腰の深い筋と短い椎骨間の連結
本文の目次
- 腰の後ろの壁と背側の短い連結
- 腰方形筋の付着を上下に追う
- 腰方形筋の作用は固定された側で変わる
- 腰方形筋の前後と神経
- 小腰筋は大腰筋と同じ行き先ではない
- 小腰筋の作用と神経を分ける
- 腰の棘間と横突間は別の短い道
- 回旋筋の短長と発達する高さ
- 付着・位置・神経を合わせて読む
1. 腰の後ろの壁と背側の短い連結
腰の深い位置には、腰方形筋や小腰筋と、椎骨の後方側を短く結ぶ筋束があります。腰方形筋は腹部の後ろの壁の外側寄りにあり、小腰筋は存在する場合、大腰筋の前面側にあります。背側の棘間筋・横突間筋などは椎骨の突起どうしを結ぶ短い連結です。同じ腰の筋でも、起点・届く先・神経の前枝と後枝を分けて追います。
2. 腰方形筋の付着を上下に追う
腰方形筋には、腸骨稜や腸腰靭帯側から、第12肋骨と上部腰椎の横突起側へ向かう筋束があります。代表的な腰椎横突起の範囲はL1〜L4ですが、すべての束を同じ一本へまとめません。腰椎の横突起側から第12肋骨へ向かう束もあり、付着どうしを結ぶ向きを分けます。腸骨から上へつながる部分と、腰椎から肋骨へつながる部分を、一つの固定した線だけで表しません。
3. 腰方形筋の作用は固定された側で変わる
腰方形筋は一側が働くと同じ側への腰部の側屈を助け、両側の働きは腰部の伸展と位置の支持に関わります。腸骨が固定されれば上方の体幹を動かす側へ、胸郭側が固定されれば骨盤を引き上げる側へ働き得ます。第12肋骨を支える働きもありますが、付着や固定の条件を外して、すべての場面で同じ動きだけを起こすとはしません。
腰方形筋の付着
4. 腰方形筋の前後と神経
腰方形筋は大腰筋の外側寄りで腹部後壁に位置し、腎の後方側の関係として読みます。通常の運動神経は肋下神経T12と腰神経の前枝L1〜L4側です。深い腰の筋という位置だけから、神経を一律に後枝へ変えることはできません。腎からの尿の通路や神経叢の枝の詳しい走行は、既存の腎・下肢神経の教材へつなぎます。
5. 小腰筋は大腰筋と同じ行き先ではない
小腰筋はない人もあり、左右とも必ず同じ形で存在するとはしません。存在する通常の模型ではT12・L1の椎体側とその間の椎間板付近から起こり、大腰筋の前面側を下がって細長い腱へ続きます。腱は腸恥隆起・恥骨櫛付近と腸骨筋膜側へ届きます。大腰筋のように大腿骨の小転子まで続く筋として、行き先を入れ替えません。
6. 小腰筋の作用と神経を分ける
小腰筋の代表的な運動神経はL1の前枝側です。体幹の弱い屈曲を助け、腸骨筋膜に張力を与える関係として読みます。存在や筋腹と腱の形には違いがあります。大腿骨へ停止しない通常の付着から、股関節を強く曲げる大腰筋と同じ作用だけを答えることはできません。名前に腰筋が共通していても、停止と運動神経をそれぞれ追います。
小腰筋の前後と停止
7. 腰の棘間と横突間は別の短い道
腰の棘間筋群は隣り合う棘突起側を、腰の横突間筋群は隣り合う横突起側の短い道を結びます。両者を同じ付着に入れ替えません。棘間筋群の後枝の運動神経と、横突間筋群の部位・筋束による前枝または後枝の違いは、既存の背部の付着・作用・神経の説明で対応させます。腰部の内外の束や各高さのすべての形は一つの線では表せません。
位置と神経の枝を分ける
8. 回旋筋の短長と発達する高さ
回旋筋群には、横突起側から一つ上の椎弓・棘突起の基部側へ届く短い束と、二つ上へ届く長い束の代表的な違いがあります。主に胸部で明瞭な連結を、腰のすべての高さに必ず同じ形で置きません。回旋筋群の作用・後枝の神経と他の横突棘筋との重なりは、既存の背部教材へつなぎます。短長は同じ腱の二頭という意味ではなく、椎骨の間をまたぐ筋束の違いです。
9. 付着・位置・神経を合わせて読む
腰方形筋の腸骨・肋骨・腰椎の連結、小腰筋の体幹から骨盤側への連結、背側の短い椎骨間の連結を分けて読むと、同じ腰部でも働く位置の違いが分かります。筋束の付着と固定される側を確かめ、前枝・後枝の神経を名前や深さだけで推測しません。小腰筋の存在や回旋筋の発達の違いを残したまま、通常の主要な道をたどります。
用語を確かめる
- 腰方形筋
- 腸骨・腰椎横突起・第12肋骨をつなぐ腹部後壁の筋。
- 小腰筋
- 存在する場合に大腰筋の前面側から骨盤側へ続く筋。
- 腸骨稜
- 腸骨の上縁。腰方形筋の付着側の一つ。
- 腸腰靭帯
- 腰椎側と腸骨側を結ぶ靭帯。
- 第12肋骨
- 腰方形筋の上方の付着側に関わる最下位の肋骨。
- 横突起
- 椎骨の左右へ出る突起。
- 棘突起
- 椎骨の後方へ出る突起。
- 椎弓
- 椎体の後方側で椎孔を囲む弓状の骨。
- 側屈
- 体幹などを横へ曲げる運動。
- 腸恥隆起
- 腸骨と恥骨の境の隆起付近。
- 恥骨櫛
- 恥骨の上側を通る稜。
- 腸骨筋膜
- 腸骨筋・大腰筋側を覆う筋膜。
- 肋下神経
- 第12胸神経の前枝側の神経。
- 脊髄神経前枝
- 脊髄神経が分かれた前側の枝。深い筋にも関わる。
- 脊髄神経後枝
- 背側の短い筋などへ続く脊髄神経の枝。
- 棘間筋群
- 隣り合う棘突起側を短く結ぶ筋束のまとまり。
- 横突間筋群
- 隣り合う横突起側を短く結ぶ筋束のまとまり。
- 回旋筋群
- 横突起側から上方の椎弓・棘突起基部側へ届く短長の筋束。