栄養素の利用と栄養状態の読み方

本文の目次

  1. 食品は、栄養素の供給源
  2. 必須と可欠は、供給の違い
  3. 必須脂肪酸と、脂質全体
  4. ビタミンとミネラルも働きを支える
  5. 水と食物繊維の役割
  6. 吸収から、細胞での利用まで
  7. 同じ貯蔵でも、利用する場所が違う
  8. 糖新生は、貯蔵糖の分解とは違う
  9. 食後と食間の代表的な調節
  10. 血中濃度と、貯蔵や利用の量
  11. 体たんぱく質は作り替えられる
  12. 窒素の処理と、体外への排出
  13. 一グラム当たりと、食べた総量
  14. 基礎代謝と、一日の全消費
  15. 期間をそろえてエネルギー収支を読む
  16. 窒素出納は全ての経路をそろえる
  17. 身長と体重から求めるBMI
  18. 同じBMIでも、中身は同じとは限らない
  19. 異なる記録を組み合わせる
  20. 検査値は、摂取量そのものではない

1. 食品は、栄養素の供給源

食品は、食べる物としてのまとまりです。米や卵など一つの食品にも、複数の栄養素が含まれます。栄養素は身体の構成や働きに利用される成分で、食品名そのものではありません。消化できる糖質は主にエネルギー源となり、脂質はエネルギー源や貯蔵に加えて細胞膜などの材料にもなります。たんぱく質はアミノ酸の供給源で、筋などの構造、酵素、運搬するたんぱく質などの材料となり、エネルギーにも利用されます。米を糖質だけ、卵をたんぱく質だけと扱ったり、三つの栄養素の働きを一つずつに固定したりはできません。

2. 必須と可欠は、供給の違い

必須アミノ酸は、体内で必要量を合成できないため、食事から供給する必要があるアミノ酸です。不可欠アミノ酸とも呼びます。可欠アミノ酸は一般に体内で合成できますが、たんぱく質の材料として不要という意味ではありません。たんぱく質の合成には、作るたんぱく質に必要な種類のアミノ酸がそろう必要があります。食事のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸のうち、必要な量に対して不足するものを制限アミノ酸といいます。アミノ酸の総量や食事の総エネルギーが多くても、必要な種類の供給までそろったとは限りません。

3. 必須脂肪酸と、脂質全体

脂肪酸は脂質を構成する材料の一つです。ヒトが必要量を体内合成できず、食事からの供給が必要な必須脂肪酸の代表は、リノール酸とα-リノレン酸です。この分類は全ての脂質が体内で作れないという意味ではありません。必須は、身体に必要な量をどこから供給するかの言葉です。必須ではない成分が身体の構成や働きに不要になるわけでも、必須の成分を多く摂るほどよいと決まるわけでもありません。

4. ビタミンとミネラルも働きを支える

ビタミンは有機物で、補酵素の材料や身体機能の調節などに関わります。例えばB群には代謝を助けるものがあり、ビタミンDは変化を受けた活性型としてカルシウムなどの調節に関わります。ミネラルはカルシウムや鉄などの無機成分で、骨や歯の構成や物質の運搬、酵素の働き、体液の調節などを支えます。体内のカルシウムの大部分は骨と歯にあります。ビタミン、ミネラル、水は、それ自体を糖質・脂質・たんぱく質と同じ直接のエネルギー供給源として数えません。必要な量が少ないことは、役割が小さいという意味ではありません。ビタミンA・D・E・Kは脂溶性、B群・Cは水溶性です。溶けやすさの分類だけで貯蔵量や過剰の影響まで決まりません。例えば水溶性のB12にも体内貯蔵があり、水溶性だから過剰の影響がないとはいえません。脂溶性も、全てが同じ量・速度で必ず蓄積するわけではありません。

5. 水と食物繊維の役割

水は物質を溶かす溶媒で、物質を運ぶ液の成分となり、発汗などの体温調節にも関わります。水そのものをエネルギー源とは数えません。炭水化物には、ヒトの消化酵素で消化されるものと、されにくい食物繊維などがあります。食物繊維は腸内容物の性質や便の形成などに関わります。一部は腸内細菌による発酵を受け、生じた短鎖脂肪酸などが吸収されて利用される場合があります。ヒトの酵素で消化されないことから、全て利用されないとはいえず、全ての繊維が同じエネルギーになるともいえません。

6. 吸収から、細胞での利用まで

消化は分子を吸収できる形へ分解する過程、吸収は消化管の上皮を越えて体内側へ取り込む過程です。消化できる糖質は主に単糖へ分解され、アミノ酸や取り込まれた短いペプチドの分解でできるアミノ酸とともに、代表的には小腸から門脈の血液を経て肝へ運ばれます。食事の長鎖脂質は分解・取り込み後に上皮細胞で脂質が再形成され、カイロミクロンという粒子に入って主にリンパを通り静脈血へ届きます。短鎖・中鎖脂肪酸などには主に門脈側へ向かう経路もあります。血液に運ばれた成分は、組織の細胞に取り込まれてから、構成材料、ATP生成に関わる反応、貯蔵などに利用されます。血液に入った記録だけでは、どの細胞がどの用途に使ったかまでは分かりません。食事たんぱく質は分解された材料から体たんぱく質が合成されるので、食品中の分子がそのまま体たんぱく質へ移るという意味ではありません。

吸収から、細胞の利用へ

上の管腔から単糖などと長鎖脂質が、小腸上皮の上側の境界を越えて入る。左の上皮内の単糖・アミノ酸は下側の境界から門脈へ出て肝へ向かう。右の長鎖脂質は上皮内で再形成されカイロミクロンに入り、リンパから静脈へ向かう。両代表経路の先の血液を中央に置く。血液から別の組織細胞の細胞膜を越える取り込みの実線矢印を描き、細胞内の入った材料から構成材料、ATP生成に関わる反応、貯蔵へ続く別の反応矢印を置く。小腸上皮と利用先の細胞は別の枠で、血液に入ることを細胞内利用の完了にはしない。
小腸からの代表的な搬出を、別の組織細胞での利用へつなぐ模式です。左は単糖・アミノ酸の門脈→肝、右は上皮内で再形成された長鎖脂質のカイロミクロン→リンパ→静脈です。短鎖・中鎖脂肪酸などは主に門脈側へ向かう経路もあります。血液に届くことと細胞膜を越えて用途へ使うことは別です。分子や各経路の数・量・寸法は示しません。

7. 同じ貯蔵でも、利用する場所が違う

グリコーゲンは多数のグルコースがつながった貯蔵形で、肝と骨格筋にあります。肝では必要に応じてグリコーゲンを分解し、グルコースを血液へ供給して血糖の維持に関わります。筋のグリコーゲンは、主にその筋自身が活動するために使います。筋を肝と同じ遊離グルコースの血中放出場所にはしません。脂肪組織では主にトリアシルグリセロールとしてエネルギーを蓄え、動員すると脂肪酸やグリセロールなどが供給されます。貯蔵場所の名前だけで、全て同じ物質を同じ出口へ出すとは決まりません。

8. 糖新生は、貯蔵糖の分解とは違う

糖新生は、糖以外の材料からグルコースを作る過程です。グリセロール、乳酸、糖を作る材料になれる糖原性アミノ酸などが使われます。肝は主要な場所で、腎なども関わります。乳酸はグルコースを使う過程などで生じ、材料として肝へ戻る場合があります。脂肪組織からのグリセロールも材料になりますが、脂肪酸の全てをそのまま正味のグルコースへ変えられるという意味ではありません。肝でグリコーゲンを分解して糖を出す過程と、これらの材料から新たに糖を作る過程を区別します。

9. 食後と食間の代表的な調節

インスリンとグルカゴンは、膵臓から血液へ出る調節信号であるホルモンです。栄養素や消化酵素そのものではありません。正常な代表関係では、食後にインスリンの働きが増し、筋や脂肪などのグルコース取り込みや貯蔵、肝での貯蔵などを促します。全ての細胞のグルコース取り込みがインスリンを必須とするわけではありません。食事と食事の間ではグルカゴンなどの働きで、肝のグリコーゲン分解や糖新生による糖供給が支えられます。食事が入ってこない時間でも、貯蔵の動員や材料の変換によって組織への供給と代謝は続きます。食後か食間かという一つの分類だけで、全経路の量や速度が一律に決まるわけではありません。

10. 血中濃度と、貯蔵や利用の量

血糖値は血液中のグルコース濃度です。細胞のグリコーゲン量や全身の貯蔵エネルギー量ではありません。体積を一定にした模型で血液から細胞へグルコースが移れば、血中の濃度低下と細胞内の貯蔵増加が同時に起こり得ます。逆に、一定の血中濃度でも、肝からの供給と組織での利用が釣り合って続いている場合があります。ある瞬間の濃度、ある期間の吸収量、単位時間当たりの利用の率は別の記録です。濃度だけで全経路の量や速度、個人の正常性を決められるわけではありません。

食後と食間の調節

上下の正常代表関係を比較する。食後は膵から血中へ出るインスリンの破線作用矢印が、肝・筋のグリコーゲンの貯蔵と脂肪組織のトリアシルグリセロールの貯蔵へ向く。血液の栄養成分から各組織への実線の取り込みはその破線と別である。食間は膵から血中へ出るグルカゴンが、肝のグリコーゲン分解・糖新生へ破線で作用し、肝から血液へグルコースを供給する実線を描く。赤系の筋のグリコーゲンは筋自身の利用へ反応矢印で続き、筋から血液の遊離グルコースへ向かう矢印はない。脂肪組織からの脂肪酸・グリセロールの動員は血液の側へ向けた別の実線とする。最下部に、本体と同じ実線/破線と矢印形を実サイズで置き、物質と作用を文字で区別する。
実線は代表的な物質の取り込み・供給、破線の開いた矢印はホルモンの作用です。肝・筋のグリコーゲンと脂肪組織のトリアシルグリセロールは別の貯蔵です。食間の肝はグリコーゲン分解と糖新生から糖を血液へ供給し、筋の貯蔵は主に筋自身で使います。糖新生にはグリセロール・乳酸・糖原性アミノ酸などが使われ、腎なども関わります。全細胞の糖取り込みにインスリンが必須という図ではなく、全経路の量・速度も示しません。

11. 体たんぱく質は作り替えられる

体たんぱく質では合成と分解が続いており、代謝回転と呼びます。分解で生じたアミノ酸の一部は再び合成に使われ、食事からの供給も加わります。体たんぱく質の総量が一定でも、合成と分解が釣り合っている場合があります。この釣り合いは体たんぱく質の動的平衡と呼ばれることがあります。ここでの言葉は身体で合成と分解が続く関係を指し、閉じた系の一つの可逆反応の化学平衡と同じ意味ではありません。一方、総量だけの観測では、両過程が実際に続いていることの証明にはなりません。たんぱく質には構造や酵素などの働きがあり、脂肪のように余分なたんぱく質だけをためる専用の貯蔵庫があるとは考えません。アミノ酸はたんぱく質の材料以外にも利用され、余剰などで分解される場合には窒素の処理も必要です。

12. 窒素の処理と、体外への排出

アミノ酸の窒素を含む部分を処理すると、アンモニアなどが生じます。主に肝がこれを尿素へ変え、尿素は血液で運ばれて腎から主に尿へ出ます。肝で尿素を作ることと、腎から体外へ出すことは別の段階です。窒素はアミノ酸やたんぱく質などに含まれる元素で、窒素の質量とそれを含むたんぱく質全体の質量は同じではありません。尿素にも窒素以外の原子があり、尿素の質量をそのまま窒素量にはしません。窒素の損失には尿に加えて便、皮膚や汗、毛髪、爪などの経路もあります。尿の濃度だけでは、期間の尿量や他の経路が分からないため、全窒素排出量を決められません。

作り替えと、窒素の出口

上の体たんぱく質からアミノ酸へ下向きの分解矢印、アミノ酸から体たんぱく質へ上向きの合成矢印を別に置く。一部を再利用と直接示す。アミノ酸から下へ窒素を処理という反応矢印を置き、アンモニアなど、主に肝で尿素を形成、血液の尿素、腎、主に尿へ排出という別々の段階へ続ける。生成の反応矢印と尿素の場所間移動の実線矢印は別で、肝での尿素形成を腎の排泄へ置き換えない。専用の余剰たんぱく質貯蔵庫は描かない。
体たんぱく質の合成と分解、アミノ酸の再利用は、窒素を体外へ出す経路と別です。アミノ酸の窒素の処理で生じるアンモニアなどは主に肝で尿素へ変えられ、血液を経て腎から主に尿へ出ます。窒素の全損失には便・皮膚などもあります。窒素量・尿素量・たんぱく質量は同じ質量ではありません。各矢印は量や速さの測定値ではなく、総量が一定という観測だけで回転を実証する図でもありません。

13. 一グラム当たりと、食べた総量

食品の利用可能なエネルギーは、成分の量とそのエネルギー価から考えます。通常の概数では、消化可能な糖質とたんぱく質は約4kcal/g、脂質は約9kcal/gです。同じ質量なら脂質の値は高いですが、食べた質量が違えば総エネルギーは別に計算します。成分の質量gにkcal/gを掛けるとkcalとなります。この概数を全ての食物繊維や食品の厳密な値、個人の吸収や利用の実測値へ広げません。kcalとkJはどちらもエネルギーの単位ですが、同じ数値ではありません。1kcalは4.184kJに相当するため、同じエネルギーを別単位で表すと数値が変わります。

14. 基礎代謝と、一日の全消費

基礎代謝は、覚醒して安静にし、食事の影響を避けた空腹状態で、暑さや寒さによる余分な調節を要しない温度環境など、定めた条件で測る生命維持に必要なエネルギー消費です。睡眠中の消費そのものや、全ての状況の絶対的な最低値という意味ではありません。基礎代謝量は、時間の単位と条件をそろえて読む必要があります。一日の総エネルギー消費には、基礎代謝、運動や生活活動などの身体活動、食後の消化・吸収・代謝に伴う食事誘発性熱産生などが含まれます。食べると入るエネルギーと、食べた後に消費するエネルギーは別の量です。基礎代謝だけ、又は基礎代謝と計画した運動だけでは全消費を表しません。

15. 期間をそろえてエネルギー収支を読む

エネルギー収支は、同じ期間の利用可能な摂取エネルギーから総消費エネルギーを引いて読みます。ほかの未計上の出入りがない模型なら、摂取が多い分は体内の貯蔵エネルギーが増える側、消費が多い分は減る側です。その差が続けば体重の増加や減少の方向と関わりますが、短期間の差をそのまま何kgの脂肪や体重の変化と決めることはできません。体重には水分や消化管内容物なども含まれます。摂取と消費の推定方法にはそれぞれ誤差もあり、見かけの差だけで正確な必要量や貯蔵変化を確定しません。期間、単位、計上した項目、体重などの推移を合わせて読みます。

期間をそろえるエネルギー

上は成分の量とエネルギー価を掛け、gとkcal/gからkcalを得る式である。次の総消費の枠に基礎代謝、身体活動、食事誘発性熱産生などを別項目で置く。その下に同じ期間・同じ単位と共通条件を示す。摂取が総消費より大きい場合の貯蔵エネルギー増と、小さい場合の減を同じ幅の別枠で比較する。最下部に体重は別の記録、水分・内容物も含むと示し、エネルギーの差からkgへ向かう変換矢印は描かない。各枠の大きさは消費の構成比や貯蔵変化量の測定値ではない。
同期間の利用可能な摂取と総消費を比べ、ほかの未計上の出入りがない模型で貯蔵エネルギーの増減を読みます。摂取は食べた成分の質量とエネルギー価から考えます。通常の概数は消化可能な糖質・たんぱく質約4kcal/g、脂質約9kcal/gで、全食品・繊維・個人の厳密値ではありません。基礎代謝は覚醒・安静・空腹・温度などの定めた条件で測り、全消費とは区別します。短期間の差から脂肪や体重の変化kgを確定せず、推定誤差も確認します。

16. 窒素出納は全ての経路をそろえる

窒素出納は、同じ期間の実際に摂取した窒素量から、尿・便・皮膚など全経路で失った窒素量を引いた差です。食べこぼしや残した分は実際の摂取には入れません。未計上の損失は排出側へ加えて補正します。摂取を多く見積もったり損失を少なく見積もったりすれば、計算の差は正の側へ偏ります。ただし、偏りの方向だけでは、補正後の差が正・ゼロ・負のどれかまでは決まらず、補正量が必要です。正の出納は、この期間に入った窒素が出た窒素を上回る記録です。これだけで全栄養素が適正、健康である、筋肉だけが増えたとは判定できません。

窒素出納の入口と全出口

上の提供した窒素量から残した分などを除き、実摂取窒素量を得る。実摂取の実線矢印が身体へ入り、身体から別々の実線が尿、便、皮膚などの三つの代表出口へ向く。全経路の損失を合計する別枠に未計上の損失も加える、窒素量でそろえると示す。最後に実摂取から全損失を引いて窒素出納を読む式を置き、正・ゼロ・負は量で読むとする。下の注記は正側への誤差方向と補正後の符号を別にする。三つの出口の枠は量比や全経路の数を表さない。
同期間の実摂取窒素から、尿・便・皮膚など全経路の窒素損失を引きます。皮膚などには汗・毛髪・爪なども含みます。残した分を摂取から除き、未計上の損失を加えます。摂取の過大評価や損失の過小評価は差を正の側へ偏らせますが、補正後の正・ゼロ・負は補正量がなければ決まりません。窒素の質量はたんぱく質や尿素全体の質量と別で、正の出納だけで適正栄養や筋肉の増加を判定しません。

17. 身長と体重から求めるBMI

BMIは、体重kgを身長mの二乗で割る体格の指標です。二乗とは同じ数を二回掛けることで、身長1.60mなら分母は1.60×1.60となります。cmで測った身長は、100cm=1mとしてmへそろえてからこの式に入れます。BMIの単位はkg/m²です。同じ体重でも身長が違えばBMIは異なり、同じ身長では体重に応じて値が変わります。ここでは成人の身体計測の読み方として扱います。子どもの発育段階や妊娠などでは、成人の体格評価の扱いをそのまま当てはめられるとは限りません。

18. 同じBMIでも、中身は同じとは限らない

体重には筋肉や脂肪などが含まれ、筋肉などの組織にも水分があります。筋肉・脂肪・水分を互いに重ならない三つの区画として足すわけではありません。BMIは身長と体重から求めるので、これらの内訳を直接測る値ではありません。同じ身長・体重、同じBMIでも筋肉と脂肪の割合は異なり得ます。短期間に水分量が変われば、脂肪が増えたとは限らなくても体重は変わります。計測では時間、衣服、器具などの条件をそろえ、単回値と推移を分けて読みます。推移があっても、それだけで構成の変化や原因が全て決まるわけではありません。

同じBMIと、異なる構成

上に同じ身長・同じ体重から同じBMIという共通条件を置く。AとBの等しい外枠の中を、斜線の脂肪と点模様の脂肪以外に分け、二つの内訳が異なり得ることを示す。両部分へ直接ラベルし、色だけで区別しない。脂肪以外には筋など、組織の水分も含むと図内で説明する。別の測定条件の記録枠に時間・衣服・器具と水分の変化を置き、水分を外枠へ足す第三の部分にはしない。単回値と推移を分けると直接添える。棒の割合は実人体の値ではない。
同身長・同体重なら同じBMIですが、内訳まで同じとは限りません。A/Bは脂肪と脂肪以外を区別する概念的な構成比較で、面積は実人体の測定比率ではありません。筋などの組織にも水分があるので、水分を第三の区画として加算しません。水分の変化や計測条件は別記録で考えます。BMIは体重kg÷身長m²の指標で、内訳・原因や短期間の脂肪変化を単独で確定するものではありません。成人の限定入門で閾値診断は扱いません。

19. 異なる記録を組み合わせる

食事の記録は、食べた内容や推定摂取量についての情報です。出した食事の量と実際に食べた量は異なり、実際に食べた量だけで体内へ吸収された量まで確かめたことにはなりません。自己申告には過小・過大申告などの誤差があり、食品成分表の代表値と実際の食品にも差があります。摂取量が日によって変わることを日間変動といい、一日の記録だけで習慣的な摂取を確定しません。身体計測やその推移は体格や体重の変化、身体機能の記録は筋力などの働き、検査は測った成分の状態を示します。異なる記録の期間、測った対象、条件、誤差をそろえて比較し、複数の情報を組み合わせて栄養状態を読みます。一つの記録だけで全ての供給や利用を確定するものではありません。

20. 検査値は、摂取量そのものではない

アルブミンは主に肝で作られる血漿のたんぱく質です。血中のアルブミン濃度は、合成だけでなく、体外への喪失、血管内外への分布、血漿の水分量などの影響も受けます。同じ量があっても、水分が増えて体積が大きくなれば濃度が変わり得ます。したがって、一つの検査値を食事たんぱく質の摂取量や全身の栄養状態の直接測定にはできません。食事の記録、身体計測と推移、身体機能や測定時の状況などと合わせて読む必要があります。値が違うという記録だけでは原因も一つへ決められません。

異なる記録を合わせて読む

食事の記録は内容と推定摂取量、身体計測と推移は身長と体重の変化、身体機能の記録は筋力などの働き、検査の記録は測った成分の状態として、四つの別枠に直接記す。四つの情報を右側の括り線で集め、その解釈を期間・対象・条件と誤差も比べて読むという別枠へつなぐ。記録が生理的に互いへ変わる流れではない。下にはアルブミン濃度が合成・喪失・分布・水分などの影響を受ける別枠を置き、一つの値から原因は決まらないと添える。
食事、身体計測と推移、身体機能、検査は測った対象が異なります。提供量・実摂取量・吸収量は別で、食事記録には日間変動や推定誤差があります。期間・対象・条件・誤差を比べて組み合わせます。血中アルブミン濃度は合成・喪失・分布・水分などの影響も受け、食事たんぱく質の摂取や全栄養状態そのものの直接測定ではありません。個人の原因確定・診断・補給設計には展開しません。

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食品
食べる物としてのまとまり。一つの食品に複数の栄養素が含まれる。
栄養素
身体の構成や働きに利用される成分。食品名そのものではない。
糖質
炭水化物のうち食物繊維と区別して扱う成分。消化できる糖質は主にエネルギー源となる。
脂質
水に溶けにくい性質を持つ成分の総称。エネルギーの貯蔵や細胞膜など、種類によって役割が異なる。
たんぱく質
アミノ酸がつながった物質。身体の構造や酵素、運搬などの働きに関わる。
アミノ酸
たんぱく質の基本的な構成単位。窒素を含み、他の物質の材料やエネルギーにも利用される。
必須アミノ酸
体内で必要量を合成できず、食事からの供給が必要なアミノ酸。不可欠アミノ酸とも呼ぶ。
可欠アミノ酸
一般に体内で合成できるアミノ酸。たんぱく質の材料として不要という意味ではない。
制限アミノ酸
食事のたんぱく質に含まれる必須アミノ酸のうち、必要な量に対して不足するもの。
脂肪酸
脂質の構成材料の一つ。鎖の長さなどによって性質や経路が異なる。
必須脂肪酸
必要量を体内合成できず食事から供給する脂肪酸。代表はリノール酸とα-リノレン酸。
ビタミン
補酵素の材料や身体機能の調節などに必要な有機成分。直接のエネルギー源とは数えない。
補酵素
酵素の働きに関わる有機の補助分子。ビタミンから作られるものもある。
ミネラル
カルシウムや鉄などの無機成分。構成、運搬、調節などに関わる。
脂溶性ビタミン
脂質へ溶けやすい性質で分類したビタミン。A・D・E・Kが属する。
水溶性ビタミン
水へ溶けやすい性質で分類したビタミン。B群・Cが属する。貯蔵や過剰の影響がないという意味ではない。
溶媒
物質を溶かして溶液を作る側の成分。体内では水が重要な溶媒となる。
食物繊維
ヒトの消化酵素では消化されにくい食品成分。一部は腸内細菌による発酵を受ける。
発酵
ここでは腸内細菌などが成分を分解して別の物質を作る過程。食物繊維の一部から短鎖脂肪酸などが生じる。
消化
ここでは栄養成分の分子を、吸収できる形へ分解する過程。取り込みそのものとは分ける。
吸収
消化管の上皮を越えて体内側へ成分を取り込む過程。組織での利用そのものではない。
門脈
消化管などからの血液を肝へ運ぶ静脈。単糖やアミノ酸の代表的な搬出経路に関わる。
リンパ
組織液の一部がリンパ管に入って流れる液。静脈血へ戻る経路があり、長鎖脂質の搬出にも関わる。
カイロミクロン
小腸上皮細胞で再形成された食事由来の脂質などを取り込む粒子。主にリンパへ出る。
ATP
細胞内で反応や仕事へエネルギーを受け渡すことに関わる分子。食品や栄養素全体と同じ名前ではない。
グリコーゲン
多数のグルコースがつながった貯蔵性の多糖。肝や骨格筋にある。
トリアシルグリセロール
グリセロールと三つの脂肪酸からできる脂質。トリグリセリドともいい、脂肪組織の主な貯蔵形。
グリセロール
トリアシルグリセロールの構成材料。分解で供給されると糖新生の材料にもなり得る。
糖新生
糖以外の材料からグルコースを作る過程。貯蔵グリコーゲンの分解とは違う。
乳酸
グルコースを使う過程などで生じる物質。肝などで糖新生の材料へ使われる場合がある。
糖原性アミノ酸
糖新生の材料になる変換経路を持つアミノ酸。全アミノ酸が同じ経路を持つという意味ではない。
ホルモン
分泌する細胞から出て、別の細胞や器官の働きを調節する信号物質。
インスリン
膵臓から出るホルモン。正常な代表関係では筋・脂肪などの糖取り込みや貯蔵を促す。
グルカゴン
膵臓から出るホルモン。肝のグリコーゲン分解や糖新生などによる糖供給に関わる。
血糖値
血液中のグルコース濃度。全身の糖の総量や細胞のグリコーゲン量ではない。
代謝回転
物質の合成と分解が続いて入れ替わること。体たんぱく質でも起きる。
窒素
アミノ酸や尿素などにも含まれる元素。窒素量と、それを含む分子全体の質量は違う。
アンモニア
アミノ酸の窒素を含む部分の処理などで生じる物質。主に肝で尿素への変換を受ける。
尿素
主に肝で窒素を処理して作られる物質。血液で運ばれ、主に腎から尿へ排出される。
エネルギー価
ここでは成分の質量当たりで利用可能なエネルギーを表す値。kcal/gなどで示す。
kcal
エネルギーを表す単位。1kcalは4.184kJに相当する。
kJ
エネルギーを表す単位。kcalと数値をそのまま入れ替えない。
基礎代謝
覚醒・安静・空腹・温度環境などの定めた条件で測る、生命維持に必要なエネルギー消費。
身体活動
運動に加えて生活活動や姿勢の保持なども含む活動。総エネルギー消費の一部となる。
食事誘発性熱産生
食後の消化・吸収・代謝などに伴うエネルギー消費。食事から入るエネルギーとは別。
エネルギー収支
同じ期間の利用可能な摂取エネルギーと総消費エネルギーの差。測定条件や誤差を確認して読む。
窒素出納
同じ期間の実際の摂取窒素量から、全経路で失った窒素量を引いた差。
BMI
体重kgを身長mの二乗で割る体格の指標。脂肪や筋肉の内訳を直接測るものではない。
二乗
同じ数を二回掛けること。BMIでは身長m×身長mを分母にする。
日間変動
食事摂取量などが日によって変わること。一日の記録だけでは習慣的な量を確定しない。
食品成分表
食品の栄養成分などについて代表的な値をまとめた表。実際に食べた食品の値と必ず一致するわけではない。
身体計測
身長や体重などを測ること。条件と推移を合わせて読み、内訳や原因を単独で決めない。
身体機能
筋力など、身体が実際に行う働き。身体の大きさの記録とは分けて読む。
アルブミン
主に肝で作られる血漿たんぱく質。濃度には合成、喪失、分布、水分量などが影響する。
動的平衡
体たんぱく質では合成と分解が釣り合いながら続く関係を指す呼び方。閉じた系の一つの可逆反応の化学平衡と同じ意味ではない。