意思と表示のずれ:心裡留保と虚偽表示

法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 2026年4月1日を基準とする民法93条・94条の基本。事例では、表意者・相手方の認識、通謀、条文上保護される善意の第三者という条件を与える。具体的な第三者の範囲や善意の認定、94条2項の類推適用、登記・転得者・返還関係は扱わない。

本文の目次

  1. 表意者の意思と相手方への表示
  2. 心裡留保は非真意だけでは効力を妨げない
  3. 相手方が知り又は知れる場合の例外
  4. 相手方と通じた虚偽表示
  5. 当事者間の無効と第三者への主張
  6. 善意という知識の条件
  7. 条件と無効の原因を組み合わせる

1. 表意者の意思と相手方への表示

意思表示をする者を表意者、その表示の相手を相手方という。ここでは、表意者が表示と真意のずれを知っている場合に、相手方との通謀があるか、相手方が真意でないことを知り又は知れるかを分けて読む。単に真意でないという言葉だけで、すべて同じ効果にしない。

2. 心裡留保は非真意だけでは効力を妨げない

93条1項本文は、表意者がその真意ではないことを知ってした意思表示であっても、そのために効力を妨げられないとする。表意者が知っているという条件が出発点である。表意者が気付いていなかった錯誤などの規律とは分ける。

3. 相手方が知り又は知れる場合の例外

93条1項ただし書では、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないと知り、又は知ることができたとき、その意思表示は無効となる。実際には知らなかったということだけで例外を除外しない。知ることができたという条件も確認する。具体的な言動から認識を認定することは、条件が与えられた事例を読むこととは別になる。

4. 相手方と通じた虚偽表示

94条1項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効とする。表意者が真意でないと知ってする心裡留保と、双方が通じている虚偽表示の条件を分ける。相手方が知ることができたというだけで、双方が通じたと決めつけない。

5. 当事者間の無効と第三者への主張

93条2項は同条1項ただし書による無効、94条2項は同条1項による無効について、それぞれ善意の第三者に対抗できないとする。無効であることをその第三者に主張できないという規律である。当事者間の無効があらゆる関係で消えるという説明へ広げない。

6. 善意という知識の条件

94条2項の善意は、虚偽表示であることを知らないという知識の条件として読む。人柄がよいという意味とは分ける。93条2項についても、各条文の保護対象となる善意の第三者かを確かめる必要がある。この単元の問題では、その条件を満たすことを与える。各2項は無過失を要件として加えていない。93条2項について具体的に何をどの時点で知っていればよいか、第三者に当たるかを認定することは、ここでの問題とは別になる。

7. 条件と無効の原因を組み合わせる

心裡留保なら表意者と相手方それぞれの認識から93条1項の本文とただし書を分ける。虚偽表示なら相手方と通じた条件から94条1項を読む。その上で各2項の善意第三者の条件を確認する。錯誤や詐欺、第三者の具体的な範囲、登記・転得者との関係は、それぞれ別の要件を確かめる。

心裡留保の表意者条件と相手方の認識による原則例外を分ける

心裡留保の表意者条件と相手方の認識による原則例外を分ける
心裡留保の表意者条件と相手方の認識による原則例外を分ける

当事者間の無効の原因と各二項の善意第三者対抗制限を分ける

当事者間の無効の原因と各二項の善意第三者対抗制限を分ける
当事者間の無効の原因と各二項の善意第三者対抗制限を分ける