代理行為の瑕疵と本人が知っていた事情
法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 2026年4月1日を基準とする民法101条の基本。代理人から相手方・相手方から代理人という意思表示の向き、条文所定の効力に影響する事情、特定法律行為の委託と実行、本人の知情又は過失による不知と代理人の不知を条件として与える。これらの具体的な認定、錯誤・詐欺・強迫等の成立や行為全体の効力、代理権・行為能力・表見代理や無権代理、第三者・旧法の扱いは評価しない。
本文の目次
1. 本人・代理人・相手方の役割を分ける
本人は代理の効果を受ける人、代理人は意思表示をしたり受けたりする人、相手方はその意思表示の相手である。代理による効果が本人に生じることと、意思表示に関係する事実を誰について判断するかは、別の問いになる。ここでは代理権や代理の成立は判断せず、101条の判断主体を読む。
2. 代理人から相手方へした意思表示
101条1項は、代理人が相手方にした意思表示を扱う。意思の不存在、錯誤、詐欺、強迫、事情を知っていたことや過失によって知らなかったことが意思表示の効力に影響する場合、その事実の有無は代理人について決する。瑕疵とはここでは意思表示の効力に影響する問題をいう。具体的に錯誤等が成立するかは別に確かめる。
3. 相手方から代理人へした意思表示
101条2項は、相手方が代理人にした意思表示を扱う。受けた者の知情や過失による不知が効力に影響する場合、その事実の有無も代理人について決する。1項とは意思表示の向きと挙げられた事情が違うが、代理人について判断する基本は共通する。受けた場合を本人について判断すると読み替えない。
4. 特定の行為を委託し、本人が知っていた場合
101条3項は、特定の法律行為をすることを委託された代理人が、その行為をしたときの規定である。本人は、自ら知っていた事情について、代理人が知らなかったことを主張できない。委託と実行、本人と代理人が何を知っていたかを分けて読む。本人が知っていた事情を、代理人の不知で置き換えることはできない。
5. 過失による不知も同様に扱う
本人が過失によって知らなかった事情も、3項後段によって同様に扱う。Pの本人が知っていた事情と、Qの本人が過失によって知らなかった事情は、与えられた委託と実行の条件の下で、どちらも代理人の不知を本人が主張できない場合に対応する。過失の有無を判断していない単なる不知を、ここへ一律に含めない。
6. 主張制限から行為全体の結論を飛ばさない
代理人について事実を判断する基本と、本人が代理人の不知を主張できない場合を分けて読む。本人の主張制限だけで、行為全体が当然に無効になったり、取消しが成立したりするわけではない。具体的な錯誤・詐欺・強迫等の成立や知情・過失・委託の認定には、別の要件と事情を確かめる必要がある。