溶血性輸血反応の主な病態を分ける
本文の目次
1. ABO不適合の急性反応では血管内溶血
2026年2月の「輸血療法実践ガイド」は、急性溶血性輸血反応の多くをABO不適合輸血によるものとして説明する。ABO不適合の場合、輸血された赤血球と患者の抗体が反応し、補体の活性化を経て血管内溶血に至る病態を挙げている。 この対応は、ABO不適合による急性反応の説明である。急性溶血性輸血反応には、まれに他の血液型に対する抗体による例もある。正常なABO・Rhの関係、抗体と補体の働きは既存共通教材を参照する。
2. 遅発性では血管外溶血が主体、例外も残す
同ガイドは、遅発性溶血性輸血反応を二次免疫反応による血管外溶血として説明する。過去の輸血や妊娠などで感作された人が、対応する抗原を持つ赤血球の輸血を受けると、IgG抗体の産生によって輸血赤血球が遅れて溶血する病態を挙げている。免疫記憶や二次免疫応答そのものの基礎は既存共通教材を参照する。 日本赤十字社の説明でも、遅発性反応では血管外での赤血球破壊が主体である一方、まれに血管内溶血が起こる場合を残している。「遅発性なら必ず血管外」と固定しない。
3. 主な病態の対応と、患者の判断を分ける
この章で比べるのは、ABO不適合の急性反応で挙げられる血管内溶血と、遅発性反応で主体となる血管外溶血という病態の対応である。骨髄での血球産生低下を扱った既存の再生不良性貧血の章とは、赤血球に生じる問題の段階が異なる。 病態の対応を覚えることだけで、ある患者の反応を確定したり、輸血の適否や実際の処置を決めたりしない。急性と遅発性を、一方から他方へ必ず進む経過としても読まない。図は主な病態の分類を示している。