膵と脾:部位・腹膜・血管と管のつながり
本文の目次
- 胃の後ろから脾門側へ
- 頭・頸・体・尾を分ける
- 十二指腸と胆管を頭部の周りで読む
- 胃・網嚢・膵を前後で読む
- 頸部の背側に門脈の合流がある
- 鉤状突起と腸間膜血管の前後
- 膵管は尾部から十二指腸側へ続く
- 膵の主要部と尾部の腹膜関係
- 脾の外側は横隔膜に向く
- 脾門を臓側面の隣接から読む
- 胃脾間膜と脾腎間膜を分ける
- 脾動脈と脾静脈は別の走行
- 静脈の合流から肝へ向かう
- 臓器の近接と別の通路を合わせる
1. 胃の後ろから脾門側へ
膵は上腹部で胃の後方に横たわる。本人の右側の膵頭部は十二指腸のC字状の曲がりに囲まれ、体部から尾部は左側の脾門へ向かう。脾は左上腹部の臓器である。前から見た本人の右は画面左になるため、頭部側と尾部側を画面の左右だけで覚えず、十二指腸と脾の位置を合わせる。
2. 頭・頸・体・尾を分ける
膵は頭部、頸部、体部、尾部に分けて読む。頭部の左側へ続く短い部分が頸部で、その先が体部、脾門側へ細く続く部分が尾部である。鉤状突起は頭部の下部から内側へ伸びる部分で、尾部を頭部側へ折り返したものではない。外形の区分と、内部を通る管の区分は同じ境界線ではない。
膵頭頸体尾と、十二指腸・脾の位置
3. 十二指腸と胆管を頭部の周りで読む
十二指腸は膵頭部を囲むように曲がる。総胆管の下部は通常、頭部の後方の溝や膵組織内を通り、十二指腸側へ向かう。膵頭部、胆管、十二指腸は近接するが、膵の外形を十二指腸の内腔と同じ管としてつながない。胆管の通り方にも型差がある。
4. 胃・網嚢・膵を前後で読む
胃の後面と膵の前面の間には網嚢が関係する。網嚢は腹膜腔の一部で、胃の内腔や膵管とは別の空間である。膵体部の後方には大動脈や左腎などが関係する。横からの前後を見るときは、前面図の本人左右と別の軸で読み、近接する臓器を一つの内腔へ合流させない。
5. 頸部の背側に門脈の合流がある
門脈につながる上腸間膜静脈と脾静脈の合流部は通常、膵頸部の後方に位置する。頸部の外形と、その背側で二つの静脈が一つへ集まる関係を分ける。血液はこの合流から門脈を通って肝へ向かう。膵頸部を貫く膵管へ静脈が流れ込む配置ではない。
6. 鉤状突起と腸間膜血管の前後
上腸間膜動脈と上腸間膜静脈は通常、膵頸部の後方、鉤状突起の前方に関係する。頭部の下部から伸びる鉤状突起と、前方を通る血管の関係を読む。動脈と静脈は別の血管であり、二本の内腔がここで一つへ融合するわけではない。形や血管との接し方には幅がある。
7. 膵管は尾部から十二指腸側へ続く
主膵管は膵の尾部側から体部、頭部側へ続き、膵液が十二指腸側へ向かう通路である。総胆管と合流する代表的な型では肝膵膨大部を経て大十二指腸乳頭へ開く。副膵管が開く型では小十二指腸乳頭へ続き、その開口は大乳頭より近位側にある。管の合流、副膵管の有無や開口には型差がある。副膵管は頭部側の管として読み、主膵管との交通にも型差がある。尾部が脾門に近づいても、膵管が脾の中へ開くわけではない。
主膵管・副膵管と、十二指腸への出口
8. 膵の主要部と尾部の腹膜関係
膵の主要部は後腹膜の配置をとる。一方、尾部は脾門側へ伸び、脾腎間膜内に位置する通常の関係を持つ。脾腎間膜は腹膜の折り返しであり、膵尾部や脾血管がその間に関係する。膵全体を同じ腹膜被覆の平らな板として扱わず、体部側と尾部側の違いを読む。
胃・膵体部、頸部合流、鉤状突起の前後
9. 脾の外側は横隔膜に向く
脾は通常、左上腹部にあり、横隔面は横隔膜側を向く。左第9〜11肋骨の内側に関係する位置を、肋骨の外にある臓器と取り違えない。臓側面は腹部の他の臓器側を向く。形や高さは呼吸や個体差でも変わるため、前面図の一つの外形だけを全例の位置として固定しない。
10. 脾門を臓側面の隣接から読む
脾の臓側面は胃、左腎、左結腸曲や膵尾部側などに関係する。血管などが出入りする脾門は臓側面にあり、膵尾部が近づく側である。横隔面と臓側面を区別すると、横隔膜に向く外側の面と、臓器・血管に関係する内側寄りの面を読み分けられる。脾門を胃の内腔や膵管の開口とはしない。
11. 胃脾間膜と脾腎間膜を分ける
胃脾間膜は胃側と脾側を結ぶ腹膜の折り返しである。脾腎間膜は脾側と左腎の前方の後腹壁側を結ぶ。膵尾部と脾血管は脾腎間膜内に関係する。二つの名前を同じ一本の管に置き換えず、どこからどこへ腹膜が続くかを読む。腎の尿路が脾へ合流する関係でもない。
脾の横隔面・臓側面と、胃脾・脾腎間膜
12. 脾動脈と脾静脈は別の走行
脾動脈は通常、腹腔動脈の枝として始まり、膵の上縁に沿って曲がりながら脾門側へ向かう。脾から出る脾静脈は通常、膵体部の後方を本人の右へ向かい、門脈の合流側へ続く。上縁を通る供給路と、背側を通る帰還路を同じ一本の膵管とはしない。膵の動脈供給には腹腔動脈系と上腸間膜動脈系が関係する。
13. 静脈の合流から肝へ向かう
脾静脈と上腸間膜静脈が合流して門脈につながる。下腸間膜静脈は通常、脾静脈側へ合流するが、その合流の型差も分けて読む。門脈は脾などからの血液を肝へ運ぶ血管である。主な合流関係と、全ての支流の位置や数を同じ固定図にまとめず、合流部が通常は膵頸部の後方にあることと血液の向きを合わせる。
膵上縁の脾動脈と、背側静脈の門脈合流
14. 臓器の近接と別の通路を合わせる
膵尾部、脾門、脾血管は近接するが、主膵管が脾へ流れ込む配置ではない。膵管の出口は十二指腸側、脾静脈の帰還は門脈側である。脾の血管出入を、リンパ節へ入るリンパ管と同じ入口としても読まない。臓器の外形、腹膜の折り返し、管の内腔、血液の分岐・合流を分けると、近い場所にある構造を同じ道にしてしまう誤読を避けられる。
用語を確かめる
- 膵頭部
- 十二指腸のC字状の曲がりに囲まれる膵の区分。
- 膵頸部
- 頭部から体部へ続く短い部分で、通常は背側に門脈の合流が関係する。
- 膵体部
- 頸部から本人の左側へ続く膵の主要部。
- 膵尾部
- 脾門側へ伸びる膵の区分で、通常は脾腎間膜内に関係する。
- 鉤状突起
- 膵頭部の下部から内側へ伸び、通常は上腸間膜血管の後方に関係する部分。
- 上腸間膜動脈
- 小腸などへ供給し、通常は膵頸部の後方・鉤状突起の前方に関係する動脈。
- 上腸間膜静脈
- 腸などからの血液を集め、通常は脾静脈との合流から門脈につながる静脈。
- 主膵管
- 膵の尾部側から頭部側へ続き、十二指腸側へ開く膵液の主な通路。
- 副膵管
- 存在し開く型では、小十二指腸乳頭へ続く膵の管。
- 肝膵膨大部
- 代表的な胆膵合流型で、総胆管と主膵管の合流から大乳頭側へ続く部分。
- 大十二指腸乳頭
- 通常、十二指腸下行部にある胆膵管の開口の隆起。
- 小十二指腸乳頭
- 副膵管が開く型の開口の隆起で、大乳頭より近位側に位置する。
- 網嚢
- 胃の後方などに関係する腹膜腔の一部で、胃の内腔や膵管とは別の空間。
- 胃脾間膜
- 胃側と脾側を結ぶ腹膜の折り返し。
- 脾腎間膜
- 脾側と左腎前方の後腹壁側を結び、膵尾部や脾血管が関係する腹膜の折り返し。
- 脾門
- 脾の臓側面で血管などが出入りし、膵尾部が近づく部位。
- 横隔面
- 脾の横隔膜側を向く面。
- 臓側面
- 脾の胃・左腎などの腹部臓器側を向く面。
- 脾動脈
- 通常、腹腔動脈から始まり、膵上縁沿いに脾門へ向かう供給の血管。
- 脾静脈
- 脾から出た血液が、通常は膵体部の後方を通って門脈の合流へ向かう血管。
- 門脈
- 上腸間膜静脈と脾静脈の合流からつながり、脾などの血液を肝へ運ぶ血管。
- 後腹膜
- 腹膜の後方に位置する配置で、膵の主要部などに関係する。