熱傷の深度と面積:既評価所見を読む

本文の目次

  1. 深度と面積は別の情報
  2. 損傷層に所見群を合わせる
  3. TBSAへ算入する範囲を選ぶ
  4. 成人の全体と前後面を区別する
  5. 小児の方法は年齢と基準表を残す

1. 深度と面積は別の情報

熱傷の記録では、どの層まで損傷したかという深度と、体表のどの範囲を占めるかという面積を分ける。本章は医療評価済みの深度・局所所見・面積記録を読む練習であり、見た目から患者の深度や治療を決める手順ではない。 皮膚の正常な層・付属器と一般的な再生/瘢痕は既存共通を参照する。新しい悪化や疑わしい変化を記録だけで放置せず医療評価へつなぐが、具体的な紹介の閾値、処置、測定手順はこの章では扱わない。

2. 損傷層に所見群を合わせる

I度の表皮熱傷、II度の真皮に及ぶ熱傷を区別し、皮下組織に及ぶIII度の例ではその損傷範囲を読む。II度のうち浅達性は真皮浅層、深達性は真皮深層に及ぶ。浅い部分層熱傷では湿潤・赤み・水疱・強い痛み、深い部分層ではより乾いた蒼白な外観や退色反応・痛みの減弱が典型的な説明に含まれる。全層では乾燥した革様の外観や感覚の喪失などが挙げられる。 色や痛み一つを深度そのものに置き換えず、既評価の損傷層と複数の所見を対応する。深い真皮と全層の双方で感覚が乏しい場合があるため、その共通所見だけで両者を同じ損傷層にしない。原典が示す典型像との照合と、実際の患者の診断を分ける。

3. TBSAへ算入する範囲を選ぶ

熱傷面積を全体表面積に対する割合として示すTBSAでは、表皮に限られる熱傷を算入せず、浅い/深い部分層と全層を算入する。例えば、医療評価で表皮のみ4%、部分層3%、全層2%と別々に記録されていれば、算入される合計は3+2の5%である。痛みの強弱で算入を入れ替える集計ではない。 各部位の割合がすでに与えられた記録では、深度による算入の選別を先に行う。割合を加えることと、目の前の患者の面積を測ること、治療や紹介の基準へ当てはめることは別である。

4. 成人の全体と前後面を区別する

成人の9分割法では、各上肢全体は9%、各下肢全体は18%、体幹前面と背面は各18%、頭頸部は9%という配分が示される。下肢の前面だけなら9%であり、下肢全体の18%と入れ替えない。 集計では、深度の算入条件に加えて、対象が全体か前面か後面かを読む。成人用の係数を小児・乳児へそのまま代入せず、対象年齢と使用した算定方法を確認する。手掌法では、基準として使用する手の範囲を確認する。

5. 小児の方法は年齢と基準表を残す

小児は成人と体表の配分が異なり、年齢に対応する方法が必要になる。ここで扱うNSWの小児9分割法は、8歳まで、1年の年齢差につき頭の配分を1ポイント減らし、各脚の配分へ0.5ポイント加える。例えば同じ方法の2歳と5歳を比べると、頭は3ポイント小さく、各脚は1.5ポイント大きい。 これは指定方法の年齢による配分差であり、熱傷が経過中に縮んだという意味ではない。頭や脚の絶対値には基準表が必要で、差分だけから合計面積を確定しない。小児9分割法とLund-Browder表を同じ数値表として混ぜず、原典の対象年齢と方法名を記録に残す。

損傷範囲・所見・TBSAの対応

損傷範囲・所見・TBSAの対応
損傷範囲・典型的所見・算入の独自比較図。全例の所見を保証する診断表でも、患者の実測・治療・施術許可の経路でもない。