鎖骨下から指へ、深浅静脈から腋窩へ続く上肢の主要血管

本文の目次

  1. 右と左の起始は同じではない
  2. 第1肋骨を越えて腋窩へ
  3. 小胸筋の前後を目印にする
  4. 大円筋の下縁から上腕動脈へ
  5. 後側への枝は上腕で分かれる
  6. 肘から前腕へ二つの本幹
  7. 前腕の骨側と、骨間膜の枝
  8. 手へ入る道は二本で異なる
  9. 掌の二つの弓は主な親が異なる
  10. 屈筋腱を挟んで浅い弓と深い弓
  11. 掌弓から指への連続
  12. 深静脈は動脈に伴って近位へ
  13. 手背の網から皮下の二経路
  14. 腋窩への入り方を比べる
  15. 肘の表在連絡と深部を分ける
  16. 腋窩から胸部、右心房へ戻る

1. 右と左の起始は同じではない

上肢へ向かう動脈を近位からたどると、通常右側は大動脈弓から腕頭動脈、右鎖骨下動脈へ続く。左鎖骨下動脈は大動脈弓から直接起こる。左右の上肢でその先の主要な名前が対応していても、胸部の出発点まで鏡像とは限らない。

2. 第1肋骨を越えて腋窩へ

鎖骨下動脈の本幹は第1肋骨の外側縁を越えると腋窩動脈と呼ばれる。一本の続いた管に、通る場所に応じた名前がつく。鎖骨下動脈の全ての枝が上肢へ行くわけではないので、本幹の連続と、頸部や胸壁などへ出る枝は分ける。

3. 小胸筋の前後を目印にする

腋窩動脈は小胸筋を目印に三つの部分へ分ける。第1部は筋の内側、第2部は筋の後方、第3部は筋の外側である。ここで後方という位置を、図の右側という意味に置き換えない。肩や胸壁、上腕骨頭周囲へ向かう枝を出しながら、本幹は上腕へ続く。

4. 大円筋の下縁から上腕動脈へ

腋窩動脈は大円筋の下縁を越えて上腕動脈となる。上腕の前内側を下り、肘窩では上腕二頭筋腱の内側を通る。ここも本幹の改名であり、大円筋の下縁で二本の末梢動脈へ分かれるという意味ではない。

5. 後側への枝は上腕で分かれる

上腕深動脈は通常上腕の近位で上腕動脈から出て、橈骨神経とともに上腕の後側へ向かう。上腕の後側領域への道と、肘まで下る上腕動脈の本幹を区別する。上腕深動脈を肘で初めて起こる枝にしない。肘の周囲には側副枝の連絡もあるが、全ての網や変異を一本の図へ固定しない。

6. 肘から前腕へ二つの本幹

上腕動脈は肘付近で橈骨動脈と尺骨動脈へ分かれる通常型をとる。前腕へ向かう二本はそれぞれ橈側と尺側へ続く。高い位置で分かれる型などもあるため、全例の分岐点を同じ高さとしない。上腕深動脈の分岐と、橈骨・尺骨動脈への本幹の分岐は別である。

起始・改名と、上腕の後側への枝

上部は左右の通常の起始関係を示し、本人の右が画面左。大動脈弓から右腕頭動脈を経て右鎖骨下動脈へ、左鎖骨下動脈へは直接向かう。下部はこれとは独立した一側の本幹の道で、第1肋骨外側縁、大円筋下縁を越えて鎖骨下、腋窩、上腕動脈と改名する。上腕深動脈は肘の分岐より近位で本幹から分かれ後側へ向かい、本幹は肘付近で橈骨、尺骨動脈へ分かれる。箱は名前と連続を示す模式で実際の血管形、長さ、角度や分岐高位の全例性を示さない。
上部は本人の右を画面左に置いた通常の起始です。下部は一側の本幹だけを取り出しています。改名の境界と、上腕で後側へ分かれる上腕深動脈、肘付近での橈骨・尺骨への分岐を別に読みます。箱の場所は精密投影ではなく、全枝や分岐変異を示しません。

7. 前腕の骨側と、骨間膜の枝

橈骨動脈は母指側にある橈骨側、尺骨動脈は小指側にある尺骨側を手関節へ向かう。通常、尺骨動脈から総骨間動脈が出て前・後骨間動脈へ分かれ、骨間膜の前後に連続する。骨の名前をもつ二本の本幹と、骨間膜に沿う枝の階層を分けて読む。

8. 手へ入る道は二本で異なる

橈骨動脈の本幹は手関節の橈側から背側へ回り、第1背側骨間筋の間を経て手掌の深部へ入る代表的な道をとる。尺骨動脈は屈筋支帯の浅側から手掌へ入る。手の中へ続く二本を、同じ手根管の内腔へ一緒に入る管として描かない。

前腕の骨側と、手へ入る二経路

右前腕の前面と手掌側を概念的に示す。本人の橈側、母指側が画面左、尺側、小指側が画面右。橈骨、尺骨は薄い線で、それぞれに近い橈骨動脈、尺骨動脈を分ける。手関節を越え橈骨動脈本幹は背側へ回って手掌深部へ、尺骨動脈は屈筋支帯の浅側から手掌へ向かう代表経路。下の二つの箱は行き先の説明で、同じ断面や実際の位置、大きさ、他の枝の省略位置を示さない。
右前腕を前面から見た向きにそろえ、画面左を橈側・母指側にしています。下部は橈骨動脈が背側へ回って深部へ入る道と、尺骨動脈が屈筋支帯の浅側から入る道を説明しています。連続の模式で、背側への回り方の精密投影、全骨間枝、手根管の形は示しません。

9. 掌の二つの弓は主な親が異なる

浅掌動脈弓は主に尺骨動脈、深掌動脈弓は主に橈骨動脈から作られる。典型的には橈骨動脈の浅掌枝が浅い弓へ、尺骨動脈の深掌枝が深い弓へ連絡する。名前の浅深と、主な血液の供給元、連絡する枝を分けて読む。完全な弓の有無や供給割合には変異がある。

10. 屈筋腱を挟んで浅い弓と深い弓

浅掌動脈弓は手掌腱膜より深く、指へ向かう屈筋腱より浅い。深掌動脈弓は屈筋腱より深く、中手骨底付近にある。浅い弓が皮膚の直下という意味でも、二つの弓が同じ平面に重なるという意味でもない。断面では何の浅側・深側かを確かめる。

11. 掌弓から指への連続

浅掌動脈弓から総掌側指動脈が指間へ向かい、固有掌側指動脈へ分かれて隣り合う指の側へ続く。深掌動脈弓の掌側中手動脈などもこれらの道へ連絡する。枝の吻合を、全ての指で完全に同じ供給境界や閉じた輪があるという意味にはしない。母指や示指、手背への既存の説明は関連参照として読む。

典型的な掌弓の連絡と、浅深の層

上部は右手掌に対応する典型的な供給と連絡を取り出した模式で、橈側が画面左。浅掌動脈弓は主に尺骨動脈から、深掌動脈弓は主に橈骨動脈から続き、橈骨の浅掌枝と尺骨の深掌枝が他方の弓へ連絡する一型を描く。指向きの三本の矢印は浅い弓から先の枝を省略して表し、全指や供給境界を示さない。下部はこれと別の層の断面模式で、手掌腱膜、浅掌動脈弓、屈筋腱、深掌動脈弓を浅側から深側へ並べる。全員に同じ完全な弓があるとはしない。
上部は二つの主な親動脈と他方からの連絡を示す典型型です。矢印は血液が本幹から指へ向かう方向を示し、全指の枝を数えた図ではありません。全員に同じ完全な輪や供給割合を当てはめません。下部の断面模式では、屈筋腱を基準に浅掌弓と深掌弓の層を分けています。

12. 深静脈は動脈に伴って近位へ

手の深部から集まる静脈血は橈骨・尺骨静脈、上腕静脈を経て腋窩静脈側へ戻る。深静脈には同名の動脈に伴う複数の静脈と、相互の連絡がある。図で代表線を一本に省略しても、常に一本の単独静脈だけがあるとはしない。動脈の末梢向きと、静脈の近位向きを別々にたどる。

13. 手背の網から皮下の二経路

手背静脈網から橈側皮静脈と尺側皮静脈へ続く表在経路がある。橈側皮静脈は母指側寄り、尺側皮静脈は小指側寄りを上がる。皮下の道と、筋膜より深い動脈の伴行静脈は別の層である。両者には交通があり、手掌と手背の血液を互いに孤立した二つの袋として分けない。

14. 腋窩への入り方を比べる

橈側皮静脈は上腕の外側寄りから三角筋と大胸筋の間を通り、深部の腋窩静脈へ注ぐ。尺側皮静脈は上腕内側で深筋膜を貫き、通常大円筋下縁付近で上腕静脈と合わさり腋窩静脈へ続く。尺側皮静脈を上腕の全区間で皮下に固定しない。筋膜を越える位置や合流の形には個体差がある。

15. 肘の表在連絡と深部を分ける

肘正中皮静脈は肘の浅いところで橈側皮静脈と尺側皮静脈を連絡する代表的な道である。形や発達には変異があり、全員に同じ斜め一本の連絡があるとはしない。これは深部の上腕動脈や、その先の橈骨・尺骨動脈への分岐とは別の血管の関係である。

皮下の二経路と、腋窩静脈への入り方

右上肢の表在静脈の代表的な連続を取り出す。画面左が橈側、画面右が尺側。手背静脈網から橈側皮静脈と尺側皮静脈へ分かれて近位へ向かう。橈側皮静脈は三角筋と大胸筋の間を通り腋窩静脈へ注ぐ。尺側皮静脈は上腕で深筋膜を貫き、通常大円筋下縁付近で上腕静脈と合流する。二本で省略した上腕静脈は深部を示す。肘正中皮静脈は浅い連絡の一型で、深部の線との交差に空白を置きその交点での合流を示さない。短い灰色破線は深筋膜の通過位置の記号で静脈分岐ではない。実際の深さ、筋膜貫通高位、全静脈型を固定する投影ではない。
右側の代表経路を、橈側を画面左にして取り出しています。矢印は近位への還流です。尺側皮静脈の筋膜通過と上腕静脈との合流を、橈側皮静脈の別の腋窩流入と分けます。灰色破線は筋膜、肘の連絡にある空白は深部の線とその交点で合流しない表示です。連絡や筋膜を越える高位、合流の形は全員で同じではありません。

16. 腋窩から胸部、右心房へ戻る

腋窩静脈は近位へ続いて鎖骨下静脈となる。通常、鎖骨下静脈は内頸静脈と合流して腕頭静脈となり、左右の腕頭静脈は上大静脈へ続く。上肢の静脈血は主にこの経路から右心房へ戻る。動脈の右側の腕頭動脈と、左右にある腕頭静脈を同じものとして左右を機械的にそろえない。

深部の静脈から腋窩・胸部への還流

右上肢の深部から戻る道を下から上へ示す。手の深部の静脈から橈骨・尺骨静脈、上腕静脈、腋窩静脈、右鎖骨下静脈へ続く。右鎖骨下静脈は内頸静脈と合流して右腕頭静脈へ続き、上大静脈から右心房へ戻る。実際には深静脈に複数の伴行静脈と交通があるが箱と代表線で省略する。左腕頭静脈と他の静脈流入は描いていない。左右投影や血管の形の図ではなく還流の順序を示す。
下から上への矢印で、右側の深部の還流をたどります。内頸静脈の合流を加え、鎖骨下から腕頭静脈、上大静脈、右心房へ結んでいます。深静脈の本数や交通、表在からの流入、左腕頭静脈は省略しており、箱の位置を実際の投影として読みません。

用語を確かめる

鎖骨下動脈
腋窩動脈へ連続する上肢の近位の動脈本幹。
腋窩動脈
第1肋骨外側縁から大円筋下縁までの本幹。小胸筋との位置で三部に分ける。
上腕動脈
腋窩動脈から続き、肘付近で橈骨・尺骨動脈へ分かれる本幹。
上腕深動脈
通常上腕近位で分かれ後側へ向かう枝。
橈骨動脈
前腕の橈側から手へ続き、深掌弓の主な供給となる動脈。
尺骨動脈
前腕の尺側から手へ続き、浅掌弓の主な供給となる動脈。
総骨間動脈
通常尺骨動脈から分かれ、前・後骨間動脈へ続く枝。
浅掌動脈弓
主に尺骨系からなる、屈筋腱より浅い掌の弓。
深掌動脈弓
主に橈骨系からなる、屈筋腱より深い掌の弓。
掌側指動脈
総掌側指動脈から固有掌側指動脈へ続く、指の掌側の主要経路。
橈骨静脈
橈骨動脈に伴う深部の還流経路。
尺骨静脈
尺骨動脈に伴う深部の還流経路。
上腕静脈
前腕の深静脈から集まり、腋窩側へ戻る伴行静脈。
橈側皮静脈
橈側寄りから上がり、三角筋大胸筋間を経て腋窩静脈へ注ぐ表在静脈。
尺側皮静脈
尺側寄りを上がり、上腕で深筋膜を貫き上腕静脈と合流する静脈。
肘正中皮静脈
肘で橈側・尺側皮静脈を連絡する代表的な表在静脈。
腋窩静脈
上腕・表在系などの血液が集まり、鎖骨下静脈へ続く還流経路。
腕頭静脈
通常鎖骨下静脈と内頸静脈の合流から、上大静脈へ続く左右の静脈。