後見開始の審判と成年被後見人の法律行為
法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 この単元では、2026年4月1日以後の新たな後見開始の審判と、同日以後の法律行為を考えます。法令の基準日は2026年4月1日です。
本文の目次
1. 後見開始の原因と家庭裁判所
7条は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、本人など同条に掲げる者の請求により、家庭裁判所が後見開始の審判をすることができると定める。ここではこの法律上の条件と審判の主体を読む。単に成年であることや、ある行為で意思能力がなかったことだけで、後見開始の審判を受けた地位を決めることはできない。
2. 本人と付される人の呼び名
後見開始の審判を受けた本人は、8条によって成年被後見人となり、成年後見人が付される。「被」を含む呼び名は本人を指す。審判を受けた本人と、付される成年後見人を入れ替えない。
3. 法律行為は取り消すことができる
9条本文は、成年被後見人の法律行為は取り消すことができるとする。取消しが可能であるという原則を、初めから当然に無効であるという説明に置き換えない。意思能力を欠くときの無効は、既に学んだ3条の2の別の規律である。
4. 日常生活に関する行為という例外
9条ただし書は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を取消しの例外とする。例外は日用品の購入だけに限定されない。また、後見人の同意や、行為能力の制限を隠すことを、このただし書の要件にしてはいない。9条による取消しの例外だからといって、他の無効原因や特則まで存在しないと判断したことにはならない。
5. 原因が消滅したときの審判取消し
10条は、7条に定める原因が消滅したとき、10条に掲げる者の請求により、家庭裁判所は後見開始の審判を取り消さなければならないと定める。原因の消滅と適格な請求を両方読む。原因が消えれば当然に審判が終了する、あるいは条件を満たしても取り消すかどうか自由に選べる、という説明ではない。
6. 二つの取消しの対象を分ける
9条が扱うのは本人の法律行為であり、10条が取り消す対象は後見開始の審判である。対象が違えば、確認する条件や主体も違う。審判を取り消すことを、本人の過去の法律行為をすべて取り消すことや、すべて有効にすることと同じにしない。