脳室の壁と、外側への髄液の連続

本文の目次

  1. 脳室の内側の壁と、脳の外側の膜
  2. 上衣と脈絡叢の上皮を分ける
  3. 正中口から小脳延髄槽へ
  4. 外側陥凹の先に左右の外側口がある
  5. 空間の連続と、壁の違いを一緒に読む

1. 脳室の内側の壁と、脳の外側の膜

脳室は脳の内部にある、髄液を含む空間です。その壁の多くは、上衣細胞が並ぶ上衣で覆われています。壁の外側には神経組織の実質があります。一方、軟膜は脳の外表に密着し、その外側にくも膜下腔とくも膜、さらに硬膜が位置します。脳室の壁を覆う上衣と、外表を包む髄膜は、同じ場所の膜ではありません。

脳室の壁と外表の膜

脳室内の髄液とくも膜下腔を、上衣・神経実質・軟膜の位置で分ける局所断面。
開口から離れた局所断面です。厚さや縮尺は実寸ではなく、脈絡叢などを省略しています。脳室壁と外表の膜を別の境界として読みます。

2. 上衣と脈絡叢の上皮を分ける

上衣は、脳室の壁の多くを覆う細胞の層です。脈絡叢では、毛細血管を含む組織を特殊な上皮が覆い、髄液の産生に関わります。この上皮は上衣とつながる特殊化した部分ですが、脳室壁の上衣をすべて脈絡叢と呼ぶわけではありません。壁の表面を読むときと、髄液を産生する組織を読むときで、対象を分けます。

3. 正中口から小脳延髄槽へ

第四脳室の屋根の下部には、正中口があります。ここから、小脳と延髄の間に広がる小脳延髄槽へ連絡します。小脳延髄槽はくも膜下腔の一部で、第五の脳室ではありません。上部の屋根をつくる上髄帆と、下部にある正中の出口を、同じ場所に重ねずにたどります。

4. 外側陥凹の先に左右の外側口がある

第四脳室には、左右へ延びる外側陥凹があります。それぞれの先に外側口があり、小脳橋角部付近のくも膜下腔へ開きます。小脳橋角部は、橋と小脳が近接する外側の部位です。外側陥凹は第四脳室の続きで、そこから外側口を通って神経組織の外側の空間へ連絡します。正中の出口へ集まる一本の管としては描きません。

第四脳室の正中と左右の出口

正中口から小脳延髄槽へ、左右の外側陥凹から外側口を経て小脳橋角部付近のくも膜下腔へ続く接続図。
接続関係を整理した図で、解剖断面や実寸ではありません。下段は同じくも膜下腔を表し、正中と左右の出口を分けています。

5. 空間の連続と、壁の違いを一緒に読む

正中口と外側口は、脳室内の髄液空間と、脳・脊髄を囲むくも膜下腔をつなぎます。空間が連続していても、脳室壁の上衣と外表の髄膜が一つの同じ膜になるわけではありません。開口から離れた断面では、脳室とくも膜下腔の間に神経実質があります。静脈洞は静脈血の通路であり、これらの出口がそのまま静脈洞へ開くという意味でもありません。

用語を確かめる

上衣
脳室壁や中心管の内面を覆う、上衣細胞の層。
上衣細胞
上衣をつくる神経膠細胞の一種。
神経実質
神経細胞や神経膠細胞、神経線維などからなる神経組織。
髄膜
脳と脊髄の外側を覆う、硬膜・くも膜・軟膜。
脈絡叢上皮
脈絡叢の毛細血管を含む組織を覆い、髄液の産生に関わる特殊な上皮。
正中口
第四脳室の下部の屋根にある、くも膜下腔への正中の開口。
小脳延髄槽
小脳と延髄の間に広がる、くも膜下腔の一部。
外側陥凹
第四脳室が左右の外側へ延びる部分。
外側口
第四脳室の左右の外側陥凹の先にある、くも膜下腔への開口。
小脳橋角部
橋と小脳が近接する外側の部位。
くも膜下腔
くも膜と軟膜の間にあり、髄液を含む空間。
脳室壁
脳の内部の脳室を囲む境界。外表の髄膜とは別の位置にある。