甲状腺・副甲状腺・副腎の位置と主要経路
本文の目次
- 喉頭の下で、左右葉と峡部を読む
- 甲状腺の前、後内側、後外側
- 上極・下極と、外形の差
- 動脈の出発点から、腺へ
- 静脈の合流先を、動脈と分ける
- 後内側の神経と、上極の近くの神経
- 後面の小腺を、甲状腺から区別する
- 上側と下側の位置、血管の枝
- 腎の上方にある、別の臓器
- 被膜の内側を、皮質と髄質に分ける
- 副腎の流入は、一つの起始だけではない
- 右は大静脈へ、左は左腎静脈へ
- 神経の到達と、血管の帰還は別の道
- 左右、前後、流入と帰還を重ねる
1. 喉頭の下で、左右葉と峡部を読む
甲状腺は頸部の前方で、喉頭の下、気管の前面から両側に位置する。右葉と左葉の間を峡部がつなぐ。前から人を見る図では、本人の右が画面の左になる。峡部は気管の前方を横切る部分で、気管の内腔や左右の静脈をつなぐ管ではない。
2. 甲状腺の前、後内側、後外側
甲状腺の前方には前頸部の筋群が重なる。後外側には頸動脈鞘に包まれる総頸動脈・内頸静脈などがあり、甲状腺葉そのものの中を通る道とは分ける。気管の後方には食道が位置し、葉の後内側を読むときは気管と食道の境界が目印になる。表面の前後と、血管の流れの向きは別の情報である。
3. 上極・下極と、外形の差
甲状腺の各葉には上極と下極があり、左右葉の大きさや峡部の高さ・厚さには差がある。峡部付近から上へ伸びる錐体葉を持つこともある。二葉と峡部の模式図に追加の葉が描かれていないからといって、全員で同じ外形になるわけではない。濾胞での貯蔵と血液への放出は、既にある甲状腺の説明へつなげて読む。
甲状腺の二葉・峡部と気管・食道
4. 動脈の出発点から、腺へ
主要な流入路は上甲状腺動脈と下甲状腺動脈である。上甲状腺動脈は通常外頸動脈から、下甲状腺動脈は通常鎖骨下動脈の枝である甲状頸動脈幹から分かれる。ここで「上」「下」は腺へ達する領域を読む名前で、血液が上下のどちらへ流れるかだけを表さない。起始や枝には差があり、最下甲状腺動脈がある例もある。
5. 静脈の合流先を、動脈と分ける
甲状腺から戻る血液は、通常、上甲状腺静脈と中甲状腺静脈から内頸静脈へ、下甲状腺静脈から腕頭静脈へ向かう。静脈の名前を、同名の動脈が出る場所へ戻る経路に置き換えない。複数の静脈や吻合の形は個体で異なるが、内頸静脈側と腕頭静脈側という主要な帰還先を区別できる。
6. 後内側の神経と、上極の近くの神経
反回喉頭神経は甲状腺の後内側で、気管食道溝に関係しながら喉頭へ向かう。下甲状腺動脈の前を通るか後を通るか、分枝の間に入るかは一定ではない。上極では上喉頭神経の外枝が上甲状腺動脈に近い領域を通る。二つの神経を、血管の内腔や甲状腺ホルモンの排出管として読まない。
甲状腺の主要血管と喉頭神経の位置
7. 後面の小腺を、甲状腺から区別する
副甲状腺は主に甲状腺の後面にある小さな腺で、甲状腺組織とは結合組織の被膜で区別される。通常は左右に上・下の一対ずつ、計4個として位置を読む。ただし数が多い例や少ない例、頸部や胸部で位置が異なる例もある。甲状腺の一部を単に4区画に切り分けた名称ではない。
8. 上側と下側の位置、血管の枝
上副甲状腺と下副甲状腺は、通常位置を区別するための名前である。特に下側の腺は位置の差が大きく、模式図の四つの丸が実際の全員の座標を表すわけではない。主要な動脈供給には下甲状腺動脈の枝が関係するが、他の枝が関わる例もある。位置の名前と供血の経路を合わせ、腺の個数を血管の枝数から決めない。
後面の副甲状腺と独立した被膜
9. 腎の上方にある、別の臓器
右副腎と左副腎は腎の上方から内側寄りにある後腹膜の臓器で、腎の実質とは別に区別する。右はおおむね三角形、左は半月状として外形を読む。後方には横隔膜があり、右の前方には肝や下大静脈、左の前方には胃や膵などが関係する。腎と同じ高さ・同じ外形のものを左右へ複製した配置にはしない。
10. 被膜の内側を、皮質と髄質に分ける
副腎の被膜の内側には外側の皮質と内側の髄質がある。皮質は外から球状帯、束状帯、網状帯の順に区別する。この三層は皮質の中の区分であり、髄質を三つに分けたものではない。左右で外形が違っても、皮質と髄質を腎皮質・腎髄質へ置き換えず、副腎内部の構造として読む。
副腎の左右の外形と皮質・髄質
11. 副腎の流入は、一つの起始だけではない
副腎には複数の動脈が流入する。通常、上副腎動脈群は下横隔動脈から、中副腎動脈は腹大動脈から、下副腎動脈群は腎動脈から分かれる。三つの群は主な起始を整理するための区分で、本数や細枝の分かれ方を全員で同じに固定するものではない。下大静脈や左腎静脈への帰還は、この動脈の出発点と別にたどる。
12. 右は大静脈へ、左は左腎静脈へ
副腎静脈の主要な帰還先は左右で異なる。右副腎静脈は通常下大静脈へ直接入り、左副腎静脈は通常左腎静脈に入り、その先で下大静脈へ続く。左側を右側の経路の鏡写しにはしない。左下横隔静脈との共通幹や本数・合流の違いもあるが、個々の変異の形を全て同じ線に重ねて読む必要はない。
副腎動脈の三群と副腎静脈の左右差
13. 神経の到達と、血管の帰還は別の道
副腎髄質には交感神経の節前線維が到達する。これは動脈や静脈の内腔を通る血液の経路ではない。副腎静脈は血液が戻る道で、腺から消化管のような管腔へつながる排出管ではない。既にある内分泌の説明では神経入力と血中への放出を扱い、ここでは臓器の内部区分と各経路の位置を重ねて読む。
14. 左右、前後、流入と帰還を重ねる
頸部では甲状腺の二葉と峡部、後面の副甲状腺、後内側と上極に関係する神経を区別する。上腹部では副腎を腎の上方にある別の腺として読み、複数の動脈の流入と左右で違う静脈の帰還を分ける。外形や通常位置の図は目印として使い、腺の数・枝・隣接の全てを一人の配置に固定しない。
用語を確かめる
- 甲状腺
- 喉頭の下、気管の前方から両側に位置する腺。
- 峡部
- 甲状腺の左右葉をつなぐ中央部。
- 上極・下極
- 甲状腺葉の上側と下側の端を区別する名前。
- 錐体葉
- 峡部付近から上へ伸びることがある甲状腺の部分。
- 頸動脈鞘
- 甲状腺の後外側で頸部の主要血管などを包む構造。
- 上甲状腺動脈
- 通常外頸動脈から分かれる甲状腺への動脈。
- 下甲状腺動脈
- 通常甲状頸動脈幹から分かれる甲状腺への動脈。
- 甲状腺静脈
- 上・中は通常内頸静脈、下は通常腕頭静脈へ戻る血管。
- 反回喉頭神経
- 甲状腺の後内側で気管食道溝に関係して喉頭へ向かう神経。
- 上喉頭神経外枝
- 甲状腺の上極と上甲状腺動脈に近い領域を通る神経の枝。
- 副甲状腺
- 主に甲状腺の後面にあり、独立した被膜を持つ小腺。
- 上副甲状腺・下副甲状腺
- 通常位置の上側と下側を区別する副甲状腺の名前。
- 副腎
- 腎の上方にあり、腎とは別に区別される後腹膜の腺。
- 副腎皮質
- 副腎の外側に位置する組織の領域。
- 副腎髄質
- 副腎の内部、皮質より内側に位置する領域。
- 球状帯
- 副腎皮質の三層のうち最も外側の層。
- 束状帯
- 球状帯と網状帯の間にある副腎皮質の層。
- 網状帯
- 副腎皮質の三層のうち髄質に近い内側の層。
- 副腎動脈群
- 複数の起始から副腎へ達する動脈の群。
- 右副腎静脈
- 通常下大静脈へ直接還流する静脈。
- 左副腎静脈
- 通常左腎静脈へ還流する静脈。
- 交感神経節前線維
- 副腎髄質へ到達する神経入力に関係する線維。