ALS:上位・下位運動ニューロンの変性
本文の目次
1. 上位と下位の両運動ニューロンを読む
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の疾患概念では、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの両者が障害の対象となる。難病情報センターの説明では、それぞれ一次運動ニューロン、二次運動ニューロンとも表現される。 骨格筋へ情報を伝える正常な運動出力や、前角・前根、神経筋接合部は既存共通教材を参照する。本章では、その正常の所在や働きに加えて、ALSでどの範囲の運動ニューロンが病的変化を受けるかを学ぶ。
2. 進行性に変性・消失する病的変化
ALSでは、上位・下位運動ニューロンが選択的かつ進行性に変性・消失する病的変化が説明される。一時的に信号が伝わりにくいという情報だけに置き換えず、障害される細胞の範囲と変性・消失という変化を合わせる。 運動ニューロンが主に障害され、脳から筋を動かす命令が伝わらなくなることが、筋力低下や筋肉がやせていくことへつながると説明される。筋肉そのものだけを最初の障害部位とする説明や、一般的な萎縮という名前だけでは、この疾病の病態を代替できない。
3. 疾患概念と個人の徴候を分ける
上位・下位両運動ニューロンの変性・消失という疾患概念を学ぶことは、全ての患者に両方の障害徴候が常に同じ程度・同じ時刻で目立つと決めることではない。ALSには発症のしかたや前面に出る症候に多様性がある。 認知症を伴う例もあるため、認知機能の問題は起こらないという条件を付け加えない。本章は患者の診断・病期・個別の経過を決める規則ではない。神経徴候の誘発、筋電図の判読、薬剤・呼吸や栄養の治療選択や実施手順を示さない。