胸腹神経と肋下神経の枝(通常T6〜T12)です。白線の両側を縦に走り、腹直筋鞘に包まれます。途中の腱画は一筋の区切りで、独立した別の筋を並べたものではありません。骨盤の後傾は、骨盤の前側が上へ向くように傾く動きです。

20. 腹直筋鞘の前と後ろ

腹直筋鞘は、側腹壁の三筋の腱膜が腹直筋を包む構造です。肋骨弓より下で弓状線より上の高さでは、前壁を外腹斜筋の腱膜と内腹斜筋の腱膜の前葉が作り、後壁を内腹斜筋の腱膜の後葉と腹横筋の腱膜が作ります。内腹斜筋の腱膜が前後へ分かれるので、側方の三層をそのまま前壁だけへ重ねた形にはなりません。

21. 弓状線の下では前へ集まる

腹直筋鞘の腱膜性の後壁が下端を作る縁を弓状線と呼びます。その下では、外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の三つの腱膜が腹直筋の前へ集まります。腹直筋の後ろには腹横筋筋膜などの組織がありますが、それを弓状線より上と同じ腱膜性の後壁とは呼びません。弓状線の位置には個人差があります。肋骨弓より上の部分も別の構造なので、弓状線の上のすべてを一つの断面へまとめず、今見ている高さを確かめます。

腹直筋鞘の断面と弓状線

上段は肋骨弓より下かつ弓状線より上の高さで、内腹斜筋腱膜が前後へ分かれ、後葉と腹横筋腱膜が後壁を作る。下段では三つの腱膜が前へ集まり、後方の腹横筋筋膜は同じ腱膜性の後壁ではない。青い線は腱膜、破線は筋膜。肋骨弓より上の構造や弓状線の全変異をこの二断面へ一括しない。
上段は肋骨弓より下かつ弓状線より上の高さで、内腹斜筋腱膜が前後へ分かれ、後葉と腹横筋腱膜が後壁を作る。下段では三つの腱膜が前へ集まり、後方の腹横筋筋膜は同じ腱膜性の後壁ではない。青い線は腱膜、破線は筋膜。肋骨弓より上の構造や弓状線の全変異をこの二断面へ一括しない。

22. 錐体筋は下部の白線を張る

恥骨の前面と恥骨結合付近から始まります。下部の白線へ停止します。白線を張る働きに関わります。通常の運動神経は肋下神経(通常T12)です。腹直筋の下部の前面にある小さな三角形の筋です。片側または両側で欠けることがある筋で、全員に必ず同じ形で存在するとは限りません。

腹直筋・錐体筋と正中の付着

上段は左右の腹直筋と正中の白線、腹直筋内の腱画、下部の前面の錐体筋を描く。腱画の本数は模式で、錐体筋は片側または両側で欠けることがある。下段は錐体筋の白線への付着と、外腹斜筋腱膜の下縁で上前腸骨棘から恥骨結節へ続く鼠径靱帯を分ける。左右それぞれの筋と、一筋内の区切りを分けて読む。
上段は左右の腹直筋と正中の白線、腹直筋内の腱画、下部の前面の錐体筋を描く。腱画の本数は模式で、錐体筋は片側または両側で欠けることがある。下段は錐体筋の白線への付着と、外腹斜筋腱膜の下縁で上前腸骨棘から恥骨結節へ続く鼠径靱帯を分ける。左右それぞれの筋と、一筋内の区切りを分けて読む。

23. 同じ側と反対側の回旋

右の外腹斜筋は、体幹を左へ向ける回旋に関わります。右の内腹斜筋は、体幹を右へ向ける回旋に関わります。このため、左へ回す動きでは右外腹斜筋と左内腹斜筋が協力できます。両側が働けば腹部を圧迫し、体幹の前屈も助けます。腹横筋の主な役割は圧迫と支持で、外腹斜筋の斜めの線維と同じ回旋を一律に割り当てるものではありません。

側腹壁の線維と回旋

上段は右側腹壁を正面から見た線維方向の模式で、正中側を図右に置く。外腹斜筋は下内側、内腹斜筋は主に上内側、腹横筋は横へ走る。下段は外腹斜筋の反対側回旋と内腹斜筋の同側回旋が協力する組合せを示す。曲線矢印は動きの記号で、身体の左右を新たに割り当てる断面ではない。
上段は右側腹壁を正面から見た線維方向の模式で、正中側を図右に置く。外腹斜筋は下内側、内腹斜筋は主に上内側、腹横筋は横へ走る。下段は外腹斜筋の反対側回旋と内腹斜筋の同側回旋が協力する組合せを示す。曲線矢印は動きの記号で、身体の左右を新たに割り当てる断面ではない。

24. 層と付着を胸腹の境へつなげる

肋間筋は肋骨どうしをつなぎ、胸横筋は胸骨の後ろから肋軟骨へ広がります。横隔膜は胸骨・肋骨・腰椎側から腱中心へ線維を集め、胸腹の境を作ります。腹壁の側方の筋は腱膜を介して白線や恥骨へ力を伝え、腹直筋は正中の両側を縦につなぎます。横隔膜が動くときの胸腔の広がりや空気の流れは、すでに学んだ呼吸の関係へつながります。ここで付着・層・通路を重ねると、広い壁の中のそれぞれの筋の位置が分かります。

用語を確かめる

胸壁・腹壁
胸腔・腹腔を囲む壁。筋と骨、腱膜や筋膜などが位置に応じて組み合わさります。
前屈・側屈・回旋
体幹を前、横へ曲げる動きと、向きを回す動き。
肋間
隣り合う肋骨の間。上側の肋骨の番号で呼び、左右それぞれに第1〜11肋間があります。
剣状突起
胸骨の最も下の部分。横隔膜や腹直筋の付着の目印になります。
肋軟骨・肋骨弓
肋骨の前端に続く軟骨と、第7〜10肋軟骨がつながって作る下の縁。
C・T・Lの高さ
頸椎、胸椎、腰椎の番号で示す位置。神経の由来を示す場合は神経の番号として読みます。
肋骨溝
肋骨の内側の下縁に沿うくぼみ。肋間の神経・血管が近くを走ります。
肋間神経
胸神経の前枝から来て肋間を走る神経。対応する胸壁筋への運動枝を送ります。
肋間の神経血管層
内肋間筋と最内肋間筋の間の、神経と血管が走る層。
外肋間膜
外肋間筋の筋線維が前方で続く膜状の部分。
骨間部・軟骨間部
内肋間筋で、骨性の肋骨の間と、前方の肋軟骨の間にある部分。
肋骨角
肋骨の後方で曲がり方が大きくなる場所。肋下筋の付着の目印になります。
腱中心
横隔膜の筋線維が停止する中央の腱の板。
横隔膜の脚
横隔膜の腰椎部から腰椎へ付く右・左の部分。別々の独立した筋体ではありません。
弓状靱帯
横隔膜の腰椎部にある腱性の弓。内側・外側の弓は大腰筋・腰方形筋の上を越えます。
横隔神経
主にC3〜C5に由来し、横隔膜の筋へ運動枝を送る神経。
腹圧
腹腔内の圧。腹壁と横隔膜などの働きが、その支持と変化に関わります。
大静脈孔
下大静脈が代表的にT8付近で右寄りの腱中心を通る開口。
食道裂孔
食道と迷走神経幹が代表的にT10付近で脚の筋線維に囲まれて通る開口。
大動脈裂孔
大動脈と胸管が代表的にT12付近で、横隔膜の後ろの正中弓状靱帯の下を通る経路。
腱膜
筋の力を付着先へ伝える、平たく広い腱。
腸骨稜
腸骨の上の縁。腹壁筋の付着の目印になります。
恥骨結合
左右の恥骨が骨盤前方の正中で結び付く場所。
白線
左右の腹壁筋の腱膜が正中でつながる結合組織の線。
胸腰筋膜
腰背部の筋を囲む筋膜で、腹壁筋の付着にもつながります。
鼠径靱帯
外腹斜筋の腱膜の下縁が、上前腸骨棘から恥骨結節へ続く構造。
胸腹神経・肋下神経
下位胸神経から腹壁へ来る枝と、第12胸神経の前枝。
腸骨下腹神経・腸骨鼠径神経
主にL1から腹壁の下部へ向かう神経。
腱画
腹直筋の途中にある腱性の区切り。一筋の中の部分で、数や形に違いがあります。
骨盤の後傾
骨盤の前側が上へ向くように傾く動き。
腹直筋鞘
側腹壁の筋の腱膜が腹直筋を包む構造。前後の重なり方は高さによって異なります。
弓状線
腹直筋鞘の腱膜性の後壁が下端を作る縁。
腹横筋筋膜
腹壁の深い側に続く筋膜。弓状線の下でも腹直筋の後ろにあります。
大腰筋・腰方形筋
腰椎の脇を下る筋と、腰の後方の筋。横隔膜の内側・外側弓状靱帯がそれぞれの上を越えます。
正中弓状靱帯
横隔膜の両脚の間を弓状につなぐ腱性の縁。大動脈はその下を通ります。
恥骨稜・恥骨櫛
恥骨の上の縁と、恥骨上枝に沿う稜。
上前腸骨棘・恥骨結節
腸骨の前方の突起と、恥骨の小さな突起。鼠径靱帯が両者をつなぎます。
外肋間筋群
主な線維は上後方から下前方へ走ります。前方の肋軟骨付近では筋線維から外肋間膜へ続きます。
内肋間筋群
外肋間筋より深く、主な線維は上前方から下後方へ走ります。筋全体のすべてを同じ呼気作用へまとめません。
最内肋間筋群
内肋間筋より深く、両者の間を肋間の神経と血管が走ります。筋束は胸壁を一枚の連続した板として覆う形ではありません。
肋下筋群
主に胸壁の後ろの深い側にあり、一つの肋間を越えて下の肋骨へ向かう筋束です。数や広がりに個人差があります。
胸横筋
胸骨の後ろから扇状に広がる薄い筋です。筋束の数や広がりには個人差があります。
横隔膜
左右のドームを持ち、中央は筋線維ではなく腱の板です。三つの部と左右の脚は、この一筋の部分です。
外腹斜筋
側腹壁の最も浅い広い筋です。下内側へ向かう線維が前方の腱膜へ続き、その下縁は鼠径靱帯を作ります。
内腹斜筋
外腹斜筋より深い層にあります。主な線維は上内側へ向かいますが、下部の線維の向きは異なります。
腹横筋
側腹壁の三層のうち最も深く、主な線維が横に走ります。腹直筋のように体幹を前へ曲げることを主作用とする筋ではありません。
腹直筋
白線の両側を縦に走り、腹直筋鞘に包まれます。途中の腱画は一筋の区切りで、独立した別の筋を並べたものではありません。
錐体筋
腹直筋の下部の前面にある小さな三角形の筋です。片側または両側で欠けることがある筋で、全員に必ず同じ形で存在するとは限りません。