可動域と筋力:測定済み記録の表示を読む
本文の目次
1. 自動の注記を値から外さない
2022年4月改訂の関節可動域表示規格では、原則として他動運動の測定値を表記する。自動運動の値は括弧で囲むか、「自動」「active」などと明記する。したがって、同規格で作成された記録の数値を読むときは、注記と数値を一緒に対応させる。 この原則は、本規格で記録されたと確認できる場合に使う。規格が不明な外部記録に注記がないというだけで、他動値と推定しない。本章は実施済み記録を扱い、患者を動かす測定手順を教えるものではない。
2. 経時差と自動・他動の差を別に求める
同じ関節の同じ方向でも、自動値と他動値は測定種別が異なる。前回の自動値と今回の自動値の差、今回の自動値と他動値の差を求めるときは、それぞれの値を注記から選び直す。他動値を今回の自動値として使うと、経時差の計算に別の記録が混入する。 ここでの差は、架空の提示値から求める角度差である。差だけで筋力、拘縮の原因、患者全体の回復を確定しない。測定方法など特記すべき事項があれば値と一緒に保持する。
3. 負の伸展値と運動幅を混同しない
規格の明示例では、股関節が屈曲位20°から70°まで動く場合、「屈曲70°、伸展−20°」とも表記できる。伸展−20°は、この例で基本肢位0°まで戻らず屈曲位20°を端点とする意味であり、20°の過伸展を示すものではない。 端点は20°と70°、その間の幅は70−20=50°である。70°という端点そのものや、符号を無視して70+20=90°とした値を幅へ置き換えない。幅の50°は提示端点の差という計算であり、正常角度の表や原因診断を追加するものではない。
4. MRCの段階を観察条件へ対応させる
MRC尺度で記録された筋力の段階を読むときは、重力や抵抗に対して何が記録されたかを合わせる。段階2は重力を除いた条件の自動運動、3は重力に抗する自動運動、4は重力と抵抗に抗する自動運動に対応する。三つの記録の条件を入れ替えて段階を転記しない。 ここでは専門職が実施した観察の記録を読む。どの姿勢を取らせ、どこを支え、どの抵抗を加えるかという実施操作は扱わない。全ての筋力検査をMRC尺度と同じ仕様とすることもない。
5. 段階4の細区分は抵抗の記録と読む
MRCの文書は、段階4の細区分として4−、4、4+を用い、わずかな、中等度の、強い抵抗に抗する運動へ対応させる説明をする。本章の細区分例は、評価者が段階4内で記録すると明示したものに限定する。強い抵抗という一語だけで正常な力の段階5を確認済みとしない。 段階のラベルを、力のkgや回復率へ変換する量として使わない。本章の原典は1976再版を案内するUKRI公開版で、portalの更新日とPDFの版は別の情報である。数値や細区分の読解と患者別の臨床評価も分ける。