肺葉・肺門と胸膜、区域へ続く気管支と血管
本文の目次
- 肺の上・下・外側・内側
- 左肺と心臓の隣接
- 肺葉と裂は、区域より大きい区分
- 右肺の水平裂と斜裂、左肺の斜裂
- 側面で、前後と肺葉を対応させる
- 臓側胸膜は肺を、壁側胸膜は胸壁側を覆う
- 胸膜腔は二層の間の薄い空間
- 肺門という領域と、肺根という束
- 肺門で二つの胸膜が続く
- 気管から左右の主気管支へ
- 主気管支、葉気管支、区域気管支
- 区域の内部へ、気管支と肺動脈の枝が入る
- 区域間の静脈と、区域内からの集まり
- 血液は毛細血管から肺静脈、肺門へ戻る
- 区域番号と左肺の結合表記を分けて読む
1. 肺の上・下・外側・内側
左右の肺は縦隔を挟んで胸郭内にある。肺尖は上端、肺底は横隔膜に接する下側である。肋骨面は胸壁の肋骨に向かい、縦隔面は心臓などがある内側を向く。肺を上下に区分することと、肋骨側・縦隔側の面を区別することを、別の目印として読む。
2. 左肺と心臓の隣接
左肺には心臓に対応する心切痕がある。右肺は左肺より短く幅広い形で、左右を同じ大きさの袋として重ねない。肺の縦隔面は心臓などに面し、肺門もこの内側の面にある。心切痕、肺門、肺葉の裂は、それぞれ異なる位置と意味をもつ。
3. 肺葉と裂は、区域より大きい区分
右肺には上葉・中葉・下葉、左肺には上葉・下葉がある。肺葉の間を区分する裂と、一つの肺葉の内部にある肺区域を分けて読む。区域は肺葉より小さい単位で、上葉という葉の名前を一つの区域の番号と置き換えない。
4. 右肺の水平裂と斜裂、左肺の斜裂
右肺の水平裂は上葉と中葉を分け、斜裂は下葉を上葉・中葉から分ける。左肺の主な裂は上葉と下葉を分ける斜裂で、右肺の中葉と同じ一葉を加えない。裂の入り方には個体差があり、完全に同じ境界が全例にあるという意味ではない。
5. 側面で、前後と肺葉を対応させる
外側面で見ると、通常の斜裂は後上方から前下方へ向かう。下葉は後方・下方に大きく広がり、右肺の中葉は前方側にある。前面だけを見た区分図から、下葉を肺の真下にだけある小さな部分と考えない。側面図では前後の表示を先に確認する。
肺葉と裂を側面の前後で読む
6. 臓側胸膜は肺を、壁側胸膜は胸壁側を覆う
臓側胸膜は肺表面に密着し、肺葉の裂の中へも続く。壁側胸膜は胸壁、横隔膜、縦隔の側を覆う。肺の外面の層と、胸郭の内面の層を取り替えない。裂の中を覆う胸膜を、気管支や肺動脈が通る管として描かない。
7. 胸膜腔は二層の間の薄い空間
胸膜腔は臓側胸膜と壁側胸膜の間にある。正常では両層の間に薄い胸膜液があり、呼吸による動きの摩擦を減らす。肺の内部に入る空気は気管支の内腔を通り、血液は血管の内腔を通る。胸膜腔を空気や血液の通常の通り道として結ばない。
8. 肺門という領域と、肺根という束
肺門は肺の縦隔面にある出入り口の領域である。そこを通り、肺と縦隔を結ぶ気管支・肺動静脈・リンパ管・神経などの束が肺根である。肺門は門のある場所、肺根はそこを渡る構造の集まりとして区別する。肺根に含まれる別々の管が、一つの共通の内腔になるわけではない。
9. 肺門で二つの胸膜が続く
肺を覆う臓側胸膜と、縦隔側を覆う壁側胸膜は、肺門のところで続く。肺根の構造はこの出入り口を通り、肺の中の気管支や血管へ連続する。胸膜の反転する層と、その間を通る気管支・血管の束を分けて読む。胸膜腔の内腔を介して肺根の各管が合流するわけではない。
肺門・肺根と胸膜二層の連続
10. 気管から左右の主気管支へ
気管は左右の主気管支へ分かれ、主気管支はそれぞれの肺門から肺内へ入る。気管の後側には食道があり、空気の道と食物の道は別の管である。左右の主気管支が分かれるところと、肺葉に分かれる段階、肺区域へ分かれる段階を一つの分岐として重ねない。
11. 主気管支、葉気管支、区域気管支
主気管支は一つの肺へ、葉気管支は一つの肺葉へ、区域気管支は一つの肺区域へ向かう。通常、右は三つの肺葉、左は二つの肺葉に対応して葉気管支が分かれる。区域気管支の先には細気管支が続く。階層の名前と、一本ずつの分岐の形・本数・番号を区別する。
12. 区域の内部へ、気管支と肺動脈の枝が入る
一つの肺区域には対応する区域気管支と肺動脈の枝が入る。肺動脈の枝は気管支に沿って分かれるが、血液は気管支の内腔へ流れ込まない。空気の管と血液の管は近くを進む別の通路である。区域はこの枝と肺実質の対応で理解し、葉間裂で一つずつ分かれた袋とは考えない。
主・葉・区域気管支を階層で読む
13. 区域間の静脈と、区域内からの集まり
肺静脈の主な枝は隣り合う区域の境界付近を走り、区域の内部の細い静脈からも血液を集める。区域内の気管支・肺動脈の枝と、区域間を走る静脈の関係を分けて読む。全ての肺静脈が境界だけを走るわけではなく、境界の線が完全な隔壁や葉間裂であるという意味でもない。
14. 血液は毛細血管から肺静脈、肺門へ戻る
肺動脈の枝は肺胞近くの毛細血管網へ続き、その先の血液は細い静脈から肺静脈へ集まる。区域間を走る主な静脈にも集められ、肺静脈は肺門から出る。気管支に沿って入る動脈の道と、血液を集めて出る静脈の道は、全て同じ枝分かれの線を往復するものではない。
区域内の気管支・動脈と区域間静脈
15. 区域番号と左肺の結合表記を分けて読む
Sは肺区域を対応させる番号で、肺葉の数や名前を表す番号ではない。左肺にはS1+2やS7+8のように隣り合う区域をまとめて記載する体系がある。結合した名称・番号を使うことと、全ての人で同じ枝の融合が存在することを分けて読む。左右の肺の区域数や配置を、番号の機械的な反転だけで同じにしない。
用語を確かめる
- 肺尖
- 肺の上端。
- 肺底
- 横隔膜に面する肺の下側。
- 肋骨面
- 胸壁の肋骨側に向く肺の面。
- 縦隔面
- 縦隔に向く肺の内側の面。肺門がある。
- 水平裂
- 通常、右肺で上葉と中葉を分ける裂。
- 斜裂
- 通常、右肺では下葉を上葉・中葉から、左肺では上葉と下葉を分ける裂。
- 臓側胸膜
- 肺表面と肺葉の裂の中を覆う胸膜。
- 壁側胸膜
- 胸壁・縦隔・横隔膜側を覆う胸膜。
- 胸膜腔
- 臓側胸膜と壁側胸膜の間の薄い空間。
- 肺門
- 肺の縦隔面にある気管支・血管などの出入り口の領域。
- 肺根
- 肺門を通って肺と縦隔をつなぐ構造の束。
- 主気管支
- 左右それぞれの肺へ入る気管支。
- 葉気管支
- 一つの肺葉へ向かう気管支の階層。
- 区域気管支
- 一つの肺区域へ向かう気管支の階層。
- 区域間の静脈
- 隣り合う肺区域の境界付近を走り、区域内からの血液も集める肺静脈の主な枝。
- 区域の結合表記
- 隣り合う区域を番号・名称としてまとめる表記。全例の同じ物理的融合を示すとは限らない。