妨害の状況と三つの占有の訴え

法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 2026年4月1日を基準とする民法198条・199条・200条1項全文。現妨害の停止及び賠償、妨害のおそれの予防又は損害賠償の担保、侵奪に対する物の返還及び賠償を分ける。導入事例ではXは現に妨害を受ける、Yは妨害されるおそれがある、Zは占有を奪われたことを与件とし、三つの訴えの名称だけを対応判定する。現実の妨害・危険・侵奪の認定、救済額、200条2項の相手方・201条の期間、手続実務・勝訴・判例旧法は評価しない。

本文の目次

  1. 妨害されたときの保持
  2. 妨害されるおそれがあるときの保全
  3. 占有を奪われたときの回収
  4. 与えられた妨害の状況から訴えを選ぶ
  5. 訴えの名称と請求できる内容を結ぶ

1. 妨害されたときの保持

198条は占有者がその占有を妨害されたとき、占有保持の訴えにより妨害の停止及び損害の賠償を請求できると定める。停止と賠償を「及び」で読む。

2. 妨害されるおそれがあるときの保全

199条は占有を妨害されるおそれがあるとき、占有保全の訴えにより妨害の予防又は損害賠償の担保を請求できると定める。予防と担保を「又は」で読む。

3. 占有を奪われたときの回収

200条1項は占有者が占有を奪われたとき、占有回収の訴えにより物の返還及び損害の賠償を請求できると定める。物の返還を妨害の停止や予防に置き換えず、賠償との「及び」を保つ。

4. 与えられた妨害の状況から訴えを選ぶ

まず問題がどの状況を与件としているかを確認する。現に妨害を受けているX、妨害されるおそれがあるY、占有を奪われたZという三事例では、それぞれ保持・保全・回収の訴えの名称を対応させる。訴えの名前を先に選んで状況を読み替えない。三事例の与件を使うことと、現実の出来事に妨害・危険・侵奪が成立しているかを判定することは区別する。

5. 訴えの名称と請求できる内容を結ぶ

図では保持を停止及び賠償へ、保全を予防又は担保へ、回収を返還及び賠償へ結ぶ。同じ賠償という語があっても、停止・予防・返還の対応を交換しない。この三事例で答えるのは訴えの名称の対応であり、賠償額や具体的な請求の成否を判定しない。200条2項の相手方の条件と201条の提起期間は、後続の章で別に確かめる。

現妨害を保持、おそれを保全、侵奪を回収へ結ぶ三つの対応

現妨害を保持、おそれを保全、侵奪を回収へ結ぶ三つの対応
現妨害を保持、おそれを保全、侵奪を回収へ結ぶ三つの対応