小脳の外形・脚と第四脳室の屋根を読む

本文の目次

  1. 左右のふくらみと正中の虫部
  2. 二つの裂で形態上の三葉を分ける
  3. 下面で片葉と小節を探す
  4. 外の皮質と内の枝分かれ
  5. 三つの脚は左右にある付着部
  6. 外側の太い脚と、内側の上の脚
  7. 第四脳室の小脳側には屋根がある
  8. 外形の区分と奥の連続を重ねる

1. 左右のふくらみと正中の虫部

小脳には左右の半球があり、その間の正中に虫部があります。表面の細かいひだを小脳葉と呼び、ひだの間には溝が走ります。この細かいひだと、前葉などの大きな区分を分けて読みます。上から見ると左右の半球と虫部が並びますが、下面では虫部が半球の間に深く入るため、見える外形が変わります。小脳は脳幹に付着していても、脳幹の一部分という名前にはなりません。

2. 二つの裂で形態上の三葉を分ける

小脳の形態上の大きな区分は、前葉、後葉、片葉小節葉です。一次裂は前葉と後葉の境界、後外側裂は後葉と片葉小節葉の境界です。前葉は一次裂より前側で主に上面に見え、後葉は上面から下面へ大きく広がります。表面のすべての溝を同じ大きさの区分の境界にはせず、名前の付いた裂を目印にたどります。

上面の虫部・左右半球と一次裂

小脳を上方から見た外形の代表図で、前は上、本人の右は画面右。左右の半球の間の虫部を正中に置き、細かなひだを曲線で示す。一次裂は前側の前葉と後側へ広がる後葉を分け、虫部でも続く。前葉と後葉の色は形態上の区分の補助で、機能専用領域や別々に離れた組織を示さない。下面の片葉小節葉・後外側裂、全小葉名、厳密な溝の本数や個体差は描かない。
正中の虫部と左右の半球を見分け、一次裂の前後で前葉と後葉を分けます。細かなひだ一つずつと、大きな葉の区分は別です。

3. 下面で片葉と小節を探す

片葉小節葉は、虫部の前下部にある小節と、左右の前外側にある片葉からなります。片葉は脳幹との付着部付近で見つける小さな部分です。一つの葉の名前が、正中と左右に分かれた部分をまとめています。外周をたどる水平裂は上面と下面の間の目印で、前葉と後葉を分ける一次裂とは別です。裂による形態上の区分と、連絡や働きによる区分は同じ線引きではありません。

下面の片葉小節葉と後外側裂

小脳を下方から見た代表的な配置で、前が上、本人の右が画面左。左右半球の間の虫部の前下部に小節、前外側の付着部付近に左右の片葉を置く。三つの小部分を同じ淡い色で示し、片葉小節葉という一つの形態上の葉に対応させる。後葉との境界の後外側裂を小節・片葉の周囲の局所で示す。深部の全連続や脳幹・小脳脚は省いた配置で、表面に一直線の境界が露出するという意味ではない。水平裂・全小葉名・機能的区分は描かない。
正中の小節と左右の片葉をまとめて片葉小節葉と呼びます。後外側裂は後葉との境界で、一次裂とは分けて読みます。

4. 外の皮質と内の枝分かれ

小脳の表面は灰白質の皮質で覆われ、内側には白質があります。断面では白質が枝分かれして、皮質のひだへ続く様子が見えます。この樹木のような形を小脳活樹と呼びます。枝分かれは内側の白質の形で、表面から外へ突き出る血管の枝ではありません。内部白質には灰白質の深部核も含まれます。正中矢状断で切る実質は虫部で、外側の半球やすべての深部核が一枚にそろうわけではありません。

正中断面の皮質・白質と第四脳室

前が画面左、後が画面右の正中矢状断の限定図。脳幹の後方に小脳の虫部の断面を置き、外側の灰白質の皮質と内側の白質の枝分かれを示す。小脳活樹は白質の形で、血管の分岐ではない。橋・上部延髄と小脳の間の第四脳室を淡い空間として分け、小脳全体を腔にしない。小脳脚や外側の深部核はこの正中面にすべて重ねない。第四脳室屋根は位置の境界だけを示し、下髄帆と脈絡組織の個別区分、出口や髄液流路は描かない。
外側の皮質と内側の白質を分けると、活樹は白質の枝分かれとして読めます。その前方の第四脳室は、周囲の組織とは別の腔です。

5. 三つの脚は左右にある付着部

小脳と脳幹を結ぶ上・中・下小脳脚は、それぞれ左右一対です。小脳の前方へ回ると、白質の線維束が脳幹へ続く付着部として見えます。一本の中央の棒に三つの名前が付くのではありません。脳幹の高さとの主な対応を保ちながら、左右の連絡と奥行きを確かめます。正中断面に外側の付着部をすべて重ねず、表面と断面を行き来してたどります。

6. 外側の太い脚と、内側の上の脚

中小脳脚は橋から外側へ広がる太い付着部です。上小脳脚はその内側・頭側を通り、第四脳室上部の両側をたどります。下小脳脚は延髄の背外側から小脳へ続きます。名前の上・中・下は小脳全体を水平に三枚へ切り分ける意味ではなく、脳幹との付着部を見分ける目印です。これらの組織の道を、第四脳室の液を含む空間に置き換えません。

7. 第四脳室の小脳側には屋根がある

第四脳室は橋・上部延髄と小脳の間にあります。脳幹の背面が前方の底をつくり、その反対の小脳側に屋根が位置します。屋根の上部は、左右の上小脳脚の間に張る上髄帆です。下部には下髄帆と脈絡組織が関わります。小脳のふくらみをそのまま空洞とせず、腔と薄い屋根の組織、さらに後方の小脳実質を分けます。髄帆のような薄い組織も、小脳脚のような太い束も、腔の名前とは異なります。

左右の小脳脚と上髄帆の局所配置

脳幹を背側から見た局所配置で、頭側が上、本人の右は画面右。小脳の大部分と第四脳室屋根の下部を省き、脳幹背面の底と左右の付着部を見せる。上小脳脚は内側・頭側で第四脳室上部の両側をたどり、その間に上髄帆を残す。中小脳脚は外側の太い付着、下小脳脚は延髄の背外側から外へ続く束として示す。明るい太い帯は白質組織で、血管や液を運ぶ管ではない。断端は小脳側へ続く部分の省略で、独立した棒や全線維の通過方向を示さない。下髄帆・脈絡組織の個別形はこの図に描かず本文で扱う。
左右の三つの脚を、内側の上の付着と外側の太い付着、延髄側の付着として分けます。上髄帆は左右の上小脳脚の間に張る屋根の組織です。

8. 外形の区分と奥の連続を重ねる

上面では虫部と半球、一次裂を基準に大きな区分を読み、下面では小節と左右の片葉を確かめます。断面へ移ると、外側の皮質と枝分かれした白質、脳幹との間の第四脳室が見えます。外側の付着部をたどる図では、左右の三つの脚を別の束として保ちます。見える向きが変わっても、裂の境界、組織の連続、腔の位置を混ぜずにたどります。

用語を確かめる

小脳半球
虫部の左右にある小脳のふくらみ。
虫部
左右の小脳半球の間にある正中の部分。
小脳葉
小脳の表面の細かなひだ。
前葉
一次裂の前側にある形態上の小脳葉。
後葉
前葉と片葉小節葉の間で、上面から下面へ広がる部分。
一次裂
前葉と後葉を分ける裂。
後外側裂
後葉と片葉小節葉を分ける裂。
片葉小節葉
正中の小節と左右の片葉からなる形態上の小脳葉。
小節
虫部の前下部にある、片葉小節葉の正中の部分。
片葉
小脳の前外側、脳幹への付着部付近にある左右の小部分。
小脳皮質
小脳の表面を覆う灰白質。
小脳活樹
断面で見える、内部白質の樹木のような枝分かれ。
上小脳脚
第四脳室上部の両側を通る、左右一対の小脳の連絡。
中小脳脚
橋から外側へ広がる太い、左右一対の小脳の付着部。
下小脳脚
延髄の背外側から小脳へ続く、左右一対の連絡。
上髄帆
左右の上小脳脚の間に張る、第四脳室屋根の上部の組織。
下髄帆
第四脳室屋根の下部に関わる薄い組織。
脈絡組織
第四脳室屋根の下部の形成に関わる薄い組織。