全例の抗体陽性と診断へ広げない

MGの自己抗体標的にはAChRのほかにMuSK(筋特異的受容体型チロシンキナーゼ)があり、両方の抗体が陽性にならない患者もいる。このため「全てのMG患者でAChR抗体が陽性」「MuSKはMGに関係しない」とはしない。本章の課題は、AChRが代表的標的の一つであることと、その病的関係に限定する。 抗体の標的を知っていることだけで、個人の筋力低下をMGと診断したり、陰性結果だけから疾患を除外したりしない。検査・薬剤・治療・運動負荷の選択、受容体数や補体の分子過程は本章の範囲外である。筋力低下や生活の支障を全て同一の病態として扱わず、医療評価へ共有する。

AChRを標的とするMGの病的対応

代表的な標的
AChR。自己抗体により
筋側受容体が傷害。神経筋伝達が
妨げられる
AChRを標的とする自己抗体が関与するMGについて、筋側受容体の傷害と神経筋伝達障害を対応する独自概念図。正常な神経筋接合部の解剖図や、全MG患者でAChR抗体が陽性という図ではない。MuSKや両抗体陰性の患者の機序、受容体数・補体・検査・治療を示さない。