損傷型の部位と症候は別に確認する

BankartとSLAPは、ともに関節唇の損傷を扱うが、代表的な損傷部位は異なる。病変の前下方・上方という構造情報を、痛みや外れそうな不安感という症候だけに置き換えない。関節唇損傷の症状は他の肩損傷と似ることがあり、常に特異的ではない。 本章は病的な構造と損傷型の対応を学ぶ教材である。肩を動かして痛みや不安感を誘発する検査、画像の判定、整復・固定の操作、手術・運動・薬剤の選択を示さない。症状だけから個人の損傷型や治療の適否を決めるものではない。

肩関節唇損傷の代表的な部位

Bankart病変。前下方の
関節唇の裂傷。SLAP病変。上方の関節唇の裂傷
長頭腱起始部を
含むこともある
Bankart病変の前下方関節唇とSLAP病変の上方関節唇を、独立した二つの対応として示す独自概念図。SLAPの長頭腱起始部への関与は起こり得る情報であり、全例必須ではない。正常解剖図や病変間の進行、症状から診断する規則、整復・検査の手順を示さない。