司法の組織・保障と裁判の公開

法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。

本文の目次

  1. 司法権と職務上の独立
  2. 最高裁の規則を定める権限
  3. 罷免・懲戒・報酬の保障
  4. 最高裁と下級裁の任命
  5. 国民審査と下級裁の任期を分ける
  6. 法定年齢による退官
  7. 対審と判決は公開法廷で行う
  8. 対審の非公開には条件と例外がある

1. 司法権と職務上の独立

司法権は最高裁判所と、法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属します。特別裁判所は設置できず、行政機関は終審として裁判を行えません。すべての裁判官は、その良心に従って独立して職権を行い、憲法と法律にのみ拘束されます。独立とは、裁判官が憲法や法律を離れて自由に判断してよいという意味ではありません。

2. 最高裁の規則を定める権限

最高裁は、訴訟手続、弁護士、裁判所の内部規律、司法事務処理について規則を定める権限を持ちます。規則の対象をあらゆる政策分野へ広げません。検察官は最高裁が定める規則に従わなければなりません。また最高裁は、下級裁判所に関する規則制定権限を下級裁判所へ委任できます。権限を委任される裁判所と、規則を遵守する検察官を区別します。

3. 罷免・懲戒・報酬の保障

78条は、裁判で心身の故障のため職務を執れないと決定された場合を除き、公の弾劾によらなければ罷免されないと定めます。行政機関は裁判官の懲戒処分を行えません。これとは別に、最高裁と下級裁の裁判官はいずれも定期に相当額の報酬を受け、在任中にその報酬を減額できません。罷免、懲戒処分、報酬の減額は同じ行為ではなく、各保障を対応する行為へ当てはめます。

4. 最高裁と下級裁の任命

最高裁は長たる裁判官と、法律の定める員数のその他の裁判官で構成します。長たる裁判官は内閣の指名に基づいて天皇が任命し、その他の最高裁裁判官は内閣が任命します。下級裁の裁判官は、最高裁が指名した者の名簿によって内閣が任命します。下級裁については、名簿を指名する主体と任命する主体を取り違えません。

5. 国民審査と下級裁の任期を分ける

最高裁の裁判官の任命は、任命後初めての衆議院議員総選挙の際に国民審査に付されます。その後10年を経過した後初めての衆院総選挙の際に更に審査し、その後も同様です。10年経過当日そのものが審査日になるのではありません。投票者の多数が罷免を可とすれば罷免され、審査に関する事項は法律で定めます。一方、下級裁の裁判官の任期は10年で、再任されることができます。再任可能は自動再任を意味せず、最高裁の国民審査の10年と同じ制度でもありません。

6. 法定年齢による退官

最高裁の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官します。下級裁でも法定年齢に達した時には退官するので、10年の任期が残っていることによって退官条件を外せません。法定年齢による退官は、心身の故障についての裁判、公の弾劾、国民審査による罷免とそれぞれ条件を分けて考えます。最高裁が違憲かどうかを決定する終審裁判所であるという81条の役割も、裁判官の退官の制度とは別です。

7. 対審と判決は公開法廷で行う

裁判の対審と判決は公開法廷で行うことが原則です。82条2項の非公開の例外は対審についての規定であり、判決を非公開にする例外ではありません。対審を非公開にできる場合でも、判決の公開を一緒に省いてよいとは読みません。

8. 対審の非公開には条件と例外がある

裁判所が裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審を非公開で行うことができます。単に過半数の同意があるだけでは足りません。ただし、政治犯罪、出版に関する犯罪、憲法第3章で保障する国民の権利が問題となっている事件の対審は常に公開しなければなりません。この類型では、全員一致の判断があってもただし書の公開義務を外せません。

二つの「10年」を分ける

二つの「10年」を分ける
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対審と判決の公開

対審と判決の公開
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