第73章 MDSの成熟障害と無効造血
本文の目次
1. 成熟が進まない血球形成
骨髄異形成症候群(MDS)では、血球が成熟する途中の未熟な段階で成長が止まったり、血球に成長しても細胞が壊れたりする。血球の形成が、有効な補給へ結び付かない過程が無効造血である。 正常に幹細胞が分化して血球を作る説明だけでは、この成熟過程の障害を表せない。ここでは、どの段階で形成が有効に進まなくなるかを読む。
2. 無効造血から血球減少へ
MDSの無効造血は、血球の減少につながる。未熟な段階での成長停止や、成長した血球が壊れることを、血球が十分に補われない経路と対応させる。 赤血球、白血球、血小板のすべてが減る場合と、いずれかが減る場合がある。すべての患者で三系列が同時に減るとはしない。血球の形成過程と、どの系列の数が減るかを分けて読む。
3. 細胞の異常と病態の経路を結ぶ
MDSでは、血球の形態や機能にも異常がみられ、これを異形成という。異形成という名称と、成熟途中の停止や成長後の細胞傷害による無効造血の過程を分けて読む。単に血球が少ないという結果だけでなく、形成の過程がどう障害されるかを結び付ける。 MDSの一部は急性骨髄性白血病へ移行するが、すべてが移行するとはいえない。本章は病態の関係を学ぶ範囲に限り、個人の血球値や症状から診断・治療を決める手順を示さない。