力のモーメント:作用線と静止の二条件
本文の目次
1. 模型の条件をそろえる
ここでは、慣性系で初期に静止し回転していない水平な剛体棒を考える。棒の自重は無視し、図や問題に示した外力だけを集計する。理想支点が偶力を加えない模型として、支点を同じOにそろえて計算する。 人体の関節ではなく、数値と作用線が明示された棒の模型である。筋や腱の通常の働きは既存共通を参照する。模型の答えから人体の筋力、器具の安全性や施術方法を決めるものではない。
2. 力の大きさと垂直距離
支点Oまわりのモーメントの大きさは、力Fと、Oからその力の作用線までの最短垂直距離dとの積F×dで求める。力をN、距離をmで表すと、モーメントの単位はN·mになる。 dは棒全体の長さではない。また、支点から力を加える点までの距離といつも同じではない。力の向きが変われば作用線も変わり、同じ点に同じ大きさの力を加えても、垂直距離やモーメントが変わる場合がある。
3. 回転方向を符号へ対応する
同じ支点Oのまわりで、反時計回りを正、時計回りを負と決める。たとえば水平棒のOの左側を下向きに押す力は反時計回り、Oの右側を下向きに押す力は時計回りのモーメントをつくる。 各F×dの大きさを求めてから、向きに応じた符号で加える。逆回転の値をどちらも正で足した合計は、回転のつり合いの検算にはならない。異なる支点まわりの値を混ぜず、同じ支点まわりの合計が0かを確かめる。
4. 腕が0の反力も力として残る
支点Oを通る反力は、Oまわりの腕が0なので、そのモーメントも0になる。ただし、反力そのものが0になるわけではない。棒を上向きに支える反力は、棒へ働く外力の合計に含める。 独自模型で、左0.30mに下向き8N、右0.20mに下向き12Nが働くと、Oまわりの値は+2.4N·mと−2.4N·mでつり合う。外力もつり合わせるには、Oで上向き20Nを含めて20−8−12=0Nとする。
5. 力とモーメントを別々に検算する
初期に静止している棒について静止のつり合いを検算するときは、外力の合計0と、Oまわりのモーメント合計0の両方を確認する。回転の二つの値が打ち消し合っていても、鉛直方向の外力が残れば、二つの条件を満たしたことにはならない。 また、合力が0でもモーメントが残る場合がある。力とモーメントは単位も集計する内容も異なり、一方の式をもう一方の代わりにしない。これは静止・非回転を初期条件に置いた模型の話で、運動している物体が両合計0になれば直ちに止まるという意味ではない。