財政の手続と公の財産

法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。

本文の目次

  1. 財政は国会の議決に基づく
  2. 税の根拠と支出・債務の根拠
  3. 予算と決算の担当を区別する
  4. 財政状況は国会と国民へ報告する
  5. 予備費には三つの段階がある
  6. 皇室財産と皇室費用
  7. 公金と公の財産には用途の制限がある

1. 財政は国会の議決に基づく

国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて行使しなければなりません。内閣が予算を作り支出を担うことと、国会の議決に基づくことは別の関係です。83条の国会による財政の統制を、次の租税・支出・債務の要件につなげて読みます。

2. 税の根拠と支出・債務の根拠

新たに租税を課したり、現行の租税を変更したりするには、法律又は法律の定める条件によることが必要です。予算に載せるだけで税の法律上の根拠に代えることはできません。一方、国費を支出したり国が債務を負担したりするには、国会の議決に基づくことが必要です。税収の範囲内の支出だから議決は不要という例外はなく、現金の支出前でも債務を負担する場合の条件を外せません。

3. 予算と決算の担当を区別する

内閣は毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して審議を受け、議決を経なければなりません。国会への報告だけでは足りず、予算は先に衆議院へ提出します。これと別に、国の収入支出の決算は毎年すべて会計検査院が検査し、内閣が次の年度に、その検査報告とともに国会へ提出します。予算の作成、決算の検査、決算の提出を同じ機関の仕事にしません。例えば2025年度の決算について、国会へ提出する次の年度は2026年度です。会計検査院の組織・権限は法律で定めます。

4. 財政状況は国会と国民へ報告する

内閣は国会及び国民に対し、定期に、少なくとも毎年1回、国の財政状況を報告しなければなりません。国会だけに報告すればよいものではありません。91条の報告と、90条の検査報告を添えた決算の提出は、対象と手続を分けて考えます。

5. 予備費には三つの段階がある

予備費は予見し難い予算の不足に充てるために設けます。まず国会の議決に基づいて設置し、内閣の責任で支出することができます。その後、内閣はすべての予備費の支出について国会の承諾を得なければなりません。設置時の議決と支出後の承諾は別の手続で、どちらかを済ませれば他方が不要になるわけではありません。支出の責任を国会の責任に置き換えないようにします。

6. 皇室財産と皇室費用

88条の皇室財産はすべて国に属します。一方、すべての皇室の費用は予算に計上して国会の議決を経なければなりません。財産の帰属と費用の手続を区別します。国に属する財産だから費用の議決は不要であるとも、費用を予算に載せさえすればよいとも読みません。

7. 公金と公の財産には用途の制限がある

89条は二つの対象を区別して定めます。一つは、宗教上の組織又は団体の使用、便益、維持のための支出や利用提供です。もう一つは、公の支配に属しない慈善、教育、博愛の事業に対する支出や利用提供です。禁じられる対象は公金だけでなく、その他の公の財産も含みます。現金を渡さず財産を利用に供するだけなら禁止の対象外とは読みません。具体的な団体・事業がこの条件に当たるかは別に検討し、ここでは明文の対象と行為を整理します。

予算と決算の担当を分ける

予算と決算の担当を分ける
予算と決算の担当を分ける

予備費の三つの段階

予備費の三つの段階
予備費の三つの段階