法律案・予算・国会の権限

法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。

本文の目次

  1. 法律となる段階
  2. 異なる議決と再可決
  3. 参議院が議決しない場合
  4. 予算と条約承認
  5. 各議院の国政調査
  6. 国務大臣の出席
  7. 弾劾裁判所の対象と構成

1. 法律となる段階

59条1項では、この憲法に特別の定めがある場合を除き、法律案が両議院で可決したとき法律となります。法律が成立することと、公布されること、施行されることは分けて学びます。この単元では成立と議決の明文を読み、具体的な公布・施行の扱いは法の基本構造の学習へ接続します。

2. 異なる議決と再可決

衆議院で可決した法律案について、参議院が異なる議決をした場合、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したとき法律となります。憲法改正の発議における各議院の総議員の3分の2以上とは分母が異なります。59条3項は、法律の定めるところにより衆議院が両議院の協議会を開くことを求めることを妨げないと定めます。協議会の請求が可能であることと、再可決の前に必ず協議会を開かなければならないとすることは違います。

3. 参議院が議決しない場合

参議院が衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に議決しないとき、衆議院は参議院が否決したものとみなせます。受取後65日でも休会が10日なら、数えるのは55日です。受取後75日で休会が10日なら65日となります。否決したものとみなすことができるという扱いを、法律の自動成立と取り違えないようにしましょう。みなしの後の再可決など、成立の段階を別に確認します。

4. 予算と条約承認

予算は先に衆議院へ提出します。予算について参議院が異なる議決をし、法律の定めるところにより両議院の協議会を開いても意見が一致しないときは、衆議院の議決を国会の議決とします。また、参議院が衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に議決しないときも同じ扱いです。協議会を開いても不一致という条件と、受取後の不議決という条件は別の経路です。61条は、条約の締結に必要な国会の承認について60条2項を準用します。予算の衆議院への先議を定めた1項を、そのまま準用するという一文ではありません。法律案の再可決と、予算・条約承認で衆議院の議決が国会の議決となる扱いを分けます。

5. 各議院の国政調査

両議院は、それぞれ国政に関する調査を行い、これに関して証人の出頭及び証言、記録の提出を要求できます。主体は各議院です。両議院が常に共同決議をしなければ調査できないとしたり、記録の提出要求を一方の議院だけに限定したりする明文ではありません。個々の調査の限界や証言拒否の事情は、関連法律と判例を確かめて学びます。

6. 国務大臣の出席

内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有するかどうかにかかわらず、議案について発言するため、いつでも議院に出席できます。答弁又は説明のために出席を求められたときは、出席しなければなりません。議案について発言するための出席と、求められた答弁・説明のための出席義務を区別します。議席がないという事実だけで後者の義務がなくなるとは読めません。

7. 弾劾裁判所の対象と構成

国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設けます。裁判を受ける対象は罷免の訴追を受けた裁判官、裁判所を組織するのは両議院の議員です。対象と構成員を逆にしないようにしましょう。64条2項は弾劾に関する事項を法律で定めるとしています。具体的な訴追・罷免の要件を、この一文だけで決める学習ではありません。

法律案の参議院の異なる議決と衆議院再可決

法律案の参議院の異なる議決と衆議院再可決
法律案の参議院の異なる議決と衆議院再可決

予算で衆議院議決が国会議決となる二つの条件

予算で衆議院議決が国会議決となる二つの条件
予算で衆議院議決が国会議決となる二つの条件