転位のある大腿骨頸部骨折と骨頭壊死の可能性
柔道整復理論 骨折病型と合併症の病態・経過
本文の目次
1. 転位骨折に伴う血液供給経路の傷害
AAOSは、転位のある大腿骨頸部骨折について、大腿骨頭への血液供給経路にかかわる後方関節包が、しばしば傷害されると説明する。骨が折れたという情報に加えて、骨頭への血液供給にかかわる組織の傷害が問題となる病型として読む。 本章で対応させるのは、この転位のある頸部骨折の病態である。全ての股関節周辺骨折で同じ組織が同じ程度に傷害されるという説明に広げない。正常な股関節の骨の接続は既存共通教材を参照する。
2. 骨折が治癒しても、骨頭壊死の可能性を残す
同資料は、転位のある大腿骨頸部骨折について、骨折が治癒した場合にも、大腿骨頭に無血管性壊死(avascular necrosis)が生じる可能性を挙げている。骨折が治癒したという説明だけで、骨頭壊死が起こり得ることまで除外しない。 骨頭の血流低下と壊死、壊死後の圧潰や症状の段階は、既存の骨頭壊死教材とつなげる。本章ではその一般的な段階を再問せず、転位のある頸部骨折という外傷に対応する合併症の可能性を確認する。
3. 外傷の病型と、患者の経過を分ける
既存教材の特発性大腿骨頭壊死症、骨端線ですべる大腿骨頭すべり症、寛骨臼の形成不全を扱うDDHは、それぞれ異なる疾病の説明である。血液供給や骨頭の変化という言葉が共通でも、この転位骨折の傷害の説明へ一括して置き換えない。 本章の対応は、転位骨折の後に骨頭壊死が必ず起こるという保証ではない。患者の壊死の有無や骨折治癒の成否をこの図だけで確定せず、整復・固定、手術や荷重の適否を決める手順にも用いない。