生殖と発生・発達の基盤

本文の目次

  1. 精巣と精巣上体を分ける
  2. 精子の通り道と精液の成分
  3. 卵巣・卵管・子宮・腟の場所
  4. 子宮の空間と壁、卵胞の中の卵
  5. 染色体のセットとDNA量を分ける
  6. 精子形成は思春期以降に進む
  7. 卵の減数分裂には停止段階がある
  8. 視床下部・前葉・性腺の連絡
  9. 精巣内の二つの作用先
  10. 卵巣の相とホルモンの変化
  11. 子宮内膜は卵巣からの信号に応じる
  12. 通常の負帰還と排卵前の正帰還
  13. 受精の場所と子宮への移動
  14. 卵割では細胞数と大きさが別に変わる
  15. 胚盤胞の空洞と内外の細胞群
  16. 着床と胎盤の両側の寄与
  17. 胎盤で向かい合う二つの血液回路
  18. 初期の黄体を支え、産生源が変わる
  19. 二層性胚盤と胚外の構造
  20. 上胚葉から三胚葉が生じる
  21. 胚葉の由来は器官内の組織ごとに追う
  22. 神経板が閉じ、神経堤が離れる
  23. 誘導の作用と材料の由来を分ける
  24. 体節の配置と限定された寄与
  25. 胚期・胎児期と週数の起点
  26. 臍血管は胎児から見た流向で分ける
  27. 胎児の三つの短絡の接続
  28. 出生に伴う換気と循環の切り替え
  29. 子宮収縮と増幅する連絡
  30. 乳汁の産生と射出を分ける
  31. 成長・発達・成熟をつなぐ
  32. 身体の指標と骨成長を分担する
  33. 運動発達の方向と活動の種類
  34. 異なる発達領域を具体的に追う
  35. 認知・言語・情緒・社会の変化
  36. 成熟と経験が異なる仕方で関わる
  37. 安心できる関係が探索を支える
  38. ピアジェの四つの基本区分
  39. 象徴の利用と保存の理解は別の関係
  40. エリクソンの基本局面:幼少期から学童期
  41. エリクソンの基本局面:青年期から老年期
  42. 思春期の身体と性機能の変化
  43. 閉経への移行と男性の加齢
  44. 加齢・病気・生活条件を分ける
  45. 安静時の働きと機能予備力
  46. 筋と骨の代表的な加齢変化
  47. 感覚の働きは側面ごとに変わる
  48. 心肺の負荷への応答と物性の違い
  49. 腎の機能と余力の変化
  50. 処理速度と経験に支えられた知識
  51. 成人以後も学習と役割の変化が続く

1. 精巣と精巣上体を分ける

精巣は陰嚢の中にあり、精子をつくることと性ホルモンを産生することに関わります。精子形成は、精巣内の細い管である精細管で進みます。精巣の後側に沿う精巣上体では、そこへ運ばれた精子の成熟と貯留が進みます。精子をつくる精巣と、成熟・貯留に関わる精巣上体は別の場所です。精巣上体からは精管が続きます。左右を示すときは、解剖学的正位の本人を基準にします。

精巣から精巣上体、精管へ

陰嚢内の楕円形の精巣に曲がった精細管がある。その出口が後側の精巣上体の上部へ続き、精巣上体の下部から精管が折り返して上方へ伸びる。矢印は精巣上体内を下側へ、精管内を上側へ向く。
精巣内の精細管でつくられた精子は、後側に沿う精巣上体へ進む。そこで成熟・貯留が進み、下部から続く精管を通って骨盤側へ運ばれる。

2. 精子の通り道と精液の成分

精子は精巣から精巣上体を経て精管へ進みます。精管は骨盤内へ入り、精嚢の管と合流して射精管となり、前立腺の中を通って尿道へ開きます。尿道は外へ通じます。精嚢や前立腺などの付属腺の分泌物が精子と合わさったものが精液です。精液の全てが精子という意味ではありません。尿管は腎から膀胱へ尿を運ぶ管で、精子の通り道には入りません。男性では尿と精液が外へ出る経路の一部を尿道が共有しますが、尿管、尿道、精管はそれぞれ別の管です。

精液と尿の通過経路

前が左、後ろが右の男性側面模式断面。前上方の膀胱に尿管が入り、下の前立腺を貫く尿道が前側の陰茎内へ続く。下方の精巣の後側から精管が上がり、膀胱後側の精嚢の導管と合流する。射精管は前立腺内で尿道へ開く。
精巣上体から続く精管は精嚢の導管と合流し、射精管となって前立腺内を通り尿道へ開く。精嚢と前立腺の分泌液が精子と合わさり、精液になる。尿管は膀胱へ尿を運び、尿道は膀胱からの尿と精液の共通の出口になる。

3. 卵巣・卵管・子宮・腟の場所

卵巣は骨盤内で子宮の左右にあり、卵の発育と性ホルモンの産生に関わります。卵管は子宮の上部から左右へ伸び、卵巣に近い端は腹膜腔へ開きます。腹膜腔は腹膜の面の間にある空間で、腹部全体を指す言葉ではありません。卵巣と卵管が、一本の閉じた管で直結しているわけではありません。卵巣から出た卵は、卵管の端にある卵管采などによって卵管へ取り込まれます。子宮の広い上部を子宮体部、下の細い部分を子宮頸部といいます。子宮頸部の管は腟へ通じ、腟は体の外へ続きます。膀胱と尿道は子宮・腟より前側にある別の尿路です。女性の尿道を、卵や胚が通る経路へ入れないようにします。

4. 子宮の空間と壁、卵胞の中の卵

子宮腔は子宮の内部の空間です。その内面を覆う子宮内膜と、壁の厚い筋層である子宮筋層は別の構造です。卵管は子宮壁内を通る短い部分を経て、子宮腔へ開きます。子宮腔は内部の空間で、筋層そのものではありません。卵巣の卵胞は、卵と、それを囲んで支える細胞などからなる構造です。卵胞全体と一個の卵は同じものではありません。卵胞の発育、卵の減数分裂の進行、卵巣から卵が出る排卵は、関連していても異なる出来事です。排卵後、卵胞の残った部分は黄体へ変化します。

卵巣、卵管、子宮、腟の接続

本人の右を紙面左に置いた女性器の正面模型。左右の卵巣は卵管の開いた端の近くに離れて位置する。左右の卵管の白い内腔が赤系の子宮壁を短く通り、中央の子宮腔へ開く。子宮腔は下方で子宮頸部を通り腟へ続く。
左右の卵管は子宮壁内の短い部分を通って子宮腔へ開く。一方、卵巣側の卵管端は腹膜腔へ開いており、卵巣とは閉じた管で直結しない。子宮体から子宮頸部、腟へと続く。正面の模型なので、本人の右は紙面の左にある。

女性の尿道と腟の位置

前が左、後ろが右の女性側面模式断面。膀胱から短い尿道が下方へ開く。その後側では子宮体の子宮腔が子宮頸部を通って腟へ続き、尿道と腟は別の管として外へ開く。
膀胱と尿道は子宮・腟より前側にあり、尿道は膀胱から尿を外へ運ぶ。腟は子宮頸部へ続く生殖器の経路で、尿道とは別の出口を持つ。

子宮腔、内膜、筋層の区別

中央の明るい子宮腔の周囲に内膜、その外側に赤系の厚い筋層がある。右上から来る卵管の内腔が筋層と内膜の短い部分を通り、子宮腔へ直接開く。子宮腔、内膜、筋層、卵管に直接ラベルがある。
子宮腔は空間で、その内側の面を子宮内膜が覆い、外側に厚い筋層がある。卵管の子宮壁内の短い部分は壁を通り、子宮腔へ開く。内膜と筋層は別の組織で、周期に伴う内膜の変化を子宮壁全体の変化と混同しない。

5. 染色体のセットとDNA量を分ける

精子と卵は配偶子と呼ばれます。染色体のセットは、ひとそろいの染色体の組を表します。減数分裂では、このセット数を半分にすることと、複製された染色体を分けることを段階ごとに進めます。精子と卵はそれぞれ一セットを持ち寄り、受精によって二セットを持つ接合子へつながります。同じ一セットでも、各染色体がまだ二本の姉妹染色分体を持つ段階と、一本になった段階ではDNA量が違います。セット数、DNAのコピー量、一個の細胞か複数の細胞かは、別の数え方です。

セット数、DNA量、細胞数を分ける

同じ大きさの一個の細胞を左右に置く。左には中央でつながる二本の姉妹染色分体を持つ代表染色体、右には一本の代表染色体がある。両方に一セットと記され、DNA量は同じではないと示す。
一セットの染色体でも、各染色体に姉妹染色分体が二本ある状態と、一本になった状態ではDNA量が異なる。セット数はひとそろいの組を数え、DNA量はコピー量を数える。ここではどちらも一個の細胞として比べている。染色体の一部を代表として、組とコピー量の違いを比べる。

6. 精子形成は思春期以降に進む

精子形成は思春期以降、精細管の中で進みます。出発側の細胞は分裂によって保たれ、一部が減数分裂へ進みます。減数分裂を経て一セットの染色体を持つ細胞が生じ、その後に頭部や尾部などの形を整えて精子になります。減数分裂でセット数を分けることと、精子の形を整えることは別の過程です。精巣での形成に続き、精巣上体で成熟が進みます。精子形成が思春期以降に進むことを、卵の減数分裂も同じ時期に初めて始まるという意味に広げません。

減数分裂と精子の形づくり

上の二セットの細胞には長い代表染色体と短い代表染色体がそれぞれ二本ある。減数後の代表細胞には長短が各一本になり、一セットを持つ。丸い細胞から頭と長い尾を持つ精子へ形が変わり、続いて精巣上体で成熟する。減数後の二個は全産物数ではなく代表例である。
思春期以降、精細管内で出発側の細胞が保たれ、その一部が減数分裂へ進む。二セットから一セットの染色体を持つ細胞が生じた後、頭部や尾部の形を整えて精子になる。減数後の細胞は代表例であり、全産物の数を表さない。減数分裂と形づくりは別の過程で、精巣での形成に続いて精巣上体で成熟が進む。

7. 卵の減数分裂には停止段階がある

ヒトの卵の減数分裂は出生前に始まり、第一分裂の途中で停止する段階があります。思春期以降、発育する卵胞の中で卵の成熟が進み、通常は排卵前に第一分裂を終えます。排卵される卵は第二分裂の途中で再び停止しており、第二分裂は受精に伴って完了します。卵側では細胞質が等分されず、小さな極体が生じて、大部分の細胞質が卵に残ります。卵を一個のまま大きくすること、染色体を分けること、排卵で場所を変えることを分けて追います。精子と卵が一セットずつ持ち寄ることは、全ての時点でDNA量まで同じという意味ではありません。

受精と染色体のセット数

頭と尾を持つ精子と大きな卵から、一個の接合子へ二本の矢印が向かう。精子と卵には一セット、接合子には二セットの表示がある。接合子の代表染色体は精子側を実線、卵側を破線で分ける。
精子と卵はそれぞれ一セットを持ち寄り、受精によって二セットを持つ接合子へつながる。精子側と卵側の由来を分けて、組が合わさる関係を追う。受精の途中には卵の第二分裂の完了も関わるため、この組の比較を全時点のDNA量が等しいという意味に広げない。接合子内では、精子由来と卵由来の染色体の組を区別する。

卵の二回の停止と分裂の再開

出生前に第一分裂へ入る大きな細胞、第一分裂を終え第二分裂途中で停止する大きな卵と小さな極体、受精に伴い第二分裂を終える大きな卵と小さな極体を縦に並べる。卵と極体の細胞質は等分されず、二本の姉妹染色分体は最後に一本になる。
卵の減数分裂は出生前に始まり、第一分裂の途中で停止する。思春期以降に卵胞が発育すると、通常は排卵前に第一分裂を終え、排卵された卵は第二分裂の途中で停止している。第二分裂は受精に伴って完了する。卵側の分裂では小さな極体へ分ける細胞質が少なく、大部分が卵に残る。

8. 視床下部・前葉・性腺の連絡

視床下部が産生するGnRHは、下垂体前葉へ届いてゴナドトロピンの産生・放出を促します。ゴナドトロピンは性腺に働くホルモンで、LHは黄体形成ホルモン、FSHは卵胞刺激ホルモンです。前葉でつくられるLHとFSHは血液で性腺、つまり精巣や卵巣へ運ばれます。GnRHがそのままLHやFSHへ変わるのではありません。上位の信号を受けた別の細胞が、別のホルモンをつくって放出する連絡です。視床下部から前葉へ届く血流による信号と、視床下部の神経細胞が後葉から放出する経路も分けます。

9. 精巣内の二つの作用先

精巣では、LHは精細管の間にあるライディッヒ細胞に働き、テストステロンの産生を促します。FSHは精細管内のセルトリ細胞に働き、精子形成を支える働きに関わります。テストステロンも精子形成を支え、男性の二次性徴などに関わります。LHとFSHが同じ一種類の細胞だけへ同じ作用をするわけではありません。セルトリ細胞から出るインヒビンは、前葉のFSHの調節に抑制的に関わります。テストステロンが上位の分泌を抑える戻りとともに、性腺の状態を上位へ知らせる連絡として整理します。

男性のLHとFSHの作用先

上方に視床下部と下垂体前葉があり、GnRHの点線矢印が前葉へ向かう。前葉からLHの点線矢印は精細管外のライディッヒ細胞へ、FSHの点線矢印は精細管内の壁から内側へ伸びるセルトリ細胞へ向かう。
視床下部のGnRHは下垂体前葉へ作用し、LHとFSHの分泌を調節する。LHは精細管の間にあるライディッヒ細胞へ作用してテストステロン分泌を促し、FSHは精細管内のセルトリ細胞へ作用して精子形成を支える。GnRH、LH、FSHはそれぞれ別のホルモンで、分泌する場所と作用先が異なる。

テストステロンとインヒビンの帰還

上段はライディッヒ細胞からテストステロンの分泌へ続き、その信号が視床下部・下垂体前葉へ戻る。下段はセルトリ細胞からインヒビンの分泌へ続き、その信号が下垂体前葉へ戻る。帰還の終端は抑制の横線で、インヒビン側にはFSH分泌を抑えると直接示す。
ライディッヒ細胞のテストステロンは視床下部と下垂体前葉へ負のフィードバックを行う。セルトリ細胞のインヒビンは下垂体前葉のFSH分泌を抑える。作用先と調節する分泌を分けて追う。

10. 卵巣の相とホルモンの変化

卵巣周期では、卵胞が発育する卵胞期、排卵、黄体が働く黄体期を区別します。卵胞の発育にはFSHなどが関わり、発育した卵胞からエストラジオールが増えます。エストラジオールはエストロゲンというホルモン群の代表です。排卵前のLHの急な上昇をLHサージと呼び、卵の成熟の進行や排卵につながります。排卵後にできる黄体は、プロゲステロンを多く産生し、エストラジオールも産生します。周期の長さには違いがあり、全員が28日周期で14日目に排卵する時計ではありません。順序と働きの対応を、固定の日数とは分けて追います。

女性のGnRH、LH、FSHと卵巣

視床下部からGnRHの点線矢印が下垂体前葉へ向かう。前葉からのFSHの点線矢印は卵巣内の小さな卵胞へ、LHの点線矢印は大きな卵胞へ向かう。卵胞の壁、内側の空間、内部の卵を区別する。
視床下部からのGnRHは下垂体前葉へ作用し、LHとFSHの分泌を調節する。FSHは卵胞の発育に関わり、卵胞からのエストロゲンが増える。排卵前のLHサージは卵の成熟と排卵につながる。

11. 子宮内膜は卵巣からの信号に応じる

卵胞期に増えるエストラジオールは、子宮内膜の増殖を促します。この内膜の相を増殖期と呼びます。排卵後、黄体から出るプロゲステロンなどによって、内膜は分泌期の状態へ進みます。分泌期には子宮内膜の腺の分泌などが進み、着床を支える状態になります。卵巣の卵胞期・黄体期と、別の器官である子宮の増殖期・分泌期は、同じ組織の別名ではありません。妊娠が成立しない代表的な周期では黄体が退縮し、エストラジオールとプロゲステロンが低下します。それに続いて内膜の表層が剥離し、月経が起こります。子宮筋層や子宮の全壁が周期ごとに脱落するわけではありません。

卵胞の発育、排卵、黄体

上段は卵巣の中の卵胞に壁と内腔と卵がある。中段は卵巣と卵胞の壁に開いた出口があり、卵が外側へ移る。下段は卵巣内の残った組織が折り込まれた黄体へ変わっている。
卵胞は卵と周囲の支える細胞を含む構造で、卵胞期に発育する。排卵では卵が卵巣の外へ出て、残った卵胞の組織から黄体ができる。卵胞のエストロゲンと、黄体のプロゲステロンやエストロゲンは子宮内膜にも作用する。卵の場所の変化と、残った組織の変化を分けて追う。

子宮内膜の増殖、分泌、月経

三段の子宮壁断面に卵巣相とホルモンを対応させる。卵胞期のエストロゲンと内膜の増殖、黄体期のプロゲステロンと腺の分泌、黄体退縮に伴うホルモン低下と表層の脱落をそれぞれ併記する。筋層と残る内膜は連続している。
エストロゲンは子宮内膜の増殖に関わり、排卵後のプロゲステロンは腺の分泌が進む状態に関わる。妊娠が成立しないと黄体が退縮し、ホルモンが低下して内膜の表層が剝がれ、月経につながる。子宮腔に面する内膜の変化で、外側の筋層全体が剝がれることではない。

12. 通常の負帰還と排卵前の正帰還

視床下部・前葉・卵巣の連絡では、通常は卵巣のホルモンなどが上位の分泌を抑える負のフィードバックが働きます。一方、正常な排卵前に、成熟する卵胞から比較的高いエストラジオールの状態が持続すると、上位への促進的な正のフィードバックが生じ、LHサージにつながります。卵巣から上位へ戻るという方向が同じでも、抑制するか促進するかと、その時期・持続条件が違います。任意の一時点でエストラジオールが高いだけで、必ず正帰還や排卵が起こるとはいえません。血中濃度は分泌と除去などの結果であり、分泌量や組織での作用を一つの値と同じものにしないようにします。

エストロゲンの負・正の帰還

上段は卵巣から視床下部・下垂体前葉へ戻る点線の終端を横線とし、多くの時期の抑制を示す。下段は排卵前に比較的高い濃度が持続する条件を記し、卵巣のエストロゲンから下垂体前葉へ点線矢印が向かい、LHサージにつながる。
卵巣のエストロゲンは多くの時期に上位の調節系へ負のフィードバックを行う。一方、排卵前に比較的高いエストロゲン濃度が持続すると、正のフィードバックが強まり、下垂体前葉のLHサージにつながる。同じホルモンでも、時期と濃度が持続する条件によって調節の向きが変わる。

13. 受精の場所と子宮への移動

典型的なヒトの受精は、卵管の広い部分である膨大部で起こります。精子と卵が合わさって接合子が生じ、それぞれが持ち寄った染色体のセットが同じ細胞に含まれます。ヒトの卵の第二分裂は、この受精に伴って完了します。初期の胚は卵管から子宮側へ移動しながら分裂します。卵管での受精と、後に子宮内膜へ入り込む着床は、場所も過程も違います。腟、子宮腔、卵管を通る経路と、卵巣から卵管へ取り込まれる経路を合わせて位置を確認します。

卵管での受精と子宮への移動

紙面左の卵巣の近くに開いた卵管端があり、卵管膨大部が上方に位置する。卵管は短い子宮壁内部分を通り紙面右の子宮腔へ開く。卵から卵管端へ、卵管から子宮へ向かう矢印と、下の腟から子宮腔へ上がる精子の経路の矢印がある。
通常、受精は卵管膨大部で起こる。卵巣から出た卵が卵管へ取り込まれ、受精後は卵割を続けながら子宮側へ運ばれる。精子は腟から子宮腔を通り、卵管へ向かう。卵管での受精と子宮内膜への着床は、場所も過程も異なる。

14. 卵割では細胞数と大きさが別に変わる

受精後の初期に、小さな細胞の数を増やす分裂を卵割といいます。周囲の透明帯という包みの中では、全体の外径を大きく増やさずに分裂が進み、一個ずつの細胞は小さくなります。細胞数が増えること、一個の細胞が大きくなること、胚全体が大きくなることは同じ変化ではありません。細胞が集まって緻密な塊となり、まだ明瞭な空洞を持たない段階を桑実胚と呼びます。分裂の回数や細胞数の記録だけで、内部の空洞や細胞群の配置まで観察したことにはなりません。

卵割の細胞数と全体の大きさ

同じ外径の透明帯を三段に置く。上は一個の接合子、中央は分かれた二個の細胞、下はさらに分かれた四個の小さい細胞が透明帯の内側にある。全体の外径は同程度で、細胞一個あたりの大きさが減る。
初期の卵割では、透明帯に包まれた全体の外径がほぼ保たれる一方、細胞が分かれて数が増え、各細胞は小さくなる。細胞数が増えることと胚全体が大きく成長することを分けて追う。細胞数が同じでも、後の構造を読むには内腔や配置を確認する。

15. 胚盤胞の空洞と内外の細胞群

胚盤胞には空洞があり、片側に集まる内細胞塊と、それを外側から囲む栄養膜を区別できます。内細胞塊は主に胚本体の形成へつながります。外側の栄養膜は着床に関わり、胎盤の胎児側などの胚外構造へ寄与します。胚外とは、胚本体の外でその発生を支える構造の側です。細胞数が多いだけという条件を、空洞と二つの細胞群がある構造へ置き換えないことが大切です。桑実胚と胚盤胞は、名前に加えてこの内部構造で区別します。

桑実胚と胚盤胞の配置

上は閉じた外輪郭の中に細胞が密に詰まる桑実胚。下の胚盤胞には外周を囲む栄養膜の細胞、その内側に広い胚盤胞腔、片側へ集まる内細胞塊がある。各構造に直接の指示線がある。
桑実胚は細胞が密に集まり、目立つ内腔はまだない。胚盤胞では胚盤胞腔ができ、外側の栄養膜と片側に集まる内細胞塊が分かれる。内細胞塊は主に胚本体へつながり、栄養膜は胎盤などを支える側に関わる。細胞数だけでなく、腔と内外の配置で構造を読む。

16. 着床と胎盤の両側の寄与

胚盤胞は透明帯から出た後、子宮内膜への付着と侵入を進めます。これが着床です。栄養膜は着床と胎盤の胎児側の形成に関わりますが、胎盤の全てが栄養膜だけからできるわけではありません。胎児側の絨毛には、栄養膜に加えて胚外の中胚葉や胎児の血管なども関わります。母体側には子宮内膜由来の組織が関わります。胚本体、胎児側の支持構造、母体側の組織を別に追います。

孵化と子宮内膜への着床

上段は開いた透明帯の外へ胚盤胞が出る。下段は子宮腔側から胚盤胞が子宮内膜に付着し、一部が内膜に入り込んでいる。外側の栄養膜と内側の腔・細胞塊は分かれ、内膜の下に筋層がある。
胚盤胞は透明帯から出る孵化を経て、子宮内膜へ付着し侵入する着床へ進む。透明帯から出ることと、子宮の組織との関係が生じることは別の過程である。着床後には胚側の栄養膜などと母体側の子宮内膜が胎盤の形成へ関わる。着床は付着から侵入へ段階的に進む。

17. 胎盤で向かい合う二つの血液回路

胎盤では、母体の血液は絨毛の外側の絨毛間腔に入り、胎児の血液は絨毛の内側の毛細血管内を流れます。母体血が胎児の毛細血管の管内へそのまま流れ込む一つの回路ではありません。両回路の間で、酸素や栄養成分は主に母体側から胎児側へ、二酸化炭素や老廃物は主に胎児側から母体側へ移動します。交換は、間にある組織を介して、物質に応じた仕組みで起こります。全物質が同じ速さで無制限に通る意味ではありません。物質が渡る矢印と、各回路の中を血液が流れる矢印は別にします。

胎盤の二つの血液回路と物質交換

絨毛の外側に母体血の空間があり、母体の入口と出口へつながる。絨毛の内側には胎児から入り胎児へ戻る連続した毛細血管がある。血液の実線矢印はそれぞれの回路内にあり、点線の物質交換矢印だけが間の組織を横切る。凡例は本体の実線矢印と点線矢印を同じ寸法で繰り返す。
母体血は絨毛の外の絨毛間腔に入り、胎児血は絨毛の内の毛細血管を流れる。二つの血液回路の間には組織があり、母体血が胎児の毛細血管へそのまま流れ込むことはない。酸素や栄養成分は主に胎児側へ、二酸化炭素や老廃物は主に母体側へ渡る。血液の流れと物質の交換は別の関係で、全物質が同じ速さで無制限に通るわけではない。

18. 初期の黄体を支え、産生源が変わる

着床後の栄養膜側では、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、略してhCGの産生が進みます。hCGは初期の黄体を支え、黄体からのプロゲステロンなどの産生が保たれることに関わります。妊娠の進行に伴い、胎盤によるステロイドホルモンの産生が重要になります。プロゲステロンは子宮内膜を保つことなどに関わります。胎盤の産生には母体や胎児からの材料供給も関わり、一つの器官が全ての材料を独立につくるという意味ではありません。hCGをつくる側、黄体という作用先、黄体と胎盤の時間的な分担を分けます。

19. 二層性胚盤と胚外の構造

内細胞塊から進む二層性胚盤では、上胚葉と下胚葉を区別します。この二つの層と、後の外胚葉・中胚葉・内胚葉という三胚葉は、異なる段階の区分です。下胚葉は卵黄嚢の内面側など、胚外構造へ寄与します。胚本体の三胚葉をすべて下胚葉からつくるわけではありません。現在の上側・下側という位置の名前だけから、その後の細胞の行き先を決めず、次の段階への経路を追います。

二層性胚盤と下胚葉の寄与

上段の胚盤には上胚葉と下胚葉の二つの細胞層がある。下胚葉から下の胚外卵黄嚢の内面へ寄与する経路を示す。上胚葉から三胚葉への経路はこの図にはない。
二層性胚盤では上胚葉と下胚葉を区別する。下胚葉は卵黄嚢の内面側などの胚外構造へ寄与する。二層という段階の区分と、後の胚本体の三胚葉を分け、現在の上下位置だけで細胞の行き先を決めない。

20. 上胚葉から三胚葉が生じる

原腸形成では、上胚葉の細胞が移動して胚本体の三胚葉をつくります。一部が内胚葉になり、別の細胞が中胚葉になり、上側に残る細胞は外胚葉になります。これらの胚本体の三胚葉は、上胚葉に由来します。細胞数を増す卵割、空洞を持つ胚盤胞をつくること、細胞が動いて三胚葉をつくる原腸形成は別の過程です。胚本体の三胚葉は、上胚葉の細胞が移動して異なる層へ分かれることで生じます。

上胚葉から胚本体の三胚葉へ

上段では上胚葉の細胞が中央から下方や左右の層間へ移動し、下側の列へ届く細胞が下胚葉に替わって内胚葉になる。下胚葉は胚外側へ別の経路を持つ。下段は外胚葉・中胚葉・内胚葉の三つの細胞層で、すべて上胚葉に由来する。下胚葉から三胚葉へ進む矢印はない。
原腸形成では上胚葉の細胞が移動する。一部は内胚葉へ、別の細胞は中胚葉へ進み、上側に残る細胞は外胚葉になる。胚本体の三胚葉はいずれも上胚葉に由来する。下胚葉の胚外への寄与と、胚本体の三胚葉への経路を分ける。

21. 胚葉の由来は器官内の組織ごとに追う

外胚葉は表皮や神経系の基盤などへ、中胚葉は体幹の多くの骨格筋、心筋、血管内皮などへ、内胚葉は胃腸管の多くの内面上皮や気管・気管支・肺胞の上皮などへつながります。血管内皮は血管の内面を覆う細胞層です。一つの器官が一つの胚葉だけでできるとは限りません。例えば小腸壁の内面上皮は内胚葉、平滑筋層は中胚葉に由来します。皮膚の表皮と、その下の真皮も異なる組織です。真皮は表皮の下で支える結合組織で、部位によって由来も違います。現在内側にあることや神経から調節を受けることは、その細胞が内胚葉や神経由来である根拠にはなりません。

小腸壁の上皮と平滑筋の由来

小腸の横断面に中央の内腔、その周囲の内面上皮、さらに外側の平滑筋層がある。内面上皮に内胚葉由来、平滑筋層に中胚葉由来を直接対応させる。
小腸壁の内面上皮は内胚葉、平滑筋層は中胚葉に由来する。内面を覆う上皮と、壁を収縮させる筋は同じ組織ではない。一つの器官の中にも異なる由来の組織が組み合わさる。現在の内外位置や神経による調節だけで細胞の系譜を決めない。

22. 神経板が閉じ、神経堤が離れる

一次神経管形成では、神経外胚葉の神経板が曲がり、両側の神経ひだが持ち上がって近づき、融合して神経管をつくります。神経管は脳・脊髄のニューロンと多くのグリアなど、中枢の主要な神経組織へつながります。グリアは神経系を支える複数種類の細胞です。一方、神経堤細胞は神経管の背側境界から離れて移動し、脊髄神経節の感覚ニューロンやシュワン細胞などへ寄与します。脊髄神経節は感覚ニューロンの細胞体が集まる場所、シュワン細胞は末梢の神経線維を支える細胞です。同じ外胚葉の系統でも、管に残る経路と離れて移動する経路は違います。

神経板の閉管と神経堤の移動

三段の横断面で、平らな神経板、持ち上がる左右の神経ひだ、内腔を囲む閉じた神経管を比較する。下段では神経管の背側に表面外胚葉が連続し、神経堤細胞が背側境界から左右へ離れる。
神経板が曲がり、左右の神経ひだが近づき融合すると、閉じた神経管ができる。その背側の表面外胚葉は再び連続する。神経堤細胞は背側境界から離れて移動する。神経管に残る系統は中枢の主要な神経組織へ、神経堤の系統は脊髄神経節の感覚ニューロンやシュワン細胞などへ寄与する。

23. 誘導の作用と材料の由来を分ける

脊索は胚の軸に沿う中胚葉由来の構造で、神経板の形成などへ誘導的な影響を与えます。誘導とは、ある組織などからの信号が、受け手の細胞の分化や形づくりに影響する関係です。脊索が影響することは、脊索の細胞が神経管の材料へそのまま変わることではありません。神経管の材料は神経外胚葉の系統です。信号による影響、細胞の移動、受け手が分化することを分けると、神経堤の移動・寄与とも混同しません。一つの組織の関与を、全ての材料供給や全形成の唯一の条件に置き換えないようにします。

脊索の誘導と神経管の材料

上段の神経外胚葉の下に脊索がある。脊索から上へ向かう破線の信号矢印と、神経外胚葉から下段の神経管へ続く実線の系統経路を分ける。脊索から神経管への材料経路はない。信号矢印の凡例は本体と同じ形と寸法。
中胚葉由来の脊索は、神経外胚葉に誘導的な影響を与える。信号が分化や形づくりへ作用することと、細胞が材料として移ることは異なる。神経管の材料は神経外胚葉の系統であり、脊索の細胞がそのまま神経管になるわけではない。

24. 体節の配置と限定された寄与

沿軸中胚葉は、神経管と脊索の両側に沿って分節し、体節を形成します。体節の硬節は椎骨や肋骨、筋節は骨格筋、皮節は背部の真皮の一部などへ寄与します。体節というまとまりと、そこから分かれる部分の行き先を対応させます。全身の骨、筋、皮膚が例外なく体節だけからできるという意味ではありません。皮節が関わる真皮と、外胚葉由来の表皮を同じ層にしないことも大切です。

体節と神経管・脊索の配置

上段は背側から見た胚で、中央の神経管の左右に分節した体節が並ぶ。下段の横断面では中央上方に神経管、その腹側に脊索があり、体節が左右に位置する。
沿軸中胚葉は神経管と脊索の両側に沿って分節し、体節を形成する。背側からは左右に並ぶ区切りとして、横断面では神経管と脊索の両側のまとまりとして位置を確かめられる。

硬節・筋節・皮節の限定された寄与

硬節から椎骨と肋骨、筋節から線維のある骨格筋、皮節から表皮の下にある背部真皮の一部へ、三段の対応を示す。皮節の矢印は表皮ではなく下の真皮層へ向かう。
体節の硬節は椎骨や肋骨、筋節は骨格筋、皮節は背部の真皮の一部などへ寄与する。皮節が関わる真皮と、外胚葉由来の表皮は異なる層である。全身の骨・筋・皮膚が例外なく体節だけからできるわけではない。

25. 胚期・胎児期と週数の起点

受精後の胚期は、体の基本的な形や器官の構成がつくられる時期です。一般に受精後およそ8週までを胚期、その後を胎児期として区別し、胎児期には成長と機能の成熟がさらに進みます。胚期に成長がない、胎児期に形の変化がないという意味ではありません。受精後の時間は受精を起点としますが、妊娠週数は通常、最終月経が始まった日を起点に数えます。一般的な28日周期の例では起点に約2週の差ができますが、排卵時期や周期は個人や周期ごとに違います。全員が最終月経の開始後14日に排卵する固定差ではありません。

26. 臍血管は胎児から見た流向で分ける

臍帯は胎児と胎盤をつなぎ、その中に臍動脈と臍静脈があります。通常、二本の臍動脈は胎児から胎盤へ、一つの臍静脈は胎盤から胎児へ血液を運びます。胎盤で交換を経た臍静脈血は、臍動脈血より酸素が多い血液を胎児へ供給します。動脈と静脈の名称は、心臓側から出る方向と戻る方向に対応し、酸素が多いか少ないかだけで決まりません。臍静脈の血液も胎児側の血液であり、母体血をそのまま胎児へ注ぐ管ではありません。

臍動脈と臍静脈の流向

上の胎児側と下の胎盤側を臍帯がつなぐ。左右二本の臍動脈には胎盤へ向かう矢印、中央の臍静脈には胎児へ戻る矢印がある。下の絨毛内の胎児血管は連続し、その外側の母体血の空間へ血管は開かない。
通常、臍帯には二本の臍動脈と一つの臍静脈がある。臍動脈は胎児から胎盤へ、臍静脈は胎盤から胎児へ血液を運ぶ。動脈・静脈の名称は心臓側から出る方向と戻る方向に対応する。臍静脈血も胎児側の血液であり、母体血を直接注ぐ管ではない。

27. 胎児の三つの短絡の接続

胎児では胎盤が主なガス交換の場所で、肺の血管を流れる量は出生後より少ない状態です。胎児循環には三つの代表的な短絡があります。静脈管は、臍静脈から入る血液の一部が肝内の流路を迂回して下大静脈へ進む接続です。卵円孔は右心房から左心房へ進む接続で、動脈管は肺動脈側から、大動脈の下方へ続く部分である下行大動脈へ進む接続です。卵円孔と動脈管は、肺へ向かう流れの一部を迂回させます。全血液が肝や肺を完全に通らないわけではありません。短絡ごとの接続相手と、胎盤からの供給を心臓・全身へ送る流れを分けて追います。

静脈管と肝臓を通る血流

左下から上がる臍静脈が分かれ、一方は上の静脈管で右の下大静脈へ続き、他方は肝臓の中を通って下大静脈へ合流する。二つの実流路が同時にある。
静脈管は、臍静脈から入る血液の一部が肝内の流路を迂回し、下大静脈へ進む接続である。同時に肝臓を通る血流もあり、胎児の全血液が肝臓を通らないという意味ではない。下大静脈の流れは心臓側へ進む。

卵円孔の実接続

正面の心房断面では紙面左が右心房、紙面右が左心房。二つの心房の間の壁に実際の開口があり、その間を右から左へ血流矢印が通る。それぞれ下の右心室・左心室へも続く。
胎児の卵円孔は右心房から左心房へ血液が進む心房間の開口である。心室間の穴や、母体血が流れ込む管ではない。肺へ向かう流れの一部を迂回する一方、肺から左心房へ戻る流れもある。

動脈管と肺を通る血流

右心室から上がる肺動脈は、中央の肺へ続く枝と、上の動脈管へ進む枝に分かれる。動脈管は右端の下行大動脈へ実際に合流する。肺からの戻りは左心房へ続き、大動脈へ直接合流しない。
胎児の動脈管は肺動脈側から下行大動脈へつながり、肺へ向かう流れの一部を迂回する。肺動脈から肺を通り、肺静脈で左心房へ戻る経路もある。胎児の肺血流は出生後より少ないが、ゼロではない。

28. 出生に伴う換気と循環の切り替え

出生に伴って肺の換気が始まると、肺血管抵抗が低下し、肺へ流れる血液が増えます。肺から左心房への戻りが増え、心房の圧の関係が変わることが、卵円孔の機能的な閉鎖につながります。胎盤との循環も離れ、肺でのガス交換が主な酸素供給を担う回路になります。動脈管や静脈管も、条件の変化に応じて機能的な閉鎖へ向かいます。血液が通らなくなる機能的な閉鎖と、後に構造が変わって通路が閉じる解剖学的な閉鎖は、同じ瞬間の出来事ではありません。機能的に血流が止まった後も、構造はしばらく残ります。

出生後の肺循環と閉鎖の段階

上の肺から左心房へ血管が続き、肺からの戻りが増える。心房間の開口部では壁が接して通路が機能的に閉じ、元の構造が残る。下段では後の構造的閉鎖を別段階として示し、出生の瞬間に全構造が消える形にしない。
出生に伴う換気で肺血管抵抗が下がり、肺へ流れる血液と左心房への戻りが増える。心房の圧の関係が変わることが卵円孔の機能的閉鎖につながる。胎盤との循環も離れ、肺が主なガス交換の場所になる。動脈管や静脈管も条件の変化で機能的閉鎖へ向かう。血流が止まっても構造はしばらく残り、後の解剖学的閉鎖とは段階が異なる。

29. 子宮収縮と増幅する連絡

分娩の代表的な連絡では、子宮頸部などへの伸展刺激が神経を介して伝わり、オキシトシンの放出を促します。オキシトシンは子宮筋の収縮を促し、さらに刺激が強まることで放出が増える、正のフィードバックの一例です。これは刺激と放出と収縮がつながる関係で、出産までの全過程を一つのホルモンだけが開始・完結する意味ではありません。オキシトシンは視床下部の神経細胞で産生され、その軸索で後葉へ運ばれて、後葉から血中へ放出されます。後葉が新しく産生するホルモンという意味ではありません。

30. 乳汁の産生と射出を分ける

吸う刺激は、乳汁に関わるホルモンの連絡を促します。プロラクチンは下垂体前葉で産生・放出され、乳腺の分泌細胞による乳汁の産生を支えます。オキシトシンは視床下部で産生され、後葉から放出されます。乳腺の分泌部の周囲にある筋上皮細胞を収縮させ、つくられた乳汁を管へ押し出す射出に関わります。分泌細胞が乳汁をつくることと、周囲の筋上皮細胞が収縮して乳汁を移動させることは、別の働きです。ホルモンの産生元、作用先の細胞、乳汁の移動をそれぞれ分けます。

乳汁の産生と射出の別の作用先

上段はプロラクチンの信号が分泌細胞へ届き、内腔へ乳汁をつくる。下段は周囲の筋上皮細胞にオキシトシンが作用し、収縮に伴って乳汁が下の管へ動く。内腔、分泌細胞、外側の筋上皮細胞を分ける。
前葉からのプロラクチンは乳腺の分泌細胞による乳汁の産生を支える。視床下部で産生され後葉から放出されるオキシトシンは、分泌部の周囲の筋上皮細胞を収縮させ、つくられた乳汁を管へ押し出す。乳汁をつくる細胞と、射出を助ける周囲の細胞は別の作用先である。

31. 成長・発達・成熟をつなぐ

身長や体重の増加のように、身体の大きさを尺度で追う変化を成長と呼びます。機能、認知、情緒、社会的な関わりなどの変化を発達として捉えます。成熟は、構造や働きがその機能を発揮できる状態へ進むことを指します。身体の大きさが増えることと、言葉を使う能力や他者と関係をつくることは、異なる側面です。人生全体の時間的な流れをライフコース、その中の各時期をライフステージと呼びます。成人になった後も、新しい技能の学習、関係や役割の変化などの発達が続きます。

32. 身体の指標と骨成長を分担する

身長は身体の長さ、体重は身体全体の質量を示します。異なる量なので、一つの値からすべての構造や機能の発達を知ることはできません。成長期の長骨では、成長板の軟骨細胞の増殖・肥大と骨幹側の骨への置換が長さの成長へつながり、骨膜側の骨添加は幅や太さに関わります。成長板での長さの成長が終わった成人でも、骨吸収と骨形成による更新は続きます。長さ・幅・成人更新の具体機序は骨格の学習で確認した関係へつなぎます。身体の大きさの成長終了と、成人の学習や機能の変化は別です。

33. 運動発達の方向と活動の種類

乳幼児の運動制御には、頭部から体幹・下肢へという頭尾方向の傾向と、体幹や肩など近位から手や指など遠位へという傾向があります。身体の位置を表す方向で、全ての課題の達成順や年齢を固定する規則ではありません。姿勢を保つ、立つ、歩くなど体幹や四肢を大きく使う運動は粗大運動、指で小物をつまむなど細かな調整をする運動は微細運動です。小物をつまむときも体幹や肩の安定が関わります。粗大運動と微細運動は協力し、一つの活動をいつでも一種類の筋だけへ分けられるわけではありません。

運動発達の二つの身体方向

正面の身体に頭部、体幹、下肢を直接示す。横の矢印は頭部から下肢へ、腕に沿う矢印は肩に近い側から手に近い側へ向かう。矢印は身体位置の方向の傾向で、固定した達成年齢を表さない。
乳幼児の運動制御には、頭部から体幹・下肢へ向かう頭尾方向と、体幹や肩など近位から手・指など遠位へ向かう傾向がある。身体の位置を表す方向であり、すべての課題の達成順や年齢を固定する規則ではない。

粗大運動と微細運動の具体的な活動

上段は体幹と脚で姿勢を保つ身体、下段は親指と他の指で小物をつまむ手。姿勢の保持と指先の調整という異なる活動を示し、下段には体幹や肩の安定も関わることを記す。
姿勢を保つ、立つ、歩くなど体幹や四肢を大きく使う活動は粗大運動、指で小物をつまむなど細かな調整をする活動は微細運動である。小物をつまむときにも体幹や肩の安定が関わる。二つは協力し、活動全体を一種類の筋の働きだけに分けられるわけではない。

34. 異なる発達領域を具体的に追う

運動では姿勢を保つことや歩くこと、言語では言葉を理解することや表現すること、社会的な関わりでは他者とのやり取りや共同の活動などを追います。例えば、聞いた言葉を理解することと、自分で言葉を使って伝えることは異なる能力です。異なる領域が全て同じ速さで変わるとは限りません。観察した期間、場所、相手、課題の条件をそろえて複数の情報を比較すると、どの側面がどう変わったかを捉えやすくなります。一つの身長や一回の課題だけを、全ての領域の発達そのものとすることはできません。

35. 認知・言語・情緒・社会の変化

認知の発達には、見えなくなった物も存在すると理解すること、物や出来事を言葉や記号で表すこと、具体的な事物の関係を論理的に扱うことなどが含まれます。言語は理解と表現の両面を持ち、他者とのやり取りにも使われます。情緒の面では、周囲の人に支えられて落ち着くことから、経験を通して感情を調整する方法が広がります。社会の面では、相手とやり取りすること、役割を分けて活動することなどが変化します。共同作業では、言葉で互いの考えや希望を理解・伝達し、役割を調整することが協力へつながります。身体の大きさとこれらの能力は、同じ一つの尺度ではありません。

36. 成熟と経験が異なる仕方で関わる

神経回路の発達や筋の力、姿勢を保つ能力などの成熟は、動作や活動を支える基盤になります。経験や練習は、その基盤を使いながら技能を身につけることに関わります。言語を学ぶときも、他者の言葉を聞き、応答し、使う経験が役立ちます。成熟と経験は協力する関係で、同じ言葉の別名ではありません。練習量だけであらゆる成熟過程を置き換えることも、成熟だけで全ての技能が自動的に同じ形で完成することもありません。環境や経験の違いを含めて、個々の活動を具体的に見ます。

37. 安心できる関係が探索を支える

愛着は、子どもが養育者など特定の相手へ安心を求める、情緒的な結びつきです。不安や危険を感じるとその相手への接近や助けを求め、安心を得ると周囲を探索しやすくなります。安心の基地という考え方は、相手から離れないことだけでなく、安心を基盤に探索へ向かい、必要なときに戻れる関係を捉えます。養育者が子どもの働きかけに応じる経験が、この関係に関わります。対象になる人は性別で一律に決まるものではなく、複数の養育者との関係にも育ちます。愛着を、その相手と一緒にいる時間だけの数値や、一回の泣き方だけに置き換えることはできません。

38. ピアジェの四つの基本区分

ピアジェの理論は、子どもの認知の質的な変化を段階として整理します。感覚運動期では感覚と動作を通して世界を捉え、見えなくなった物も存在するという対象の永続性などが形成されます。前操作期では言葉や見立て遊びなどの象徴の利用が広がります。具体的操作期では具体的な事物について、見かけの変化に惑わされず量を保つことなどを論理的に扱います。形式的操作期では、目の前の事物だけでなく仮説や可能性を用いた推論を扱います。これらは一つの理論による基本区分で、年齢だけから特定の人の全課題の能力を確定する表ではありません。

39. 象徴の利用と保存の理解は別の関係

積み木を車に見立てて遊ぶことは、ある物で別の物を表す象徴の利用です。一方、同じ量の液体を背の低い容器から背の高い容器へ移しても、液体を加えたり減らしたりしていなければ量は変わらないと理解することは、保存の考え方です。言葉や見立てを使えることと、見かけの高さにかかわらず量が保たれることを論理的に扱えることは別です。具体物を使って関係を考えることと、条件を仮定して可能な結果を推論することも区別します。理論の区分と、実際にどの課題をどんな条件で行えたかという観察情報を合わせて捉えます。

40. エリクソンの基本局面:幼少期から学童期

エリクソンの理論は、生涯にわたる心理社会的な経験を八つの基本局面の対立として整理します。信頼対不信は、養育者の安定した応答などから安心や信頼を育てる経験です。自律性対恥・疑惑は、自分で選び行うことと、失敗や制限の中で自分の力をどう捉えるかに関わります。自主性対罪悪感は、自分から働きかけ、活動を始める経験を捉えます。勤勉性対劣等感は、学習や作業に取り組んでやり遂げ、能力や達成の感覚を持つ経験に関わります。対立の二つの側は、病名や一人につける固定のラベルではありません。

41. エリクソンの基本局面:青年期から老年期

同一性対同一性拡散は、自分の価値、役割、将来への方向をつなぎ、自分らしさのまとまりを捉える局面です。親密性対孤立は、他者と深い相互的な関係をつくることに関わります。世代性対停滞は、次の世代や社会へ関心を向け、育成や貢献に関わる局面です。統合性対絶望は、人生を振り返り、自分の経験を全体として受け止めることに関わります。エリクソンの八局面は生涯の経験を考える枠組みで、全ての人が固定の年齢に一つずつ終えて次へ進む判定表ではありません。理論と、本人の経験や環境を記録した情報は分けます。

42. 思春期の身体と性機能の変化

思春期には、視床下部・前葉・性腺の連絡が活発になり、性ホルモンや配偶子形成に関わる働きが変化します。体格の変化とともに、男性では声や体毛など、女性では乳房などの二次性徴が進みます。二次性徴は精巣や卵巣そのものではなく、性ホルモンの作用などで現れる身体の特徴です。初めての月経を初経と呼びます。初経後は排卵に関わる調節が成熟途中のことがあり、排卵を伴わない周期もあります。初経があったことだけで全ての周期の排卵や全身の成熟、心理社会的な発達が完成したとはいえません。身体、性機能、心理社会の変化には異なる側面と個人差があります。

43. 閉経への移行と男性の加齢

女性では年齢とともに卵巣の卵胞が減り、閉経へ移行する時期には周期やホルモン分泌が変動します。卵巣のエストロゲン産生は長期的には低下し、卵巣機能の変化は上位の調節にも関わります。閉経は卵巣活動の変化に伴って月経が持続的に終了することです。性成熟期の分泌が更年期より比較的安定するという表現は、人生時期の長い比較であり、月経周期内でホルモンが一定という意味ではありません。男性にも性腺機能などの加齢変化はありますが、男性の精子形成が全員同じ年齢に一斉に停止するわけではなく、女性の閉経と同一の切り替えではありません。

44. 加齢・病気・生活条件を分ける

加齢は、時間の経過に伴う構造や機能の変化を指します。病気による変化とは区別しますが、実際の生活では遺伝的な背景、活動、栄養、環境、経験、病気なども機能へ影響します。例えば筋の力は加齢に伴う筋量や神経の変化に加え、身体活動や栄養などにも左右されます。更年期以降の身体変化にも、卵巣ホルモンの変化と他の加齢変化がともに関わります。年齢や一つのホルモンだけを、現在の全ての能力や状態の原因にしないようにします。

45. 安静時の働きと機能予備力

機能予備力は、安静時や通常の生活で必要な働きに加えて、負荷が増したときにさらに対応できる余力です。安静時の機能が保たれていても、大きな負荷への対応力が同じとは限りません。加齢に伴って、最大の力や反応速度、心肺や腎の余力などが変わる傾向があります。普段の活動が行えることと、負荷を増やしたときの機能は別の条件です。どの機能を、どんな条件で観察したかを明確にすると、維持されている働きと余力の変化を分けられます。

46. 筋と骨の代表的な加齢変化

筋量や筋力は、加齢とともに低下する傾向があります。動作には神経の調節や経験も関わり、同じ筋量だけで全活動の成績は決まりません。骨では成人以後も吸収と形成が続きますが、その長期的なバランスの変化などにより骨量が減る傾向があります。更新が続くことと、骨量が保たれることは同じではありません。これらの変化には活動や栄養、ホルモンなども関わります。骨量の一般的な傾向を、そのまま特定の人の骨折や病名の判定へ用いることはできません。

47. 感覚の働きは側面ごとに変わる

加齢に伴って水晶体は変形しにくくなり、近くを見るために焦点を調節する力が低下します。水晶体は目の中のレンズで、その形を変えることが焦点の調節に関わります。聴覚にも、高い周波数の音を捉えにくくなるなどの傾向があります。周囲の明るさや騒音などの条件は、見え方や聞こえ方にも影響します。視覚の焦点調節と聴覚の周波数への感度は別の機能で、感覚全てが同じ仕方・同じ程度に変わるという意味ではありません。

48. 心肺の負荷への応答と物性の違い

加齢に伴って動脈は硬くなる傾向があり、心拍数を大きく増やす余力なども低下する傾向があります。安静時の循環が保たれていても、運動などの負荷に対する余力が同じとは限りません。呼吸では、肺の弾性収縮力が低下することと、胸郭が硬くなって動きにくくなることを分けます。肺の弾性収縮力は、膨らんだ肺が元へ戻ろうとする力です。胸郭の硬さは胸の枠の動きにくさで、両者を一つの物性の変化へまとめません。換気やガス交換の余力に関わる変化として、活動条件と合わせて捉えます。

49. 腎の機能と余力の変化

腎では加齢に伴い、腎血流量や糸球体での濾過の能力が低下する傾向があります。水や電解質の変化へ対応する余力も低下する傾向があります。通常の生活で体液の状態が保たれていることと、大きな水分・塩分の変化に同じ速さで対応できることは別です。これは正常加齢の一般的な傾向で、個人の検査値の正常・異常や薬の用量を決める規則ではありません。筋、感覚、心肺、腎の各機能は、同じ一つの数値で代表させずに分けます。

50. 処理速度と経験に支えられた知識

成人の認知機能は、側面ごとに経過が異なります。加齢に伴い、新しい情報を素早く処理することや、慣れない課題へ対応する速さが低下する傾向があります。一方、長く蓄積した知識や経験に基づく判断、慣れた技能は比較的保たれることがあります。速さと知識の量、経験を使うことは別の側面です。時間をかけること、既知の手がかりを使うこと、環境を整えることなどによって、実際の活動の仕方も変わります。正常な加齢の傾向を、一律な全認知能力の喪失や認知症の診断とすることはできません。

51. 成人以後も学習と役割の変化が続く

成人以後も、経験から新しい技能や知識を身につけ、仕事や家庭、他者との関係で役割を変えていきます。他者への関与や次の世代を支える活動、自分の経験を振り返ることも、生涯の心理社会的な変化の一部です。身体の大きさの成長が終わることは、これらの発達や学習が止まることではありません。成熟、経験、身体機能、心理社会、環境を組み合わせると、生涯の変化を一方向の増加だけ、または一方向の低下だけにまとめずに捉えられます。

用語を確かめる

精巣
陰嚢内にある器官。精子形成と性ホルモンの産生に関わる。
陰嚢
精巣を収める体外側の袋状の構造。
精細管
精巣内にある細い管。精子形成が進む場所。
精巣上体
精巣に沿う構造。精子の成熟と貯留に関わり、精管へ続く。
精管
精巣上体から続き、精子を骨盤内へ運ぶ管。
精嚢
精液に加わる分泌物をつくる付属腺。管が精管と合流して射精管へつながる。
射精管
精管と精嚢の管が合流してでき、前立腺内を通って尿道へ開く管。
前立腺
膀胱の下にある付属腺。精液に加わる分泌物をつくる。
精液
精子と、精嚢・前立腺などの分泌物を合わせた液体。
尿管
腎から膀胱へ尿を運ぶ管。精子の経路ではない。
尿道
膀胱側から体外へ続く管。男性では精液が出る経路の一部も担う。
卵巣
子宮の左右にある器官。卵の発育と性ホルモンの産生に関わる。
卵管
子宮から左右へ伸び、卵巣に近い端が腹膜腔へ開く管。卵や初期の胚の通過に関わる。
卵管采
卵管の卵巣に近い端にあるひだ状の構造。卵の取り込みに関わる。
子宮体部
子宮の上側の広い部分。
子宮頸部
子宮の下側の細い部分。頸部の管は腟へ通じる。
腟
子宮頸部から体外へ続く管状の器官。尿道とは別の経路。
子宮腔
子宮内部の空間。子宮の筋層そのものとは別。
子宮内膜
子宮内部の表面を覆う組織。周期に伴って変化し、着床の場所になる。
子宮筋層
子宮壁の厚い平滑筋層。子宮腔とは別の構造。
卵胞
卵と、それを囲んで支える細胞などからなる卵巣内の構造。
排卵
卵巣の卵胞から卵が出ること。
黄体
排卵後の卵胞の残った部分から生じ、ホルモンを産生する構造。
配偶子
受精で染色体を持ち寄る精子や卵。
減数分裂
染色体のセット数を半分にすることなどを二回の分裂で進め、配偶子形成へつなぐ過程。
染色体のセット
ひとそろいの染色体の組。DNAのコピー量や細胞数とは別の数え方。
姉妹染色分体
DNA複製後に同じ染色体を構成する二つのコピー側。
接合子
受精で生じる細胞。受精卵とも呼ぶ。
極体
卵の減数分裂で、不等な細胞質分配によって生じる小さな細胞。
GnRH
視床下部が産生し、前葉のゴナドトロピン産生・放出を促すホルモン。
ゴナドトロピン
性腺に働くホルモン。前葉からのLHとFSHがある。
LH
黄体形成ホルモン。精巣ではライディッヒ細胞、卵巣では排卵や黄体の働きなどに関わる。
FSH
卵胞刺激ホルモン。精巣ではセルトリ細胞、卵巣では卵胞の発育などに関わる。
ライディッヒ細胞
精細管の間にあり、LHに応じてテストステロンを産生する細胞。
セルトリ細胞
精細管内で精子形成を支える細胞。FSHの作用先で、インヒビンも産生する。
テストステロン
精巣などで産生され、精子形成や男性の二次性徴などに関わるホルモン。
インヒビン
性腺側から前葉のFSHの調節へ抑制的に関わるホルモン。
卵胞期
卵巣周期のうち、卵胞が発育する相。
黄体期
排卵後に黄体が働く卵巣周期の相。
エストラジオール
エストロゲン群の代表的なホルモン。卵胞からの産生増加が内膜の増殖などに関わる。
エストロゲン
エストラジオールなどを含むホルモン群。
プロゲステロン
黄体や胎盤などが産生するホルモン。内膜の分泌期への変化や維持に関わる。
LHサージ
排卵前のLHの急な上昇。卵の成熟や排卵へつながる。
増殖期
エストラジオールなどに応じて子宮内膜の増殖が進む相。
分泌期
プロゲステロンなどに応じ、子宮内膜の腺の分泌などが進む相。
月経
妊娠が成立しない代表周期で、ホルモン低下に続き子宮内膜の表層が剥離すること。
負のフィードバック
上位からの連絡に対し、下位から上位を抑えるなど、変化を抑える方向へ戻る調節。
正のフィードバック
反応を促進する方向へ戻り、一定条件で増幅する調節。
膨大部
卵管の広い部分。典型的なヒトの受精の場所。
卵割
初期胚が全体の大きさを大きく増やさず分裂し、小さい細胞の数を増やすこと。
透明帯
卵や初期胚の周囲にある包み。胚盤胞は着床前にこの包みから出る。
桑実胚
初期発生の緻密な細胞塊で、まだ胚盤胞の明瞭な空洞を持たない段階。
胚盤胞
空洞、内細胞塊、外側の栄養膜を区別できる初期発生の段階。
内細胞塊
胚盤胞の内側に集まる細胞群。主に胚本体の形成につながる。
栄養膜
胚盤胞の外側の細胞層。着床や胎盤の胎児側などへ寄与する。
胚外
胚本体の外で発生を支える構造の側。
着床
胚盤胞が子宮内膜へ付着し、侵入を進めること。
絨毛
胎盤の胎児側の突起状の構造。内部に胎児の毛細血管がある。
絨毛間腔
胎盤で絨毛の外側にあり、母体血が入る空間。
hCG
ヒト絨毛性ゴナドトロピン。初期の黄体を支える栄養膜側のホルモン。
二層性胚盤
上胚葉と下胚葉を区別する初期胚の構造。三胚葉とは段階が違う。
上胚葉
二層性胚盤の一層で、原腸形成によって胚本体の三胚葉を生む。
下胚葉
二層性胚盤の一層で、卵黄嚢の内面側など胚外構造へ寄与する。
卵黄嚢
胚本体の外側にある支持構造の一つ。
原腸形成
細胞の移動などにより、胚本体の外胚葉・中胚葉・内胚葉を形成する過程。
外胚葉
表皮や神経系の基盤などにつながる胚葉。
中胚葉
体幹の多くの筋、心筋、血管内皮などにつながる胚葉。
内胚葉
消化管・呼吸器の多くの上皮などにつながる胚葉。
血管内皮
血管の内面を覆う細胞層。
真皮
表皮の下で支える結合組織。部位によって由来が異なる。
神経板
神経外胚葉の板状の部分で、一次神経管形成の出発側の構造。
神経ひだ
神経板の両側が持ち上がった部分。近づいて融合し神経管をつくる。
神経管
神経板から形成され、脳・脊髄の主要な神経組織につながる管状構造。
神経堤細胞
神経管の背側境界から離れて移動し、末梢の神経系の一部などへ寄与する細胞群。
グリア
神経系を支える複数種類の細胞。
脊髄神経節
感覚ニューロンの細胞体が集まる場所。神経堤がその細胞へ寄与する。
シュワン細胞
末梢の神経線維を支える細胞。神経堤に由来する。
脊索
胚の軸に沿う中胚葉由来の構造。神経板形成などへの誘導的な影響を持つ。
誘導
ある組織などの信号が、受け手の分化や形づくりに影響する関係。材料の系譜とは別。
沿軸中胚葉
胚の軸の両側にある中胚葉の部分。分節して体節をつくる。
体節
沿軸中胚葉の分節したまとまり。硬節・筋節・皮節などへ分かれる。
硬節
体節の部分で、椎骨・肋骨の形成などへ寄与する。
筋節
体節の部分で、骨格筋の形成へ寄与する。
皮節
体節の部分で、背部の真皮の一部などへ寄与する。
胚期
体の基本的な形や器官の構成をつくる時期。一般に受精後およそ8週まで。
胎児期
胚期に続き、成長や機能成熟などが進む時期。
妊娠週数
通常、最終月経の開始日から数える時間。受精後の経過時間とは起点が違う。
腹膜腔
腹膜の面の間にある空間。腹部全体を指す言葉ではない。
臍帯
胎児と胎盤をつなぐ構造。臍動脈と臍静脈などを含む。
臍動脈
胎児から胎盤へ血液を運ぶ動脈。通常二本ある。
臍静脈
胎盤から胎児へ血液を運ぶ静脈。通常一本ある。
短絡
通常の経路の一部を迂回する接続。胎児には三つの代表的な短絡がある。
静脈管
臍静脈からの血液の一部を、肝内の流路を迂回して下大静脈へ送る胎児の接続。
卵円孔
胎児で右心房から左心房へ血液を送る接続。
動脈管
胎児で肺動脈側から下行大動脈へ血液を送る接続。
機能的な閉鎖
血液が通る働きが止まること。後の構造的な閉鎖とは区別する。
解剖学的な閉鎖
構造が変わり通路自体が閉じること。機能的な閉鎖より後に進む場合がある。
オキシトシン
視床下部で産生され後葉から放出されるホルモン。子宮収縮や乳汁射出に関わる。
プロラクチン
前葉で産生・放出されるホルモン。乳腺の乳汁産生を支える。
筋上皮細胞
乳腺の分泌部を囲み、収縮して乳汁を押し出す働きに関わる細胞。
乳汁射出
つくられた乳汁を分泌部から管へ押し出すこと。乳汁の産生とは別の働き。
成長
身体の大きさなどを尺度で追う変化。
発達
機能、認知、情緒、社会的な関わりなどの変化。
成熟
構造や働きが、その機能を発揮できる状態へ進むこと。
ライフコース
人生全体の時間的な流れ。
ライフステージ
発達や加齢などに応じて捉える人生の各時期。
頭尾方向
頭部から体幹・下肢へ向かう方向。運動制御の発達の一般的な傾向に使う。
近位から遠位
体幹に近い側から手足の先などへ向かう方向。運動発達の一般的な傾向に使う。
粗大運動
姿勢を保つ、歩くなど、体幹や四肢を大きく使う活動。
微細運動
指先で小物をつまむなど、細かな調整を行う活動。
認知
物や出来事を捉え、記憶し、考えるなどの働き。
情緒
感情とその表し方・調整などの側面。
愛着
養育者など特定の相手に安心を求める情緒的な結びつき。
安心の基地
安心できる相手を基盤に探索し、必要なときに戻れる関係を捉える考え方。
感覚運動期
ピアジェの基本区分の一つ。感覚と動作を通した世界の捉え方が中心となる。
前操作期
ピアジェの基本区分の一つ。言葉や見立てなどの象徴利用が広がる。
具体的操作期
ピアジェの基本区分の一つ。具体的な事物について保存などの論理的関係を扱う。
形式的操作期
ピアジェの基本区分の一つ。仮説や可能性を用いた推論を扱う。
対象の永続性
見えなくなった物も存在すると理解すること。
象徴
言葉や物などで、別の対象や出来事を表すこと。
保存
物を加減せず見かけや配置だけ変えても、量などが保たれるという関係。
信頼対不信
エリクソンの基本対立。安定した応答などから安心や信頼を育てる経験に関わる。
自律性対恥・疑惑
エリクソンの基本対立。自分で選び行うことや、自分の力の捉え方に関わる。
自主性対罪悪感
エリクソンの基本対立。自分から働きかけ、活動を始める経験に関わる。
勤勉性対劣等感
エリクソンの基本対立。学習や作業をやり遂げ、能力や達成の感覚を持つ経験に関わる。
同一性対同一性拡散
エリクソンの基本対立。価値や役割をつなぎ、自分らしさのまとまりを捉える。
親密性対孤立
エリクソンの基本対立。深い相互的な関係をつくることに関わる。
世代性対停滞
エリクソンの基本対立。次世代の育成や社会への貢献などに関わる。
統合性対絶望
エリクソンの基本対立。人生を振り返り、自分の経験を全体として受け止めることに関わる。
二次性徴
性ホルモンの作用などによって現れる、体毛や乳房などの身体の特徴。
初経
初めて起こる月経。全ての性機能や全身の発達の完成を示す値ではない。
閉経
卵巣活動の変化に伴い、月経が持続的に終了すること。
更年期
性腺機能などが変化し、閉経への移行を含む時期。
機能予備力
通常の必要な働きに加え、負荷が増えたときに対応できる余力。
水晶体
目の中のレンズ。形を変えることが焦点の調節に関わる。
肺の弾性収縮力
膨らんだ肺が元へ戻ろうとする力。胸郭の硬さとは別の物性。
処理速度
情報を捉え処理する速さ。蓄積した知識の量や経験による判断とは別の側面。
下行大動脈
大動脈が胸部から腹部へ下方に続く部分。胎児の動脈管の大動脈側の接続先。