Gタンパク質αの切替えと中継の終了

本文の目次

  1. 細胞内でつなぐタンパク質
  2. GDPが外れ、GTPが結合する
  3. 結合GTPの加水分解で戻る
  4. 新しい入力と、残っている中継

1. 細胞内でつなぐタンパク質

受容体が受け取った情報を、細胞内の別の分子へつなぐしくみがあります。Gタンパク質は、その中継を担うタンパク質の一種です。ここで扱う典型的な三量体Gタンパク質は、α、β、γという三つの部分からなります。このような構成部分をサブユニットといいます。αサブユニットにはヌクレオチドが結合し、その結合状態が切替えに関わります。全ての受容体がこの方式を使うわけではありません。

2. GDPが外れ、GTPが結合する

GDPはグアノシン二リン酸、GTPはグアノシン三リン酸というヌクレオチドです。ヌクレオチドは、塩基・糖・リン酸を持つ材料です。典型的な三量体Gタンパク質のαは、GDPを結合した休止側から、GTPを結合した活性側へ切り替わります。受容体の働きによりGDPが外れ、代わりにGTPが結合します。結合分子の交換であり、結合したGDPにその場でリン酸を付けてGTPに変える過程ではありません。活性側とは中継に働ける状態で、全ての標的の活動が一律に増えるという意味ではありません。

3. 結合GTPの加水分解で戻る

αに結合したGTPは、水を使う加水分解によってGDPと無機リン酸になります。無機リン酸はPiとも表します。この過程でαはGDPを結合した休止側へ戻り、そのαの活性側の状態を終えます。GDPが外れて新しいGTPが結合する交換と、既に結合したGTPを加水分解する過程は別です。αというタンパク質が同じ量だけ残っていても、結合する分子と状態は変わり得ます。

4. 新しい入力と、残っている中継

受容体から新しく活性側への切替えを起こす働きが止まっても、既にGTPを結合したαが直ちに全てGDP側へ戻ったとは限りません。新しい切替えの有無と、既存のαの加水分解は別に確かめます。指定した酵素をGTP結合時だけ活性化する模型なら、αの量だけでなくGDP/GTPの状態を、その酵素への作用と対応させます。この模型から、細胞全体の全ての応答が同じ時刻に終わるとは決められません。

Gタンパク質αの結合分子の交換と加水分解

上下に二つの過程を別枠で表示。αは同じ形のタンパク質として示し、その右側にGDP又はGTPのラベル付き結合分子が接する。上段はGDP結合の休止側からGTP結合の活性側へ右向き矢印で、GDPが外れGTPが結合という説明。下段はGTP結合の活性側から、水を使う右向き加水分解矢印を経てGDP結合の休止側となり、別に無機リン酸が生じる。
上段は、αからGDPが外れてGTPが結合する交換です。下段は別の過程で、αに結合したGTPの加水分解に水が使われ、GDPと無機リン酸が生じます。同じ形のαでも、結合する分子と状態は変わります。図はαの結合状態に限った説明で、三量体の全構造、αとβγの位置の変化、反応速度や細胞全体の全応答は示しません。新しい切替えが止まった時点だけから、既にあるGTP結合αの終了まで決めることはできません。

用語を確かめる

Gタンパク質
ここでは、受容体から細胞内の別の分子へ情報をつなぐタンパク質の一種。
三量体
三つの構成部分が集まったもの。ここではα・β・γからなるGタンパク質。
サブユニット
複数の部分からなるタンパク質などの構成部分。
αサブユニット
典型的な三量体Gタンパク質の一部分。GDP/GTPが結合し、切替えに関わる。
GDP
グアノシン二リン酸。ここではαの休止側に結合するヌクレオチド。
GTP
グアノシン三リン酸。ここではαの活性側に結合するヌクレオチド。
ヌクレオチド
塩基・糖・リン酸を持つ材料。GDPとGTPもその例。
結合分子の交換
ここではαからGDPが外れ、別の分子GTPが結合すること。
加水分解
水を使って化学結合を切る反応。ここでは結合GTPからGDPと無機リン酸ができる。
無機リン酸(Pi)
ここではGTPの加水分解でGDPとともに生じるリン酸。
活性側・休止側
ここではGTP/GDP結合に対応するαの中継状態。タンパク質の総量とは別。