小脳の外形・脚と第四脳室の屋根を読む
本文の目次
- 左右のふくらみと正中の虫部
- 二つの裂で形態上の三葉を分ける
- 下面で片葉と小節を探す
- 外の皮質と内の枝分かれ
- 三つの脚は左右にある付着部
- 外側の太い脚と、内側の上の脚
- 第四脳室の小脳側には屋根がある
- 外形の区分と奥の連続を重ねる
1. 左右のふくらみと正中の虫部
小脳には左右の半球があり、その間の正中に虫部があります。表面の細かいひだを小脳葉と呼び、ひだの間には溝が走ります。この細かいひだと、前葉などの大きな区分を分けて読みます。上から見ると左右の半球と虫部が並びますが、下面では虫部が半球の間に深く入るため、見える外形が変わります。小脳は脳幹に付着していても、脳幹の一部分という名前にはなりません。
2. 二つの裂で形態上の三葉を分ける
小脳の形態上の大きな区分は、前葉、後葉、片葉小節葉です。一次裂は前葉と後葉の境界、後外側裂は後葉と片葉小節葉の境界です。前葉は一次裂より前側で主に上面に見え、後葉は上面から下面へ大きく広がります。表面のすべての溝を同じ大きさの区分の境界にはせず、名前の付いた裂を目印にたどります。
上面の虫部・左右半球と一次裂
3. 下面で片葉と小節を探す
片葉小節葉は、虫部の前下部にある小節と、左右の前外側にある片葉からなります。片葉は脳幹との付着部付近で見つける小さな部分です。一つの葉の名前が、正中と左右に分かれた部分をまとめています。外周をたどる水平裂は上面と下面の間の目印で、前葉と後葉を分ける一次裂とは別です。裂による形態上の区分と、連絡や働きによる区分は同じ線引きではありません。
下面の片葉小節葉と後外側裂
4. 外の皮質と内の枝分かれ
小脳の表面は灰白質の皮質で覆われ、内側には白質があります。断面では白質が枝分かれして、皮質のひだへ続く様子が見えます。この樹木のような形を小脳活樹と呼びます。枝分かれは内側の白質の形で、表面から外へ突き出る血管の枝ではありません。内部白質には灰白質の深部核も含まれます。正中矢状断で切る実質は虫部で、外側の半球やすべての深部核が一枚にそろうわけではありません。
正中断面の皮質・白質と第四脳室
5. 三つの脚は左右にある付着部
小脳と脳幹を結ぶ上・中・下小脳脚は、それぞれ左右一対です。小脳の前方へ回ると、白質の線維束が脳幹へ続く付着部として見えます。一本の中央の棒に三つの名前が付くのではありません。脳幹の高さとの主な対応を保ちながら、左右の連絡と奥行きを確かめます。正中断面に外側の付着部をすべて重ねず、表面と断面を行き来してたどります。
6. 外側の太い脚と、内側の上の脚
中小脳脚は橋から外側へ広がる太い付着部です。上小脳脚はその内側・頭側を通り、第四脳室上部の両側をたどります。下小脳脚は延髄の背外側から小脳へ続きます。名前の上・中・下は小脳全体を水平に三枚へ切り分ける意味ではなく、脳幹との付着部を見分ける目印です。これらの組織の道を、第四脳室の液を含む空間に置き換えません。
7. 第四脳室の小脳側には屋根がある
第四脳室は橋・上部延髄と小脳の間にあります。脳幹の背面が前方の底をつくり、その反対の小脳側に屋根が位置します。屋根の上部は、左右の上小脳脚の間に張る上髄帆です。下部には下髄帆と脈絡組織が関わります。小脳のふくらみをそのまま空洞とせず、腔と薄い屋根の組織、さらに後方の小脳実質を分けます。髄帆のような薄い組織も、小脳脚のような太い束も、腔の名前とは異なります。
左右の小脳脚と上髄帆の局所配置
8. 外形の区分と奥の連続を重ねる
上面では虫部と半球、一次裂を基準に大きな区分を読み、下面では小節と左右の片葉を確かめます。断面へ移ると、外側の皮質と枝分かれした白質、脳幹との間の第四脳室が見えます。外側の付着部をたどる図では、左右の三つの脚を別の束として保ちます。見える向きが変わっても、裂の境界、組織の連続、腔の位置を混ぜずにたどります。
用語を確かめる
- 小脳半球
- 虫部の左右にある小脳のふくらみ。
- 虫部
- 左右の小脳半球の間にある正中の部分。
- 小脳葉
- 小脳の表面の細かなひだ。
- 前葉
- 一次裂の前側にある形態上の小脳葉。
- 後葉
- 前葉と片葉小節葉の間で、上面から下面へ広がる部分。
- 一次裂
- 前葉と後葉を分ける裂。
- 後外側裂
- 後葉と片葉小節葉を分ける裂。
- 片葉小節葉
- 正中の小節と左右の片葉からなる形態上の小脳葉。
- 小節
- 虫部の前下部にある、片葉小節葉の正中の部分。
- 片葉
- 小脳の前外側、脳幹への付着部付近にある左右の小部分。
- 小脳皮質
- 小脳の表面を覆う灰白質。
- 小脳活樹
- 断面で見える、内部白質の樹木のような枝分かれ。
- 上小脳脚
- 第四脳室上部の両側を通る、左右一対の小脳の連絡。
- 中小脳脚
- 橋から外側へ広がる太い、左右一対の小脳の付着部。
- 下小脳脚
- 延髄の背外側から小脳へ続く、左右一対の連絡。
- 上髄帆
- 左右の上小脳脚の間に張る、第四脳室屋根の上部の組織。
- 下髄帆
- 第四脳室屋根の下部に関わる薄い組織。
- 脈絡組織
- 第四脳室屋根の下部の形成に関わる薄い組織。