失踪宣告の取消しと条文上の効果
法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 この単元では、2026年4月1日以後の失踪宣告の取消しと、条文に定める効果を考えます。法令の基準日は2026年4月1日です。
本文の目次
1. 二つの取消原因
失踪者が生存すること、又は31条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったとき、32条1項は失踪宣告の取消しを定める。両方の証明をそろえる規定ではなく、どちらかの証明である。
2. 本人又は利害関係人の請求
取消しは本人又は利害関係人の請求による。宣告時の利害関係人だけへ請求者を狭めたり、検察官だけの請求へ変えたりしない。証明だけで自動的に宣告が取り消されるのではない。
3. 家庭裁判所の取消義務
所定の証明があり、本人又は利害関係人の請求があるとき、家庭裁判所は失踪宣告を取り消さなければならない。30条の宣告をすることができるという規定と、32条の取消義務を区別する。
4. 宣告後取消前に善意でした行為
善意は、法律が問題とする事情を知らないという意味の法律用語である。32条1項後段は、宣告後取消前に善意でした行為の効力に、取消しが影響を及ぼさないと定める。ここでは条文の善意の条件を満たす行為を考える。片方の当事者だけが善意であれば足りるか、再婚などでどう判断するかは別の問題である。
5. 善意取得者の権利と返還限度
32条2項は、宣告によって財産を得た者が取消しにより権利を失うと定め、ただし書で現に利益を受けている限度においてのみ財産を返還する義務を負うとする。「現に利益を受けている限度」は、今利益が残っている範囲を表す。ここでは善意の財産取得者を考える。権利喪失と返還義務の範囲を分け、権利が残る又は返還が常にゼロになると読み替えない。
6. 取消しの効果を二つに分ける
善意でした行為の効力の保護と、宣告によって得た財産の権利喪失・返還は、それぞれ異なる条文上の効果である。取消しによって何もかも無条件で元どおりになるとは考えない。具体的な善意や現に利益を受けている額、悪意取得者の返還関係は別の判断である。