緊張性気胸:空気の捕捉と循環障害

本文の目次

  1. 胸膜腔に空気がたまる
  2. 入るが出られない弁様機構
  3. 圧上昇が循環へ及ぼす影響

1. 胸膜腔に空気がたまる

気胸は、肺を包む胸膜腔に空気がたまる状態である。胸膜腔の空気は肺胞内の空気とは場所が異なり、たまった空気によって肺が広がりにくくなる。 自然気胸では、肺の表面にできた穴から空気が胸膜腔へ入る経路がある。肺や胸壁の外傷でも空気が入ることがある。気胸のすべてが同じ原因や同じ経過をとるわけではない。

2. 入るが出られない弁様機構

肺や胸壁の損傷が弁のように働く型の緊張性気胸では、空気が胸膜腔へ入っても外へ出られない。一方向の出入りによって空気が捕捉され、次第に蓄積する。 空気の蓄積は肺を圧迫し、胸腔内の圧を上昇させる。縦隔が移動し、反対側の肺も圧迫される経路がある。これは、すべての気胸が必ずこの型へ進むという説明ではない。

3. 圧上昇が循環へ及ぼす影響

この型の緊張性気胸では、胸腔内の圧上昇に伴って心臓へ戻る血液、すなわち静脈還流が減少する。肺の広がりだけでなく、循環にも障害が及び、ショックへつながる。 胸膜腔への空気の捕捉と、圧上昇による静脈還流低下を一つの病態経路として結ぶ。緊張性気胸は生命を脅かし得る重篤な状態である。本章は病態の対応を学ぶ説明であり、個別の診断や処置を行う手順ではない。

弁様機構から循環障害へ

胸膜腔へ空気が入るが
出られない弁様機構。空気の蓄積と
胸腔内圧上昇。心臓への
静脈還流低下
肺や胸壁の損傷が弁様に働く型の緊張性気胸について、空気の捕捉・蓄積、圧上昇、静脈還流低下を結ぶ概念図。すべての気胸の経過や、個人の診断・処置の手順を示すものではない。