錯誤による取消しの条件
法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 2026年4月1日を基準とする民法95条の基本。事例では、錯誤の類型・重要性、基礎とされていることの表示、重大な過失、同一の錯誤、条文上保護される善意でかつ過失がない第三者という条件を与える。具体的な事実からの錯誤・表示・重要性・過失や第三者の認定、旧法の適用、取消手続・登記・返還は扱わない。
本文の目次
- 錯誤と取消しの条件を分ける
- 1項の二つの類型と重要性
- 2号は基礎とされていることの表示も必要
- 表意者の重大な過失による制限
- 相手方の認識等と同一錯誤の二例外
- 相手方の通常の過失と重大な過失を取り違えない
- 善意でかつ過失がない第三者への取消し
- 順に確認する
1. 錯誤と取消しの条件を分ける
錯誤は、表示に対応する意思が欠ける型や、法律行為の基礎にした事情の認識が真実と違う型として95条に掲げられる。心裡留保のように表意者が真意ではないと知ってした表示と同一視しない。95条は錯誤があれば常に無効となるとはせず、条件を満たすと取り消すことができるとする。
2. 1項の二つの類型と重要性
1号は意思表示に対応する意思を欠く錯誤、2号は表意者が法律行為の基礎とした事情の認識が真実に反する錯誤である。いずれも、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要であることを必要とする。重要性があるかどうかの具体的な事実認定は、条件が与えられた問題を解くこととは別になる。
3. 2号は基礎とされていることの表示も必要
2項は1項2号による取消しに追加条件を置く。その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、取り消すことができる。事情を内心で基礎にしたことだけを、その旨の表示があったことへ置き換えない。表示がどのように認められるかという具体的な判断は別に確かめる。
4. 表意者の重大な過失による制限
3項は錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合、二つの例外を除いて1項による取消しを制限する。重大な過失の条件を、過失が少しでもある場合すべてに広げない。ここでは重大な過失があるかどうかを問題で与え、具体的な不注意の程度から判定することはしない。
5. 相手方の認識等と同一錯誤の二例外
1号の例外は相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかった場合である。2号の例外は相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていた場合である。二つの例外をどちらか一つだけに縮めない。例外に当たっても、重要性や、1項2号の錯誤の場合に必要な2項の表示など、他の取消条件が不要になるわけではない。
6. 相手方の通常の過失と重大な過失を取り違えない
95条3項1号は、相手方が知らなかった場合について重大な過失を掲げる。相手方に通常の過失があるだけの事例と、重大な過失によって知らなかった事例は同じ条件ではない。93条の知ることができたという文言をそのまま移して、95条の条件を変えない。
7. 善意でかつ過失がない第三者への取消し
4項は1項による意思表示の取消しを、善意でかつ過失がない第三者に対抗できないとする。93条・94条の無効についての各2項では善意の第三者という文言を読んだが、95条4項では善意と過失がないことの両条件を保つ。ここでは各条文の保護対象となる第三者条件の成立を与え、具体的な第三者の範囲や知識の時点を認定しない。
8. 順に確認する
まず1項の類型と重要性を読み、2号なら2項の基礎とされていることの表示も確かめる。次に3項の重大な過失による制限と二例外を確認する。その上で4項の第三者との関係を分けて読む。取消しの具体的な手続や期間、返還、登記・転得者はそれぞれ別の規律を確かめる。