頭部の神経節から、眼内筋と涙腺・唾液腺へ
本文の目次
1. 毛様体神経節から、二つの眼内筋へ
動眼神経IIIに伴う節前副交感線維は、眼窩の毛様体神経節で節後ニューロンへつながります。その節後線維は短毛様体神経に伴い、虹彩の瞳孔括約筋と毛様体筋へ届きます。瞳孔の大きさを変える筋と、水晶体の形の調節に関わる筋に、同じ神経節からの出力が届くと整理できます。対光反射の入力や、近くを見るときの筋の働きは、それぞれの説明につなげましょう。
2. 短毛様体神経には、別の役割の線維も入る
短毛様体神経という枝全体を、副交感線維だけの束とは考えません。眼から戻る感覚線維や、交感線維も含まれます。感覚・交感線維は、毛様体神経節で副交感線維と同じ中継をするわけではありません。枝の名前、そこに入る線維の役割、神経節で中継する線維を分けると、二つの眼内筋への副交感出力を追いやすくなります。
毛様体神経節の節後出力
3. 涙腺へは、頬骨神経側から涙腺神経側へ
涙腺へ向かう副交感線維は、顔面神経VIIの大錐体神経側から翼口蓋神経節に入り、そこで節後ニューロンへつながります。代表的な節後の経路は、三叉神経の上顎神経V2に属する頬骨神経側に伴い、交通枝を介して眼神経V1に属する涙腺神経側へ移り、涙腺へ届きます。途中でV2側からV1側の枝へ移っても、節前の由来がVIIであることは変わりません。
4. 神経の連絡と、涙が流れる管を分ける
ここで追うのは、涙腺へ分泌の出力が届く神経の連絡です。涙が眼の表面から涙点・涙小管・涙嚢・鼻涙管へ進む経路とは別です。頬骨神経側と涙腺神経側の交通枝や細枝には個体差があります。代表経路の図は、全員の枝の数や位置を一つに固定する地図としては使いません。
翼口蓋神経節から涙腺へ
5. 顎下神経節から、腺へ二方向に続く
鼓索に由来して舌神経に伴う節前副交感線維は、顎下神経節で節後ニューロンへつながります。節後線維のうち、顎下腺へ向かうものは腺への枝に続きます。別の節後線維は舌神経に再び伴い、舌下腺側へ向かいます。舌神経には一般感覚の線維もあるので、この名前だけで全てを節前や感覚に分類せず、中継の前後と行き先を合わせて読みましょう。細かな分岐には個体差があります。
顎下神経節の節後の二方向
用語を確かめる
- 節前線維
- 自律神経の中枢側のニューロンから神経節へ向かう軸索。
- 節後線維
- 神経節のニューロンから標的へ向かう軸索。
- 中継
- ここでは節前ニューロンが神経節で節後ニューロンへ信号を伝える連絡。一本の軸索がそのまま伸び続けることと区別する。
- 毛様体神経節
- 眼窩にあり、IIIの節前副交感線維が節後へつながる神経節。
- 短毛様体神経
- 毛様体神経節側から眼球へ続く枝。副交感・交感・感覚という役割の異なる線維を含む。
- 瞳孔括約筋
- 虹彩にある平滑筋で、収縮により瞳孔を小さくする。
- 毛様体筋
- 毛様体にある平滑筋。水晶体の調節に関わる。
- 翼口蓋神経節
- VII大錐体側の節前副交感線維が中継する神経節。
- 頬骨神経
- 上顎神経V2の枝。涙腺への代表経路では節後副交感線維がこの枝の側に伴う。
- 交通枝
- 神経枝どうしをつなぐ枝。ここでは頬骨神経側と涙腺神経側の連絡を扱う。
- 涙腺神経
- 眼神経V1の枝。代表経路で副交感線維が伴い涙腺へ届く。枝の名称と副交感節前の由来は別。
- 顎下神経節
- 鼓索由来の節前副交感線維が舌神経に伴って達し、中継する神経節。
- 舌神経
- 下顎神経V3の枝。一般感覚線維に加え、途中で鼓索由来の線維などが伴う。
- 腺枝
- 腺へ向かう神経の枝。唾液を流す導管とは別の構造。
- 伴行
- 別の由来や役割の線維が、神経枝の経路を一緒に通ること。中枢の由来がその枝へ変わる意味ではない。