無効・取消しに伴う原状回復と現存利益
法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 2026年4月1日を基準とする民法121条・121条の2の基本。事例では、無効又は有効な取消し、債務の履行としての給付、無償性、給付受領時の無効又は取消可能性の認識、行為時の意思能力・制限行為能力、他の例外や特則の不適用という条件を与える。これらの具体的な認定、現存利益の額、利息・損害賠償・相殺、他の返還規律との優先や第三者・登記・旧法の扱いは評価しない。
本文の目次
1. 給付を受けた者の原状回復が原則
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、121条の2第1項により、相手方を原状に復させる義務を負う。有効に取り消された行為も121条により初めから無効であったものとみなす。まず給付を受けた者と相手方を分け、2項・3項等の例外も確かめる。具体的な返還額や他の返還規律との優先を、原則の一文だけで決めない。
2. 2項は無償と受領当時の不知を合わせる
無償行為とは対価を伴わない行為という基本的な意味で読む。2項は、無効な無償行為に基づく給付について、給付を受けた当時にその行為が無効であることを知らなかったとき、現に利益を受けている限度の返還とする。無償と受領当時の不知を両方確認する。有償でも無効を知らなければ必ずこの2項になるとはしない。
3. 後で取り消された場合の知識の対象
給付受領後に121条の取消しの効果で初めから無効とみなされた行為については、2項の知識の対象は、受領当時にその行為が取り消すことができるものであることを知らなかったかどうかとなる。受領当時という時点を保ち、取消し後に無効と知ったかどうかだけへ置き換えない。無償であることなど他の条件も引き続き必要となる。
4. 3項は行為の時の能力による限度
行為の時に意思能力を有しなかった者は、3項により現に利益を受けている限度で返還義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者も同様である。行為時という時点を給付受領時や返還時に変えない。2項の無償かつ受領時の不知を3項にも加える規定ではない。具体的な能力の認定はここでは条件として与える。
5. 現に利益を受けている限度を読む
現に利益を受けている限度は、その行為による利益が残っている範囲を表す。この言葉は返還義務が常にゼロという意味でも、受け取ったものを必ず全額返すという意味でもない。具体的に利益が残るか、どの額になるかは別に判断する。失踪宣告の取消しに伴う32条の返還でも同じ語が出るが、121条の2とは法的な原因と条件が異なる。
6. 原則と別々の例外を整理する
1項は給付受領者の原状回復の原則、2項は無償と受領当時の知識、3項は行為時の能力という条件を分ける。比較では、問われる条件以外の例外や特則が適用されないという与件も読む。現存利益の具体額、利息・損害賠償・相殺、他の返還規律との優先や旧法の扱いは、別の条件を確かめる必要がある。