糖尿病の病型・合併症と臓器所見を読む

本文の目次

  1. 病型と合併症は別の記録
  2. 1型と2型の機序を、体型から置き換えない
  3. 網膜・腎糸球体・末梢神経を区別する
  4. 足の血管と感覚神経を別に保つ
  5. 自律神経は別臓器の症状にも関わる

1. 病型と合併症は別の記録

糖尿病を読むときは、血糖調節の病態を説明する病型と、どの臓器にどんな合併症が生じたかを分ける。本章では医療評価済みの病型・臓器所見に、症状の場所や働きを対応する。血糖の数値や訴えだけから患者の病型、合併症、病期を確定するものではない。 インスリンの正常な調節、血中濃度と細胞内の貯蔵量、一般的な虚血の仕組みは既存共通を参照する。新しい異常や足の傷・発赤腫脹などを記録だけで放置せず医療評価へつなぐ。具体的な検査や処置、薬、施術の適否や紹介の閾値は扱わない。

2. 1型と2型の機序を、体型から置き換えない

1型糖尿病は、膵β細胞の破壊によってインスリンが欠乏する病態として説明される。2型には、インスリン分泌低下を主体とするものと、抵抗性を主体として相対的な不足を伴うものなどがある。「インスリンの働きが足りない」という共通語だけで、β細胞の破壊と分泌・作用の低下を同じ説明にしない。 2型にはやせ型の人もおり、全員に生活習慣の問題があるわけではない。医療評価で記録された機序を、体型だけで別病型にしたり、本人の生活習慣を唯一の原因と決めたりしない。ここで扱う1型・2型以外にも糖尿病の分類があるため、すべての高血糖を二つだけへ割り当てない。

3. 網膜・腎糸球体・末梢神経を区別する

糖尿病網膜症は、網膜の血管が傷むことと視覚への影響に対応する。糖尿病性腎症では、腎糸球体が傷み、尿へたんぱく質が漏れ出るなどの変化が説明される。末梢神経障害では、足底に紙を貼ったような違和感やしびれ、感覚の低下などが起こることがある。 三つの名称を覚えるだけでなく、報告された構造と具体的な情報を対応する。眼底出血を腎糸球体の所見へ、尿のたんぱく漏出を足底の感覚所見へ置き換えない。報告の照合と、本人の症状の原因や腎臓の病期を決めることを分ける。

4. 足の血管と感覚神経を別に保つ

糖尿病足病変には、足の血管が狭くなることと、神経の働きが弱くなることが別の経路として関わる。血管の報告は組織への血流の経路、感覚の報告は傷や刺激を感じ取る経路へ対応する。両方が同じ人に記録されることもある。 足の動脈狭窄が記載されていることを、感覚神経が保たれている証明にしない。神経障害が記載されていることも、血管病態がないという証明ではない。構造や機能の報告をそれぞれ保持して、足の状態を血管だけ、神経だけの説明にまとめない。

5. 自律神経は別臓器の症状にも関わる

糖尿病性神経障害では、手足の感覚・運動を担う末梢神経だけでなく、内臓の働きを調節する自律神経も障害されることがある。胃もたれ、便秘や下痢、立ちくらみなどが説明される。また、心筋梗塞があっても自律神経障害のため胸痛が明瞭でない場合がある。 既評価の足動脈の報告、足の感覚神経の報告、別臓器の自律神経の報告を区別する。心臓の大血管病態と症状の伝わり方に関わる神経の情報は、同時に読むことができる。ただし、症状が乏しいことだけで心臓病を診断したり、反対に否定したりしない。

病型・臓器・足の二経路を対応する

病型・臓器・足の二経路を対応する
既評価された病型と臓器情報を対応する独自比較図。病型から合併症を自動確定せず、症状だけの診断や検査・薬・施術の指示を示さない。