Duchenne型筋ジストロフィー:蛋白欠損と筋細胞傷害
本文の目次
1. 機能するジストロフィンが欠ける病態
Duchenne(デュシェンヌ)型筋ジストロフィーでは、DMD遺伝子の変異により、機能するジストロフィンが作られない典型的な病態が説明される。ジストロフィンは筋線維膜の直下にある蛋白であり、この疾病に関わる具体的な蛋白として読む。 原典では、機能するジストロフィンが作られない変異はDuchenne型を起こしやすく、機能を一部保つ異常蛋白はBecker型を起こすことが多いと説明される。全てのDMD遺伝子変異を、必ず同じ病型や同じ経過へまとめない。
2. 反復する収縮・弛緩に伴う筋細胞傷害
機能するジストロフィンが十分でない筋細胞は、使用に伴う収縮と弛緩が繰り返されるなかで傷害を受ける。傷害された細胞は時間の経過とともに弱くなり、死に至ることがあり、筋力低下などへつながる病態として説明される。 蛋白の名前だけでなく、その不足と筋細胞傷害との関係を合わせる。これは、通常の筋収縮の手順を学び直したり、筋力低下を一時的な神経筋伝達の低下だけで説明したりすることとは異なる。
3. 蛋白と傷害される細胞を一組で読む
Duchenne型の典型的な説明では、機能するジストロフィンの欠損・不足と、反復する収縮・弛緩に伴う筋細胞傷害を対応させる。既存のMG教材が扱うACh受容体への自己抗体と神経筋伝達障害、ALS教材が扱う上位・下位運動ニューロンの変性とは、病的な関係が異なる。 筋力低下という症候だけで、この三つの病態を同一視しない。蛋白と筋細胞傷害の対応だけで個人の病型や経過を判定せず、筋を繰り返し収縮させる確認手順や運動負荷の指示へも広げない。