Jersey fingerと深指屈筋腱の付着部剥離

柔道整復理論 手指腱損傷の病態

本文の目次

  1. Jersey fingerで剥離する腱
  2. 骨片を伴う場合と腱の傷害を分ける
  3. 既存の手指損傷の説明と区別する

1. Jersey fingerで剥離する腱

Jersey fingerでは、深指屈筋(FDP)の腱が指先の骨付着部から離れる傷害が関わる。American Society for Surgery of the Handは、この傷害をFDP avulsionと説明している。 正常な手指の筋腱の構造や働きは、本体の共通知識として参照する。ここで追加するのは、正常な腱の作用の名称ではなく、Jersey fingerという傷害とFDPの骨付着部剥離の対応である。

2. 骨片を伴う場合と腱の傷害を分ける

この傷害では、腱と一緒に骨の一部が引き離される場合もある。骨片を伴うかという情報と、FDP腱が骨付着部から離れる関係を分けて読む。骨片が全ての例に必要という説明にはしない。 図は腱の対象と剥離の関係を示す比較のための整理であり、骨片の大きさや腱の引き込み位置から治療を選ぶ手順ではない。

3. 既存の手指損傷の説明と区別する

既存の槌指教材は、伸筋腱の断裂や末節骨付着部に関わる骨折と、典型的な自動伸展の変化を扱っている。既存の切創後の屈筋腱損傷教材は、受傷部位とDIP・PIPの屈曲変化を扱っている。これらを新しい課題として重ねず、Jersey fingerのFDP骨付着部剥離という傷害に結び付ける。 指が動かしにくいという訴えだけで、本人の病型や断裂程度を確定しない。本章は病態の対応に限定し、動きを誘発する検査や固定法・手術・運動負荷の適否を決める説明にはしない。

Jersey fingerの腱と傷害の関係

Jersey fingerの腱と傷害の関係
ASSHの限定説明をもとに作成した独自整理図。対象の腱と骨付着部からの剥離を対応する。骨片を伴う場合もあるが全例必須ではなく、診断・固定法・手術の選択手順ではない。