同じホルモン増加でも疾病の経路を読む

甲状腺中毒症は、血中の甲状腺ホルモンが過剰になった状態をいう。バセドウ病による産生亢進も、無痛性甲状腺炎の中毒期における貯蔵分の流出も、この状態につながる。二つの疾病を比べるときは、刺激性抗体による産生亢進と、組織破壊による流出の対応を残す。 甲状腺中毒症の全原因をこの二つだけに分類せず、全ての甲状腺中毒症で甲状腺の産生が亢進していないともまとめない。本章は疾病の代表的な病態を整理する基礎課題であり、個人の症状や検査値から診断・治療を決める手順ではない。

二つの疾病からホルモン増加へ至る病態

バセドウ病
刺激性TSH受容体抗体。甲状腺細胞の受容体刺激
ホルモン産生亢進。無痛性甲状腺炎の中毒期
甲状腺組織の破壊。貯蔵ホルモンが流出。血中甲状腺ホルモンの増加
疾病ごとの代表的な病態関係を言葉で示した独自概念図。甲状腺の解剖図や、同じ患者が順番に進む経過図ではない。無痛性甲状腺炎は中毒期の説明に限定し、全ての甲状腺中毒症の原因をこの二経路だけにまとめない。個人の診断・検査・治療を選ぶ規則でもない。