不在者の管理人の権限と権限外行為の許可
法令基準日:2026年4月1日。適用時点は限定的に確認しています。 この単元では、2026年4月1日以後の、権限の定めのない代理人の行為と、不在者の管理人が権限を超える行為を必要とする場合を考えます。法令の基準日は2026年4月1日です。
本文の目次
1. 権限の定めのない代理人
103条は、権限の定めのない代理人ができる行為を定める。代理権そのものがないという意味ではなく、代理人が行える行為の範囲が定められていない場合を扱う。第1号は保存行為、第2号は代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲での利用又は改良である。権限が定められている代理人も含めて、すべての代理人に常に同じ範囲を当てはめる規定とは読まない。
2. 保存と、性質を変えない利用・改良
保存行為は、物や権利を現状で維持する行為である。利用・改良については、代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲という条件が付く。利用や改良という名前だけで、性質を変える行為まで含めない。具体的な行為がどれに当たるかは、ここでの条文の区別とは別の判断になる。
3. 管理人の103条の範囲を超える必要
裁判所が選任した不在者の管理人について、103条に定める権限を超える行為をする必要があるときは、28条前段により、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。管理のために必要であることを、許可を得たことと同じには扱わない。
4. 本人の定めた権限を超える必要
不在者本人が置いた管理人については、本人の生死が明らかでなく、本人が定めた権限を超える行為をする必要があるときも、28条後段により家庭裁判所の許可を得て行為できる。こちらの権限超過の基準は、本人が定めた権限である。生死不明を、死亡の確定へ変えない。
5. 二つの権限の基準と許可
前段では103条に定める権限を超える必要、後段では生死不明と本人設定権限を超える必要を対応させる。家庭裁判所の許可を得て行為できるという点は共通する。利害関係人が許可するという規定に変えず、必要があるだけで許可が自動的に与えられるとも読まない。
6. 与えられた条件と具体的な判断を分ける
本単元では、保存・性質を変えない利用や改良、権限を超える必要、生死不明という条件を問題で明示する。実際の個々の行為が権限の範囲に入るか、家庭裁判所が許可するか、申立手続はどうなるかは別である。また、本人の生死が明らかな場合の委任関係における権限変更の全経路を否定するものではない。