肺葉・肺門と胸膜、区域へ続く気管支と血管

本文の目次

  1. 肺の上・下・外側・内側
  2. 左肺と心臓の隣接
  3. 肺葉と裂は、区域より大きい区分
  4. 右肺の水平裂と斜裂、左肺の斜裂
  5. 側面で、前後と肺葉を対応させる
  6. 臓側胸膜は肺を、壁側胸膜は胸壁側を覆う
  7. 胸膜腔は二層の間の薄い空間
  8. 肺門という領域と、肺根という束
  9. 肺門で二つの胸膜が続く
  10. 気管から左右の主気管支へ
  11. 主気管支、葉気管支、区域気管支
  12. 区域の内部へ、気管支と肺動脈の枝が入る
  13. 区域間の静脈と、区域内からの集まり
  14. 血液は毛細血管から肺静脈、肺門へ戻る
  15. 区域番号と左肺の結合表記を分けて読む

1. 肺の上・下・外側・内側

左右の肺は縦隔を挟んで胸郭内にある。肺尖は上端、肺底は横隔膜に接する下側である。肋骨面は胸壁の肋骨に向かい、縦隔面は心臓などがある内側を向く。肺を上下に区分することと、肋骨側・縦隔側の面を区別することを、別の目印として読む。

2. 左肺と心臓の隣接

左肺には心臓に対応する心切痕がある。右肺は左肺より短く幅広い形で、左右を同じ大きさの袋として重ねない。肺の縦隔面は心臓などに面し、肺門もこの内側の面にある。心切痕、肺門、肺葉の裂は、それぞれ異なる位置と意味をもつ。

3. 肺葉と裂は、区域より大きい区分

右肺には上葉・中葉・下葉、左肺には上葉・下葉がある。肺葉の間を区分する裂と、一つの肺葉の内部にある肺区域を分けて読む。区域は肺葉より小さい単位で、上葉という葉の名前を一つの区域の番号と置き換えない。

4. 右肺の水平裂と斜裂、左肺の斜裂

右肺の水平裂は上葉と中葉を分け、斜裂は下葉を上葉・中葉から分ける。左肺の主な裂は上葉と下葉を分ける斜裂で、右肺の中葉と同じ一葉を加えない。裂の入り方には個体差があり、完全に同じ境界が全例にあるという意味ではない。

5. 側面で、前後と肺葉を対応させる

外側面で見ると、通常の斜裂は後上方から前下方へ向かう。下葉は後方・下方に大きく広がり、右肺の中葉は前方側にある。前面だけを見た区分図から、下葉を肺の真下にだけある小さな部分と考えない。側面図では前後の表示を先に確認する。

肺葉と裂を側面の前後で読む

上段は右肺、下段は左肺の外側面を取り出し、どちらも画面左を前、画面右を後として示す。右肺の斜裂は後上方から前下方へ下り、下葉を後下方に置く。水平裂は前方から斜裂まで延びて上葉と中葉を分け、中葉を前方側に置く。左肺は斜裂で上葉と下葉を分け、中葉は描かない。各肺の側面を別々に同じ前後表示へそろえた通常の部分模式で、連続したカメラ投影、裂の固定角度、肋骨椎体レベル、完全裂や全例の形を示さない。
通常の外側面では斜裂は後上方から前下方へ向かい、下葉は後方・下方に広がります。右肺の中葉は前方側にあり、上葉との間に水平裂があります。両図の前は画面左、後は画面右です。通常の側面をそろえた模式で、裂の固定角度・完全性・精密投影・全例の境界を表しません。

6. 臓側胸膜は肺を、壁側胸膜は胸壁側を覆う

臓側胸膜は肺表面に密着し、肺葉の裂の中へも続く。壁側胸膜は胸壁、横隔膜、縦隔の側を覆う。肺の外面の層と、胸郭の内面の層を取り替えない。裂の中を覆う胸膜を、気管支や肺動脈が通る管として描かない。

7. 胸膜腔は二層の間の薄い空間

胸膜腔は臓側胸膜と壁側胸膜の間にある。正常では両層の間に薄い胸膜液があり、呼吸による動きの摩擦を減らす。肺の内部に入る空気は気管支の内腔を通り、血液は血管の内腔を通る。胸膜腔を空気や血液の通常の通り道として結ばない。

8. 肺門という領域と、肺根という束

肺門は肺の縦隔面にある出入り口の領域である。そこを通り、肺と縦隔を結ぶ気管支・肺動静脈・リンパ管・神経などの束が肺根である。肺門は門のある場所、肺根はそこを渡る構造の集まりとして区別する。肺根に含まれる別々の管が、一つの共通の内腔になるわけではない。

9. 肺門で二つの胸膜が続く

肺を覆う臓側胸膜と、縦隔側を覆う壁側胸膜は、肺門のところで続く。肺根の構造はこの出入り口を通り、肺の中の気管支や血管へ連続する。胸膜の反転する層と、その間を通る気管支・血管の束を分けて読む。胸膜腔の内腔を介して肺根の各管が合流するわけではない。

肺門・肺根と胸膜二層の連続

上段は正面からの肺の位置を整理した模式で、肺門の丸は内側の位置の記号である。画面左が本人の右、画面右が本人の左。肺尖を上、肺底を横隔膜側、肺門を縦隔に向く内側に示す。下段は一つの肺根周囲の層の連続を開いて示す概念図で、気管支、肺動脈、肺静脈を別々の管で肺へつなぐ。肺表面の臓側胸膜と外側の壁側胸膜を肺門のところで反転させ、層間を胸膜腔と表示する。気管支内腔と血管内腔や胸膜腔は合流しない。下段は身体の左右や実断面の投影、肺根内の気管支と動静脈の前後上下順序、胸膜反転全走行を示さない。
肺門は縦隔面の出入り口の領域で、肺根はそこを通る構造の束です。臓側胸膜と壁側胸膜は肺門で続きます。上段の肺門の丸は内側の位置の記号で、肺門が前面から直接見えるという意味ではありません。上段の輪郭は位置模式で、左右の幅・高さ・心切痕の精密描写ではありません。下段は層の連続を開いた概念図で、気管支・血管・胸膜腔は別の通路です。下段の上下は実際の肺根内の順序ではなく、肺根の精密配列・全胸膜の走行を表しません。

10. 気管から左右の主気管支へ

気管は左右の主気管支へ分かれ、主気管支はそれぞれの肺門から肺内へ入る。気管の後側には食道があり、空気の道と食物の道は別の管である。左右の主気管支が分かれるところと、肺葉に分かれる段階、肺区域へ分かれる段階を一つの分岐として重ねない。

11. 主気管支、葉気管支、区域気管支

主気管支は一つの肺へ、葉気管支は一つの肺葉へ、区域気管支は一つの肺区域へ向かう。通常、右は三つの肺葉、左は二つの肺葉に対応して葉気管支が分かれる。区域気管支の先には細気管支が続く。階層の名前と、一本ずつの分岐の形・本数・番号を区別する。

12. 区域の内部へ、気管支と肺動脈の枝が入る

一つの肺区域には対応する区域気管支と肺動脈の枝が入る。肺動脈の枝は気管支に沿って分かれるが、血液は気管支の内腔へ流れ込まない。空気の管と血液の管は近くを進む別の通路である。区域はこの枝と肺実質の対応で理解し、葉間裂で一つずつ分かれた袋とは考えない。

主・葉・区域気管支を階層で読む

気管から主気管支、葉気管支へ順につなぎ、主気管支の左に一つの肺へ、葉気管支の左に一つの肺葉へと表示する。葉気管支から二つの区域気管支の例へ分かれ、それぞれある区域へ、別の区域へと示す。下にその先は細気管支、肺胞へ続く空気の道と表示する。一つの主気管支・一つの葉気管支を選んだ階層の例で、二つの枝は全区域数ではない。実投影、左右の全分岐、S番号、亜区域枝や分岐変異を示さない。
主気管支は一つの肺、葉気管支は一つの肺葉、区域気管支は一つの肺区域へ向かいます。区域気管支の先には細気管支が続きます。図は選んだ一つの道の階層と二つの区域枝の例で、肺葉数・区域数・全分岐・実投影・番号の配置を表しません。緑の線は空気の通路です。

13. 区域間の静脈と、区域内からの集まり

肺静脈の主な枝は隣り合う区域の境界付近を走り、区域の内部の細い静脈からも血液を集める。区域内の気管支・肺動脈の枝と、区域間を走る静脈の関係を分けて読む。全ての肺静脈が境界だけを走るわけではなく、境界の線が完全な隔壁や葉間裂であるという意味でもない。

14. 血液は毛細血管から肺静脈、肺門へ戻る

肺動脈の枝は肺胞近くの毛細血管網へ続き、その先の血液は細い静脈から肺静脈へ集まる。区域間を走る主な静脈にも集められ、肺静脈は肺門から出る。気管支に沿って入る動脈の道と、血液を集めて出る静脈の道は、全て同じ枝分かれの線を往復するものではない。

区域内の気管支・動脈と区域間静脈

上段は隣り合う二区域の管の模式断面。各区域内部の空気の通路を緑の白抜き円の区域気管支、別の血液の管を赤い肺動脈枝の円として示す。二区域の境界付近に青い静脈の円を置き、区域間を走る静脈と名付ける。破線は説明のための境界で、葉間裂・完全な隔壁・全静脈の位置ではない。下段は血液の連続を、肺動脈の枝から肺毛細血管網、肺静脈、肺門から出る道へつなぐ。空気の気管支内腔は血管の内腔と合流しない。実断面の投影、区域名・S番号・厳密な境界・全静脈分枝は示さない。
区域内部では気管支と肺動脈の枝が近くを進む別の管です。肺静脈の主な枝は区域の境界付近を走り、区域内の細い静脈からも血液を集めます。破線は葉間裂や完全な隔壁ではなく、全静脈の位置も示しません。下段は肺動脈の枝から毛細血管網、肺静脈、肺門へ続く血液の道です。赤・青は名前付き血管を区別し、酸素量を表しません。

15. 区域番号と左肺の結合表記を分けて読む

Sは肺区域を対応させる番号で、肺葉の数や名前を表す番号ではない。左肺にはS1+2やS7+8のように隣り合う区域をまとめて記載する体系がある。結合した名称・番号を使うことと、全ての人で同じ枝の融合が存在することを分けて読む。左右の肺の区域数や配置を、番号の機械的な反転だけで同じにしない。

用語を確かめる

肺尖
肺の上端。
肺底
横隔膜に面する肺の下側。
肋骨面
胸壁の肋骨側に向く肺の面。
縦隔面
縦隔に向く肺の内側の面。肺門がある。
水平裂
通常、右肺で上葉と中葉を分ける裂。
斜裂
通常、右肺では下葉を上葉・中葉から、左肺では上葉と下葉を分ける裂。
臓側胸膜
肺表面と肺葉の裂の中を覆う胸膜。
壁側胸膜
胸壁・縦隔・横隔膜側を覆う胸膜。
胸膜腔
臓側胸膜と壁側胸膜の間の薄い空間。
肺門
肺の縦隔面にある気管支・血管などの出入り口の領域。
肺根
肺門を通って肺と縦隔をつなぐ構造の束。
主気管支
左右それぞれの肺へ入る気管支。
葉気管支
一つの肺葉へ向かう気管支の階層。
区域気管支
一つの肺区域へ向かう気管支の階層。
区域間の静脈
隣り合う肺区域の境界付近を走り、区域内からの血液も集める肺静脈の主な枝。
区域の結合表記
隣り合う区域を番号・名称としてまとめる表記。全例の同じ物理的融合を示すとは限らない。